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日本史の叛逆者102

时间: 2019-05-24    进入日语论坛
核心提示: 年が明けて、女帝は一族を連れ、大軍団を率いて九州へ向かうことになった。 これも、一つの大きな決断であった。 これは唐・
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 年が明けて、女帝は一族を連れ、大軍団を率いて九州へ向かうことになった。
 これも、一つの大きな決断であった。
 これは唐・新羅との全面戦争になる。
 女帝は初め、消極的であった。
 高齢でもあるし、動きたくない。
 しかし、息子の中大兄はそういう母をなだめすかし、ようやく承知させたのだ。
「わかりました。しかし条件があります」
「何でしょう?」
「豊璋どのの位は、わが国が与えたという形をとらせて下さい」
 さすがに、このしたたかさには、中大兄も脱帽した。
 日本国が百済国王を任命するということは、勝利の暁には百済は日本の属国になるということだ。
(さすが母上、だてに年は取っておられぬ)
 中大兄ですら思いもしなかった名案であった。
 もちろん、こんな取り引きは、百済が百済のままであった一年前には、一切、成立する見込みはなかった。
 しかし、今ならある。
 百済軍も日本軍の力を強く求めているし、その代表者は豊璋になるのだ。
 否も応もない。
「しかし、勝てるのでしょうね」
 女帝は不安を口にした。玉座のまわりには誰もいない。
 その誰もいないところだけで、口に出来る疑問だった。
 中大兄は顔色も変えずに、
「勝てます」
 と断言した。
「どうしてわかります」
 女帝は納得しなかった。
「福信らには今、天の時、地の利、人の和が味方しております。国を支えるのも軍を支えるのも、所詮は人、人を大事にしてこそ国家は立ちゆくのであります」
 中大兄は、淀みなく答えた。
「それは、その通りかもしれないが」
 女帝はなおも不安の色を隠さなかった。
「福信らに加えて、われら日本の軍勢も豊璋どのを助けます」
「それで勝てましょうか」
「勝てますとも」
「——」
「母上、もっと自信を持って下さい。唐だの新羅だのといっても、所詮は人の集まりではありませんか」
「——」
「力を結束すれば必ず勝てます。それに今のわれわれは、天の時にも恵まれています」
「地の利もある」
 ぽつりと女帝も言った。
 これは、乗り気になってきた証拠だ。
「そうです、そうです」
 中大兄は手を叩いた。
「もし勝てば、任那《みまな》を取り戻せるであろうか」
「取り戻せますとも」
 任那——それは内宮家《うちつみやけ》ともいい、日本が半島に持っていた唯一の足がかりであった。しかし、これはいつの間にか、新羅に奪われてしまった。
 それを奪った憎《に》っくき敵が新羅なのだ。
(いまに見ていろ。必ず吠え面かかしてくれる)
 中大兄は強大な敵に対して、ますます意気軒昂であった。
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