日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

日本史の叛逆者100

时间: 2019-05-24    进入日语论坛
核心提示: 中大兄は、三輪山のふもとの余豊璋《よほうしよう》の館におもむいた。 余人を遠ざけると、中大兄は緊張した面持ちで、豊璋の
(单词翻译:双击或拖选)
 中大兄は、三輪山のふもとの余豊璋《よほうしよう》の館におもむいた。
 余人を遠ざけると、中大兄は緊張した面持ちで、豊璋の祖国百済の滅亡を告げた。
 豊璋は、驚きを見せなかった。
 中大兄は、拍子抜けした。
 驚愕し、泣き出すかもしれない。もしそうなったら、何と言って慰めるべきか、さんざん考えてきたのだ。
 しかし、豊璋は、さすがに笑いはしなかったものの、たいして表情も変えずに二、三度うなずくのみだった。
「知っていたのか?」
「——はい、国の者から聞きました」
「そうか。何と言って慰めたらいいのか、わからないが——」
「いえ、わたくしは何とも思っておりませぬ」
 豊璋は言った。
 中大兄は目を丸くして、
「まさか、そなたの国が滅びたのだぞ」
 豊璋は笑みすら浮かべて、
「わたくしの国、それはむしろこの日本でございます」
「ほう、そういうものか」
「はい、わたくしは幼い頃より、この国で暮しております。今では、百済の言葉すらあやふやになる始末。わたくしの故郷はここでございます」
「——」
「これは、あなた様ゆえ申し上げますが、わたくしは今、いっそせいせいした思いでございます」
「せいせいしたとな」
「はい」
「わからぬのう」
 中大兄は首をひねった。
「なまじ国があれば、いつまでも縁は切れませぬ。国の人も何かと申します。しかし、国が無くなってしまえば、わたくしもそのことを気にせずともすむ」
「しかし、父上や兄上のことを思えば、心おだやかではあるまいに」
 中大兄の言葉に、豊璋は少し目を伏せたが、
「確かに、そのことは気になります。気にはなりますが、殺されたわけではなし、国が滅びても身を全うしたのだから、むしろ喜ぶべきではないでしょうか」
「——」
 中大兄は豊璋を見損なっていた、と思った。
 なるほど、そういう心情は、会うたびに聞かされてはいた。
 しかし、いくらなんでも、国が新羅と唐によって滅ぼされたと聞けば、怒りにふるえるだろうと思っていた。
(これではいかん)
 中大兄は慌しく思案した。
 ここへやって来たのは、単に百済の滅亡を告げるためだけではない。
 他に重大な思惑があってのことだ。
「——豊どの」
 中大兄は居ずまいを正して、
「ぜひ、聞いてもらいたい話がある。内々の話なのだが」
「はい、うけたまわりましょう」
 けげんな顔をしながらも、豊璋は聞く姿勢を取った。
「百済の使者は、そなたを故国へ連れて帰りたいらしい」
 中大兄の言葉に、今度は豊璋が目を丸くした。
「一体、何のために?」
「言うまでもない。百済王家を復興し、百済国を再建するためだ」
 中大兄は身を乗り出した。
「——どうかな、豊どの、そなたの考えは?」
 豊璋は目をみはり、そして力無く首を振った。
「わたくしには、そんな気はありません」
「——」
「その力もありません。わたくしは戦いなどしたことがない。国を再建するということは、あの唐や新羅と戦わねばならぬのでしょう」
「そうだ」
 中大兄はうなずいた。
 豊璋は再び首を振って、
「それは、わたくしの任ではありませぬ。第一、百済にはもはや兵はおらぬはず」
「いや、いる」
 中大兄はそう言って、
「豊どの、百済が滅びたといっても、ただ都が落とされ、王が連れ去られたというだけのことだ。人民も兵も、ほとんど損ぜずに丸々残っている。この者どもは、唐と、その唐と手を組んだ新羅を憎んでおる。倒したいと思っておる」
「まことに?」
 豊璋は疑心を抱いた。
「まことのことじゃ。ただ兵はおり民はおっても、それを束ねる者がおらぬ」
「束ねる者?」
「そうだ。百済王家の血を引く者、いや、もう少しはっきり言おう。そなた、だ」
「わたくし?」
「そうだ。豊どの、戻って百済王になられよ」
「このわたくしが王にですと」
 豊璋は、じっと中大兄を見つめた。
 中大兄も豊璋を見つめ返して、
「そうだ。王になるのだ」
「わたくしにはそのような資格は——」
「あるではないか。豊どのは、まごうことなき百済王の王子じゃ。王が唐へ連れ去られた今、百済王家を立てなおすのは、豊どのの他に誰がいる?」
「わたくしは、——だめです」
 豊璋の喉は、カラカラに乾いていた。
「なぜだ」
「申し上げたではありませんか。わたくしは兵を用いることなど出来ませぬ」
「そなたは、兵を用いる必要はない」
「——?」
「王というのはな、何事も部下に任せて、どっしりとしていればいいのだ」
「それにしても——」
 豊璋は、何とかこの話を無いものにしてしまいたかった。
 いかに祖国とはいえ、国へ帰る気持ちはとうの昔になくしていたし、中大兄に言った通り、日本こそ自分の国だと思っている。
 帰るのは億劫だし、戦うのはさらに億劫であった。
 いや、億劫どころではない。下手をすると、命を失う危険すらあるではないか。
(わたくしは何も要らぬ。ただ、この三輪山の地で蜂を飼い、蜜をとるのが性に合っている。王となって戦うなど、とんでもない)
 中大兄は、豊璋の心を見抜いていた。
 しかし、それでも中大兄は豊璋に祖国への帰還を勧めたかった。
(この次は、日本の番かもしれぬ)
 その思いがあるのだ。
 唐が新羅を手先として日本へ攻めてくる可能性も、ないとは言い切れない。
 それを防ぐには、海の向うになんとしても防壁が必要だった。
 それにちょうどいいのが百済である。
 いや、正確に言えば百済の遺民だ。
 この数十万の人々が立ち上がって唐に抵抗してくれれば、唐の侵攻は、数年は遅れるだろう。
 いや、あわよくば百済を再建出来るかもしれない。
 そうなれば、百済の再建に最大の功があるのは日本だということになり、日本は百済を傘下におさめることが出来る。
 そして日本は、ますます安全になる。
 そのためには、どうしても豊璋を口説いてその気にさせねばならなかった。
「いえ、あなた様のお言葉とはいえ、これだけは従えませぬ」
 豊璋は、きっぱりと断わった。
 豊璋の最大の不安は、戦わねばならぬのに戦ったことなど一度もないという点にあった。
 その不安がぬぐえぬ限り、祖国への帰還は有り得ない。
 中大兄は熱誠を込めて説いたが、どうしても豊璋をその気にさせることは出来なかった。
「兵を束ねることの出来る者がおれば別ですが——」
 豊璋は、最後はそういう言い方をした。
「わかった」
 中大兄もついにあきらめた。
 確かに、この豊璋を丸腰で国へ帰しても、すぐに敵の捕虜になるのがおちだろう。
(兵を束ねる者か)
 中大兄は嘆息した。
 そういう者が現われれば、話は変るかもしれない。
 だが、いまのところは、あきらめるしかないのだ。
 百済生まれの豊璋よりも、中大兄の方が百済復興への熱意があるという、何とも奇妙な状況ではあった。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%