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中国怪奇物語056

时间: 2019-05-28    进入日语论坛
核心提示:  朱都事(しゆとじ)の怪我 松陽の村人が一人で山にはいって薪(たきぎ)をとっていたところ、夕暮れになって、突然、二匹の
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   朱都事(しゆとじ)の怪我
 
 
 
 
 松陽の村人が一人で山にはいって薪(たきぎ)をとっていたところ、夕暮れになって、突然、二匹の虎があらわれた。男はあわてて逃げ、木にのぼって難を避けた。二匹の虎はかわるがわる飛びついてきた。さほど高い木ではなかったが、男がのぼっている枝まではとどかなかった。虎はどうしてもとどかないとわかると、
「朱都事(注)に来てもらうことにしよう。彼ならうまくやってくれる」
 と、人間の言葉でいった。そして一匹は木の下に残り、一匹はどこかへ走って行ってしまった。
 しばらくすると、もう一匹の虎があらわれた。細い躰(からだ)つきをした、飛びあがることのうまそうな虎だった。その虎は飛びあがるたびに、その前足の爪を男の着物にひっかけた。男はそのとき、薪を切る山刀を腰にさしていることを思いだし、次に虎が飛びかかってくる時をねらって、必死の思いで山刀を振りおろした。山刀は虎の前足の爪を斬り落した。虎は大きな声で吼(ほ)え、ほかの二匹の虎といっしょにどこかへ逃げて行ってしまった。
 しかし男は木から下りることができなかった。やがて夜があけてきて、ようやく下りることができたが、家にたどりつく途中、村人に出会い、わけをきかれたので、昨夜のことを逐一(ちくいち)話したところ、村人は怪訝(けげん)な顔をして、
「なに、朱都事?」
 ときき返した、
「確かに朱都事といったのか。県城の東に朱都事という人が住んでいるが、もしかしたらその人かもしれんぞ。足の爪を斬り落したといったな、様子を見に行こうじゃないか」
 そこで村人数人を呼び集め、いっしょに朱都事の家へ行って、
「ちょっとおききしたいことがあって、朱都事さんにお会いしたいのですが……」
 というと、応対に出た息子が、
「父はゆうべ外出したとき、手に怪我をして、ひどく痛むといって寝ておりますので……」
 といった。
 村人たちはそれをきいて、朱都事こそゆうべの虎にちがいないと判断し、そのことを県令に訴えた。県令は村人たちの訴えをきくと、下役人に命じ、朱都事の家を包囲して火をつけさせた。火が燃えだすと朱都事はむくむくと起きあがり、虎の姿になって駆けだし、人垣を突き破って逃げて行った。
 下役人たちは朱都事の妻子たちを火の中から救い出したが、妻子たちは虎が朱都事になりかわっていたことをはじめて知り、みなおどろきのあまり気を失ってしまった。虎は逃げて行ったきり、その行方はわからずじまいだった。
唐『広異記』 
 
(注)「朱都事」の「都事」は官名で、尚書省の属官。退官して郷里に隠棲していても、その最終官名(あるいは最高官名)で呼ばれるのが旧時のならわしであった。
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