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中国怪奇物語075

时间: 2019-05-28    进入日语论坛
核心提示:  天台山の神女 劉(りゆう)晨(しん)と阮(げん)肇(ちよう)は、ともに〓(せん)県の人である。 あるとき二人は天(て
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   天台山の神女
 
 
 
 
 劉(りゆう)晨(しん)と阮(げん)肇(ちよう)は、ともに〓(せん)県の人である。
 あるとき二人は天(てん)台(だい)山(さん)へ薬にする殻(こく)皮(ひ)を取りにいったが、道に迷って帰れなくなり、十三日間も歩きまわって、身体は疲れ腹は減り、そのまま死んでしまいそうな羽目になった。
 そのときふと山頂を見上げると、一本の桃の木があって、実がたくさん成っているのが見えた。ところが切り立った岩や深い谷に遮られて、上る道がない。二人は残った力をふりしぼり、藤や葛(かずら)にすがりついて岩をよじ上り、谷へ下り、また谷をよじ上りして、ようやく山頂にたどりつき、いくつかの桃の実をむさぼり食(くら)った。と、飢えがおさまって元気がみなぎってきたので、また山を下りていったところ、きれいな流れの谷川があった。そのほとりで一休みしながら、口をすすいだり顔や手足を洗ったりしていると、上流から蕪(かぶ)の葉が流れてきた。新鮮な色の葉である。しばらくすると、こんどは碗が流れてきた。碗には胡麻飯の粒がついている。
「これは人家から遠くない証拠だ。いってみよう」
 と、流れの中へはいって半道あまりさかのぼっていくと、やがて深い谷へはいった。なおも進んでいくと、谷川のほとりに二人の女が立っていた。二人ともたとえようもなく美しい。女たちは、二人が蕪の葉と碗を持ってあらわれたのを見ると、頬笑みながら、
「劉さんと阮さんが、さっき流されていったのを取ってきてくださったわ」
 といった。
 劉晨と阮肇はその女たちに見おぼえがなかったが、二人から姓を呼ばれたので、ふと昔なじみだったような気もして、曖(あい)昧(まい)に笑いながら挨拶をした。すると女たちは、
「どうしてこんなに遅かったのです?」
 といい、さきに立って自分たちの家へ案内していった。その家は銅の瓦(かわら)で屋根をふき、広い部屋の南と東の壁ぎわにそれぞれ大きな寝台がそなえてあって、どちらにも赤い絹の帳(とばり)を垂らし、帳の四隅には鈴をかけ、上の方には金糸と銀糸が織りまぜてある。そして寝台の脇にはそれぞれ十人ずつの侍女がひかえていた。その侍女に向って女たちは、
「劉さんと阮さんは山や谷を越えていらっしゃったので、さきほど玉(ぎよく)の実をおあがりになったけれど、まだおなかをすかしていらっしゃるでしょう。早くお食事をさしあげなさい」
 といいつけた。と、侍女たちはすぐ、胡麻飯と山羊の乾(ほし)肉(にく)と牛の肉を運んできた。みな味はことのほかおいしかった。食事がすむと酒になった。
 そのとき、二、三十人の女たちがうちつれて、にぎやかにはいってきた。みな手に手に桃の実をいくつか持ち、笑いながら、
「あなたがたのお婿さんがいらっしゃったので、みんなでお祝いにきました」
 といった。酒がたけなわになると音楽がはじまり、酒宴はいっそうにぎやかになった。劉晨と阮肇は夢見心地の中で、期待と不安に胸をおどらせていたが、やがて日が暮れてくると、酒宴はおひらきになり、二、三十人の女たちは口々にお祝いの言葉を残して、またにぎやかに、うちつれて帰っていった。
 侍女たちも引きさがってしまうと、二人の女はそれぞれ東と南の寝台へ劉晨と阮肇をいざない、いっしょに寝た。そして男女一組ずつ、それぞれ、歓びをつくしあったが、劉晨にも阮肇にもそれは夢ともうつつともつかぬ、いまだ味わったことのない歓びであった。
 十日たったとき、二人が帰らせてくれというと、二人の女は、
「あなたがたがここへおいでになったのは、前世からの福運に導かれてなのです。それなのにどうして帰りたいなどとおっしゃるのですか」
 といって、引きとめた。
 引きとめられるまま、二人は一年ほどそこに滞在したが、その間(かん)、気候も草木の様子も、いつも春で、さまざまな花が咲きさまざまな鳥が鳴いていた。
 一年たつと、二人はまた故郷のことを思いだして、帰らせてくれとたのんだ。すると二人の女は、こんどは、
「罪(ざい)業(ごう)に引きずられていらっしゃるのね。どう仕様もありませんわ」
 といい、前にきた二、三十人の女たちを招いて送別の宴を開いてから、いっしょに二人を見送り、帰る道を指さして教えてくれた。
 二人が山を出て故郷へ帰ると、村の様子はすっかり変っており、顔を知っている人は一人もいない。もとの自分の家へはいっていってきいてみると、当主は何代目かの子孫で、先祖で天台山へはいったまま帰らなかった者がいるということを親から伝えきいているといった。
 二人はしばらくそれぞれのもとの家に住んでいたが、まもなく二人とも、ふと家を出たまま帰らず、どこへいったのかわからなくなってしまったという。
六朝『幽明録』
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