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日本史の叛逆者55

时间: 2019-05-24    进入日语论坛
核心提示: 館から火の手が上がったのは、入鹿の殺された翌日未明のことだった。 夜明けを期しての総攻撃を考えていた将軍徳陀は、火の手
(单词翻译:双击或拖选)
 館から火の手が上がったのは、入鹿の殺された翌日未明のことだった。
 夜明けを期しての総攻撃を考えていた将軍徳陀は、火の手を見て館への突入を命じた。
 裏と表と、両方の門が突き破られて、徳陀の兵が館の中に入った。
「待て、ここは通さぬ」
 猿手だった。
 逃げずに残ったのである。
「大臣家の臣として最後の意地を見せてやる」
 猿手は剣を振り回した。
 死を覚悟した猿手一人に、千を越す軍勢が圧倒された。
 数人を斬り倒して、返り血に染まった猿手は、しかし手傷ひとつすら負っていなかった。
 恐れた兵士は猿手を遠巻きにした。
 その間にも、炎は館を包んでいく。
 馬上で指揮を執っていた徳陀はあせった。
 蝦夷は、おそらく死んだのだろう。
 しかし、その死体をひきずり出して、市《いち》にさらさなければ、完全に勝ったとはいえないのである。
「わたしに任せろ」
 進み出たのは漢殿だった。
 槍を手にしている。
「あなた様が」
 徳陀は、漢殿が中大兄の異父弟である、ということしか知らない。
 漢殿は無言で槍を抱え、小走りに走った。
 その勢いに、兵士の輪が割れ、道が開いた。
 猿手は新たな強敵の出現に、剣をふりかぶった。
「とおーっ」
 気合いを発して、漢殿が槍を突き出したまま、突進した。
 兵士たちは見た。漢殿の槍が、まるで吸い込まれるように猿手の胸板を貫くのを。
「ぐわっ」
 さしもの猿手が、一太刀も漢殿にむくいることができなかった。
 猿手は倒れた。
 漢殿が槍を抜くと、兵士から歓声が上がった。
「急げ、蝦夷を引きずり出せ」
 徳陀は命じた。
 館の中に兵士が乱入し、首をつった蝦夷の死体のみならず、珍宝や書物の類いまで持ち出した。
(勝った)
 中大兄はその時初めて、勝利を完全なるものとして感じた。
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