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中国怪奇物語072

时间: 2019-05-28    进入日语论坛
核心提示:  虎になる呪文 尋(じん)陽(よう)の周(しゆう)家に一人の下僕がいた。 ある日、彼は妻と妹をつれて薪を取りに出かけた
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   虎になる呪文
 
 
 
 
 尋(じん)陽(よう)の周(しゆう)家に一人の下僕がいた。
 ある日、彼は妻と妹をつれて薪を取りに出かけたが、やがて山の奥深くへはいっていったとき、突然二人にいった。
「おまえたち、早くその木の上へのぼれ。でないと危いぞ」
 二人がわけのわからぬまま、あわてて木にのぼると、彼はかたわらの藪(やぶ)の中へはいっていった。しばらくするとその藪の中から、一匹の黄色い斑のある大きな虎がおどり出てきて、すさまじいうなり声をあげながら木のまわりを馳けまわった。二人が生きた心地もなく木の上でふるえていると、やがて虎は藪の中へもどってゆき、かわって彼が出てきた。
「虎はどうしました?」
 と女たちがふるえ声できくと、彼は、
「もう下りてきてもよい。あの虎は、じつはおれなのだ。だが、このことは決して人に話してはならぬぞ」
 といった。
 主家へ帰ってからは、男のそぶりには何のかわったところもなかった。口どめされた妻と妹はしばらくは秘密をまもっていたが、ある日、妹がふと兄の不思議を仲間の下女にもらした。噂はすぐひろまって、周家の主人の耳にはいった。主人はまさかと思ったが、とにかくしらべてみようと思い、ある日、慰労を口実にして下僕に酒をふるまった。酒には酔いを強める薬がいれてあった。
 男が酔いつぶれてしまうと、主人はその着物を剥いで身体中をくまなくしらべた。だが、何のかわったところもなかった。さらに髪を解いてみると、髻(もとどり)の中から一枚の紙切れが出てきた。それには一匹の虎の絵が描いてあり、虎のまわりに呪(じゆ)文(もん)らしいものが書かれていた。主人は男の酔いがさめるのを待って詰(きつ)問(もん)した。男は知らぬふりをしていたが、虎を描いた紙切れを示されると、かくしきれず事情をあかした。
 尋陽の北の山中に異人が住んでいる。彼は人を変じて虎にする術を心得ていて、どんな人間でも、毛の色から爪(つめ)、牙(きば)にいたるまで、ほんとうの虎とすこしもかわらない虎に化してしまう。下僕は先年その山中へ米を売りにいって異人にあい、布や酒や鶏(とり)を贈って呪文を書いた紙切れをもらってきたのだといった。
六朝『捜神後記』 
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