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日本史の叛逆者44

时间: 2019-05-24    进入日语论坛
核心提示: 中大兄はその夜、従者の豊人だけを連れて、こっそりと邸を忍び出た。 馬にも乗らない。 目指すは、都はずれの海犬養連勝麻呂
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 中大兄はその夜、従者の豊人だけを連れて、こっそりと邸を忍び出た。
 馬にも乗らない。
 目指すは、都はずれの海犬養連勝麻呂《あまのいぬかいのむらじかつまろ》の家である。
 勝麻呂は同志だった。身分は低いが、鎌子と共に生命を賭けて入鹿と戦うことを、誓っている。
 その勝麻呂の家には、勝麻呂の他に見知らぬ男が二人いた。板の間に、その四人が車座になって座っている。
 中心には油を入れた火皿が置かれ、ほのかな灯りを放っている。豊人を庭に見張りに置いて、中大兄はその間に入った。
「これは、皇子様」
 鎌子は頭を下げて、
「——こちらに控えておりますのは、佐伯連子麻呂《さえきのむらじこまろ》、葛城稚犬養連網田《かつらぎのわかいぬかいのむらじあみた》の両名、このたび同志に加えることに致しました」
 中大兄は二人を見た。
 二人とも、その場に平伏した。
「引き合わせたいとは、この者らのことか」
 中大兄は不審そうな顔をした。
 この二人は、決して身分は高くない。
 引き合わせる、などというほどの者ではない。
 中大兄が不審に思ったのは、そのせいである。
「いえ、その者は今少しで参りましょう」
 鎌子は言った。
 中大兄は上座に座った。
「皇子様、かの者を討つ手筈、決まりましてございます」
 鎌子は言った。
 中大兄は目を輝かせた。
「三韓よりの調《みつぎ》の席でござる。その席にて討ちまする」
「なに? 百官いならぶ前で討つというか」
 中大兄は驚いた。
「いえ、正式の儀ではなく、そのための準備として、一度、帝の御前にて仮の上表文《おくりじよう》を読み上げることに致します。その儀にことよせて、入鹿めをおびき寄せるのでございます」
「なるほど、しかし、入鹿め、やって来るか?」
 中大兄はそれを危ぶんだ。
 正式の儀式なら、大臣たる入鹿は必ず出席する義務がある。
 しかし、「予行」はどうだろうか?
 そのようなものに出席する義務はない、と言いそうでもある。
「それは、お任せ下さい」
 鎌子は言った。
「どうする?」
「必ず、入鹿が来るように、仕掛けをつくりまする」
「仕掛け?」
「はい」
 その時、庭の方から人の気配がした。
「——皇子様、誰か来ます」
 豊人の声だった。
 立ち上がろうとする中大兄を、鎌子は制した。
「おそらく、お味方でございましょう。わたくしが見て参りましょう」
 鎌子は、つと立ち上がって、外に出た。
「やはり、そうでございました」
 しばらくして鎌子は、男を一人連れて戻ってきた。
 その男の顔を見て、中大兄は仰天した。
「おのれは——」
 中大兄は刀の柄に手をかけた。
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