日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

日本史の叛逆者133

时间: 2019-05-24    进入日语论坛
核心提示: 落馬して以来、鎌足は寝た切りの生活になり、体力が徐々に衰えていった。 秋になると、もはや誰の目にも判るような死相が浮か
(单词翻译:双击或拖选)
 落馬して以来、鎌足は寝た切りの生活になり、体力が徐々に衰えていった。
 秋になると、もはや誰の目にも判るような死相が浮かんで見えた。
 大海人は足繁く見舞いに行き、何度も元気付けたが、鎌足は体力のみならず気力も衰え果てたようだった。
「この国の未来は、皇子《みこ》様の双肩にかかっておりまする。何卒、よろしくお願い申し上げます」
 鎌足は、半身を起こすこともならず、枕に頭をつけたまま言った。
「何を申すか、気の弱いことを」
 大海人は励ました。
「いえ、このようなざまでは、もはや国のお役には立ちますまい」
「——」
「何卒、何卒、お願い申し上げます」
「だが、この国には帝がおわす」
「帝は頼りになりませぬ」
 鎌足は、はっきりと言った。
 大海人は思わず、あたりを見回した。
「滅多なことを言うものではない」
「いえ、死に行く者には、もう怖いものはありませぬ」
 淡々とした口調で鎌足は、
「もう、お会い出来ぬかもしれませぬ。このことは、わたくしの遺言としてお聞き下され」
 大海人は慰めの言葉を失った。
 鎌足は遠くを見るような目をして、
「思えば、いろいろなことがございました」
「そうだな」
「大極殿で、蘇我入鹿めを討ち取った時は、御活躍でございました」
 大海人は笑って、
「そなたもな」
「いえ、わたくしは——」
「隙あらば、蘇我に味方して、われらを討ち取ることも考えていたであろう」
「——」
「どうした、この際、本音を言ってしまえ」
「かないませぬな」
 鎌足は弱々しく笑った。
「やはり、そうか」
「お許し下さいますか」
「許すも許さないもない。そなたの功績は比類がない」
「おそれ入ります」
「——では、わしは帰るぞ」
「お体には、ぜひともお気を付け下さい」
「それは、こちらの言うことだ」
 大海人は目頭が熱くなった。
 帝が見舞いに来たのは、病いがますます篤くなり、危篤状態に入ってからだった。
「汝の功績は、類いない。よって、大織冠《たいしよくかん》と藤原の姓を授ける」
 帝はいきなり言った。
「かたじけのうございます」
 鎌足はか細い声で言った。
「どうじゃ、満足であろう」
 帝は得意そうに鼻をうごめかした。
(相変らずの御方じゃ)
 鎌足は、あらためて帝の人物に失望した。
 人の心というものが、全然わかっていない。確かに褒美もうれしいことだが、今の鎌足にとって本当に欲しいのは、この国の安定である。
 帝が、広い視野と偏りのない心で、この国の将来を見据えることだ。それさえしっかりしてくれるなら、鎌足は何もいらないのである。
 死に行く身に、冠も姓も無用のものだ。
「——陛下、わたくしはこの際、言上したき儀がございます。遺言と思し召され、お聞き頂けますでしょうか」
「——かまわぬぞ、申してみよ」
「この国の将来が案じられてなりませぬ」
 鎌足は、残った体力のすべてをふりしぼって、言葉を出していた。
「唐のことか」
 帝は、あらためてそれを言われるのは、不快だった。だが、鎌足が遺言だと言うので、それ以上文句はつけなかった。
「はい」
「何をせよ、と申すのだ」
「おわかりと存じます」
「新羅と仲よくせい、と申すか」
「左様でございます」
「しておるではないか」
 帝は言った。
「それは違う」
 鎌足は言った。
 新羅が頭を下げてきた。それを受け入れたことを、帝は友好関係と思っている。だが、新羅は日本の出方を探るために、様子を見ているに過ぎない。
 それを友好ととらえているのは、帝の目が曇っているのである。
「この国の行く末のためには、新羅と真の友好を結ぶしかありませぬ」
「今のままではいかぬ、と申すのか」
「はい、恐れながら」
「では、どうせよと申す」
「どうか、皇太弟様を新羅へ派遣なされませ」
「——」
「この儀、何卒、お聞き届け下さいませ。さもなくば、わたくしは死んでも死に切れないのでございます」
 帝は黙って、病床の鎌足を見つめていた。
 不快げな表情が、その顔に浮かんでいる。
「この儀、いかがでございましょうや」
「——ならぬ」
 帝は言った。
 鎌足は絶望的な目で、帝を見た。
 そして目を閉じた。
 そのまま、鎌足は一言も発することなく、三日後に五十六年の生涯を終えた。
 さすがに帝もこれを悲しみ、廃朝九日間に及んだ。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%