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日本史の叛逆者42

时间: 2019-05-24    进入日语论坛
核心提示: 鎌子は自邸に戻った。(皇子は御無事であろうか) そのことが気になっている。 もし、中大兄が罪に問われ殺されるようなこと
(单词翻译:双击或拖选)
 鎌子は自邸に戻った。
(皇子は御無事であろうか)
 そのことが気になっている。
 もし、中大兄が罪に問われ殺されるようなことになったら、この邸もただちに兵に囲まれ、鎌子も一族も皆殺しにされることになる。
(逃げ支度をするか)
 それは考えないでもなかった。
 しかし、そんなことをしても、逃げおおせることはできない。ならばいっそのこと、ここにこのままいる方がいいのではないか。
 鎌子は、いざとなると度胸がすわる。
 大きな博奕は嫌いではない。だからこそ、中大兄に賭けたのではなかったのか。皇子と初めて言葉を交したのは、去年の打毬《うちまり》の場だった。
 それは法興寺の庭において行なわれた。
 打毬とは、木製の棒で布製の小球を打って、得点を競う遊戯である。
 鎌子は、何とか中大兄と近付きになりたいと思っていた。
 鎌子には野心がある。
 中臣家は、もともと宮廷の神祇をつかさどる役目の家だ。だが鎌子は、この家系を嫌った。
 神に仕える職を継げば、少なくとも最低の地位は保証される。どんな政争が起ころうとも巻き込まれずにも済む。これが軍事をつかさどる家とは違う、大きな利点でもある。
 しかし、所詮それだけのことだ。
 神職にこだわる限り、いつまでもそこから抜けられない。栄達の道など、有るはずもないのである。
 もしも、大いなる地位を望むなら、大きな賭けに出る必要があった。
 賭け、それは蘇我氏を倒すことである。
 蘇我氏を倒して、新しい権力の中枢に参加することだ。
 もちろん、そんなことが一人の力で出来ようはずもない。
 一人の力では足りないというだけでなく、大義名分もなかった。
 鎌子が首尾よく入鹿を倒したとしても、それは単なる暗殺にしか過ぎない。
 そうではなくて、その行動は、大王家の意志を体したものでなくてはならなかった。
 そうでない限り、蟷螂《とうろう》の斧《おの》に終わってしまう。
 何か、かつぐ神輿《みこし》が必要だった。
 初め、鎌子はこれを軽皇子《かるのみこ》に求めた。
 軽皇子は、皇族の中では最長老で、女帝に次ぐ実力者だ。年齢《とし》は女帝より二つ下の五十歳である。しかし、軽皇子には覇気がなかった。
 考えてみれば無理もない。
 五十歳である。この年齢になって、子供や孫の命を危険にさらしてまで、冒険をおかそうという気にはなれないのだろう。
 鎌子は、大王家にとって蘇我一族がいかに危険な存在かを説いて、蘇我打倒に立ち上がるよう説くつもりだった。
 しかし、途中で断念した。
 鎌子の口説《くぜつ》に対して、軽皇子は初めはおびえ、次には避けるようになった。このまま決定的なことを口にすれば、そのことを入鹿に密告しかねない。鎌子はそう判断して、軽皇子から離れた。
 この失敗は鎌子にとって、いい教訓になった。
 大事を為すには、中年を過ぎていては駄目だ、ということである。
 鎌子は若い皇子を求めた。三十一歳の鎌子より、若くて勇気のある皇子を。もちろん、いくら若くても蘇我の息のかかっている古人大兄《ふるひとのおおえ》皇子のようなのは駄目だ。
 そうなると、中大兄しかいなかった。
 十九歳のこの皇子は、英明の誉れ高く、胆力に富む人物だと、既に定評があったのである。
 鎌子は法興寺の打毬で、何とか中大兄と言葉を交したいと思った。
 鎌子の身分では、直接たずねていくわけにはいかない。身分は低くても、皇子たちとかかわりのある役職ならば、言葉を交す機会もあるのだが、それもない。
 皇子と舎人たちが集まって、打毬をするとの噂を聞き、鎌子は何とか皇子の目に止まらぬものかと、一人、その広い庭の隅で立っていた。
 十数人の男たちが二組に分れ、それぞれ先の曲った棒を持って、毬を打ち合っている。
 中大兄もその中にいる。
 人に見せるためのものではないから、見物人はいない。
 だが、参加している男たちは誰もが元気だった。
 額に汗をかき、夢中で毬を追っている。
 その中で一際熱心なのが、中大兄だった。
 初めのうちは皇子に対して遠慮していた舎人たちも、だんだん本気になってきた。
 その舎人たちに、皇族で唯一参加している中大兄は、必死に喰らいついていく。
 勢い余って中大兄の棒が、舎人の足を打った。それに対して、舎人が打ち返した。
 誰も咎めない。
 中大兄も怒らない。
 それだけ、毬を追うことに熱中しているのであった。
 見ていた鎌子は、中大兄という貴公子に好意を持った。
 舎人が皇子の足を打ったのである。
 これがたとえば古人大兄なら、絶対に許しはしない。遊戯を中断させて、舎人を叱責してやまないだろう。
 古人大兄にはそういうところがある。
 だが、中大兄は違う。
 そんなことをすれば興|醒《ざ》めもいいところだ。
 唯一人、舎人の中に参加する以上、自分が皇子だと思ってはいけない。
 中大兄は、そのことをよく知っているようだ。
(この皇子こそ、頼み甲斐がある)
 鎌子は思った。
 この皇子ならば、遊戯が終って汗でも拭いている時に近付けば、なんとか言葉を交すことができるのではないか。そう思っていた鎌子のところへ、まるで測ったように中大兄の棒が飛んできた。
 力いっぱい打とうとした両手から、汗ですべって棒が離れたのである。
(天佑!)
 鎌子はそれを拾い上げた。
 そして、それを拾いに毬の周囲に群がっている人々の集団から出た中大兄に、鎌子はするすると近付いた。
「皇子様、これを」
 大地に膝をついて、それを捧げた。
 中大兄は荒い息使いで、
「そちは?」
「はっ、中臣鎌子と申す者にございます。お見事な手さばき、感服致しました」
「ははは、見事なら、取り落としたりせぬわ」
 中大兄はそれを受け取って、人の輪の中に戻った。
 それから中大兄との交流が始まったのである。
 鎌子は事あるごとに、蘇我一族の専横を説いた。
 中大兄も、かねてからそのことには憤りを感じていたので、話は早かった。
 あとは、鎌子が中大兄の師である南淵請安に弟子入りするなどして、二人はますます緊密さを増した。
 中大兄はついに、蘇我氏との全面対決を決意した。
 願ったり叶ったりであった。
 鎌子にとって最もいい形は、しかるべき身分の皇族から蘇我氏打倒の命を受け、その意を体すべく動くということだ。
 これなら私闘ではないし、首尾よく蘇我一族を倒せば、大出世にもつながる。
 ここまではうまくいった。
 問題は、その中大兄が母親である女帝に、急な呼び出しを受けたことだ。
 その女帝は入鹿と通じている。
 入鹿は女帝の情人なのだ。
(皇子の身に何も起こらねばよいが)
 豪族の誰に話すこともできず、鎌子は一人心配していた。
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