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中国怪奇物語067

时间: 2019-05-28    进入日语论坛
核心提示:  空を飛ぶ籠(かご) 江南の下〓(かひ)に、徐安(じよあん)という猟師がいた。その妻の王氏は評判の美人だったが、徐安は
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   空を飛ぶ籠(かご)
 
 
 
 
 江南の下〓(かひ)に、徐安(じよあん)という猟師がいた。その妻の王氏は評判の美人だったが、徐安は女色よりも狩猟を好み、ほとんど妻をかまうことがなかった。
 開元五年の秋のことである。徐安は海州(かいしゆう)の方へ狩猟の旅に出ていて、王氏がひとりで留守番をしていたところ、ある日、逞(たくま)しい体格をした美青年が通りかかって、王氏に流し目をしながら、
「あなたのような美しいかたが、ほんとうの歓(よろこ)びも知らずに一生をおすごしになるなんて……」
 と話しかけて来た。王氏はそういわれて躰(からだ)が熱くなり、顔を赤らめながらその青年に受けこたえをしているうちに、とうとう躰をゆるしてしまった。それは夫とのときには味わったことのない、はじめて覚えた深い歓びであった。その余韻は青年が立ち去ってからもなかなか消えなかった。
 それからは、青年は足しげく訪ねて来るようになった。王氏はそのつど、いそいそとして迎え入れ、歓(かん)を尽した。
 やがて徐安は旅から帰って来て、妻の態度のよそよそしいことに気づいた。わけをきいてみたが、妻は首をふるだけで何もいわない。躰の具合でもわるいのかときくと、うなずくだけで、徐安を近づけさせない。いったいどうしたのだろうかとあやしみ、それとなく気をくばっていると、冬至の日の夕方、妻は化粧をして部屋に引きこもったまま出て来なかった。徐安が気づかぬふりをしていると、妻は夜がふけて来たころどこかへ行ってしまったらしく、部屋の中にはいなくなっていた。ところが夜明けごろになると、また部屋に戻っているのである。部屋は戸口以外には出入りするところがない。いったいどこから出入りするのだろうかと考えてみたが、徐安にはどうしてもわからなかった。
 その後、徐安はひそかに様子をうかがいつづけているうちに、妻が部屋の隅に置いてある古い籠(かご)に乗るのを見た。これはおかしいぞと思って眼をこらしていると、その籠はふわりと浮きあがり、空気のように窓を突き抜けて外へ出るなり、どこかへ飛んで行ってしまったのである。そして夜あけになるとまた戻ってきた。そのときはじめて徐安は、妻に妖怪がついていることを知ったのである。
 そこで徐安は、翌日、日が暮れるとすぐに妻を別の部屋へ閉じ込めておいて、女の姿をし、ふところに短剣をしのばせて妻の部屋へはいり、古い籠に乗って待っていた。すると、夜がふけて来たころ突然籠はふわりと浮きあがり、窓から出てまっしぐらに空を飛んで、間もなく山の中に下りた。そこには幔幕(まんまく)が張りめぐらしてあって、酒肴(しゆこう)が並べたててある前に三人の青年が待っていた。三人は徐安の籠が着くとすぐ歩み寄って来て、
「王さん、よく来てくださいました。今夜もたっぷりたのしみあいましょう」
 とやさしい声でいった。その一瞬、徐安は短剣を握って打ちかかり、三人の青年をその場で殺してしまった。そして再び籠に乗ってみたが、籠はもう飛びたたなかったので、夜があけるのをそのまま待つことにした。
 夜があけてから見ると、昨夜殺した三人の青年はみな年を経た狐だった。徐安は山を下り、半日歩いて家に帰ったが、その晩から妻はもう化粧をしなくなった。徐安は妻に狐のことは何もいわなかったが、その後、それとなく聞いてみたところ、妻は狐と交わっていたあいだのことは何も記憶にないようであった。
唐『集異記』 
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