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中国怪奇物語085

时间: 2019-05-28    进入日语论坛
核心提示:  ものぐさ坊主 衡(こう)山(ざん)の上の衡(こう)岳(がく)寺(じ)に、嬾(らん)残(ざん)という雑役僧がいた。 寺
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   ものぐさ坊主
 
 
 
 
 衡(こう)山(ざん)の上の衡(こう)岳(がく)寺(じ)に、嬾(らん)残(ざん)という雑役僧がいた。
 寺にきてから二十年になるが、嬾(ものぐ)さなたちで、いちども自分の食事を作ったことがなく、いつも寺僧たちの食べ残しをかき集めて食べていたので、嬾残という名がついたのである。彼は人にどのように見られようといっこうに気にすることなく、昼は寺の雑役をし夜は牛小屋に寝泊りして、淡々と日を送っていた。
 嬾残が寺にきてから二十年すぎた春のことである。住持の遠(とお)縁(えん)の者だという儒者ふうの男が、読書に専念するためといって寺の一室に住みついた。時の権力者に憎まれて、しばらく身を隠しにきた李(り)泌(ひつ)であった。
 李泌は嬾残を見て、ただ者ではないと思い、ある日、嬾残が薪(まき)を運んでいるところを呼びとめていった。
「お見受けしたところ、あなたはただの雑役僧ではないようだが……」
「それで、どうだというのだね。薪運びを手伝ってやろうというのでもあるまい。仕事の邪魔をしないでくれ。邪魔をするから人に憎まれるのだ」
 李泌はそれをきいてはっと思った。いよいよ、これはただ者ではないという確信を深めた。嬾残は李泌を相手にせず、そのまま行ってしまった。
 ある夜更け、李泌は牛小屋から経文をとなえる声のきこえてくるのに気づいて、耳をすました。しばらくきいていて、ぱっと跳(は)ね起き、
「やっぱり、そうだったのか」
 とつぶやくと、急いで牛小屋へ行った。
 嬾残は土間に腰をおろして、乾(ほ)した牛糞を燃やしていた。李泌がうやうやしく拝礼して、
「なにをしておいでです」
 ときくと、嬾残はふりむきもせずに、
「芋(いも)を焼いているのだ」
 といった。
「お見とおしのようですが、わたしは李泌と申します。どうか、人(じん)間(かん)のわずらわしさから逃れる道をお教えくださいますよう」
 李泌がそういうと、嬾残は火を吹きおこしながら、
「なにを寝(ね)惚(ぼ)けているのだね。お前さんはよほど人の邪魔をすることの好きな人と見えるな。いまは夜中だ。さっさと帰って寝なされ」
 といって、やはり相手になろうとしない。
「さきほど、経文をとなえておいででしたが……」
「それがどうしたというのだね。芋がなかなか焼けぬので、退屈しのぎにとなえていただけだ」
「わたしは、音(おん)色(しよく)をききわける術を、いくらか心得ております。あのお声には俗人にはない清澄な響きがありました。そして、はじめのうちはもの悲しく、次第にかわっていって、後には、よろこびの音色になりました。あなたは天上からこの人(じん)間(かん)に流されてきた仙人で、近いうちにまた天上へおもどりになる方(かた)でしょう」
「わしを謫(たく)仙(せん)だというのか。お前さんがそう思うのなら、そうだろう。ただの雑役僧だと思う人にとっては、わしはただの雑役僧だ」
「わかりました」
「なにがわかったのだね。まだ寝惚けているようだな。さあ、この芋でも食べて、はっきり眼をさますがよい」
 嬾残は牛糞をかきわけて、中から芋を一つ拾い出し、半分に割って、
「そこへ腰をおろすがよい」
 と自分の前の席を指さし、李泌が一礼して腰をおろすと、半分の芋を手渡した。
 李泌がおしいただいて、その芋を食べてしまうと、嬾残はいった。
「もう、人(じん)間(かん)のわずらわしさから逃れようなどとは考えないことだな。お前さんはその芋を食べたことによって、十年間、宰相になる運を授かったのだ。お前さんにとっては、人(じん)間(かん)を逃れることよりもその方が、ほんとうは望ましいことだろうと思ってな。さあ、もうなにもいわずに帰りなさい。わしは睡(ねむ)たくなってきた」
 そういって牛糞の焚(たき)火(び)のそばに、そのままごろりと横になってしまった。李泌は立ちあがってまた拝礼し、そして自分の部屋へ帰っていった。
 それから一(ひと)月(つき)ほどたった夜、にわかに風がおこり雷が鳴り雨が降って、一つの峰がくずれ、大石が本堂へのぼる石段をふさいでしまった。寺では十頭の牛に綱をつけてその大石を引かせ、数十人の者が掛け声をかけて石を押したが、何度やってみても、大石はびくとも動かない。そのとき、
「わしが動かしてみようか」
 といった者がいた。
「なんだ、嬾残か。気でも狂ったのか」
 と寺僧たちが笑うと、嬾残は、
「それじゃ、やめよう。そのほうがわしも疲れずにすむ」
 といった。寺僧たちはどっと笑った。
 李泌がそれを見て、大声で寺僧たちにいった。
「みなさん、やらせてみたらどうですか。あるいは動くかもしれないし、動かないかもしれない。動けばよし、動かなければ動かないで、それでよいではありませんか」
 長老の一人が、李泌の顔を見てうなずき、嬾残を呼びもどした。
 嬾残は東側の谷を指さして、
「そっちの谷へころがすから、そこの者は、みんな退(の)いてくれ。牛もだ」
 といい、みんなが退いてしまうのを待って、大石に片足をかけた。しばらくすると、微かに石がゆれだした。そのゆれかたがだんだん大きくなってゆく。
 寺僧たちがみな自分の眼を疑った瞬間、大石はごろごろと音をたててころがりだし、百雷のとどろくような音を残して東の谷へ消えていった。
 寺僧たちはみな茫然としていたが、しばらくして我にかえり、長老を先頭に列を作って並んで、嬾残に対して合掌をした。
「ちがう、ちがう。やめてくれ」
 嬾残はあわてて、手をふっていった。
「わしのせいじゃないんだ。ちょうど石がころがり落ちる時期になっていただけなんだよ。たのむからやめてくれ」
 その翌日、山門の外に、にわかに虎や豹(ひよう)が群をなしてあらわれ、いまにも跳びこんできそうな勢いを見せて、しきりに咆(ほう)哮(こう)した。寺僧たちはみな生きた心地もなく、念仏をとなえたり、かくれ場所をさがしたりして、寺は、大さわぎになった。
 長老が一同を制していった。
「見苦しいぞ。嬾残はどこへいった。あの大石でさえ動かしたのだ。嬾残にたのんだら追いはらってくれるかもしれぬ。嬾残をさがせ」
 と、ちょうどそこへ嬾残がやってきて、
「それじゃ、わしが追いはらってみましょう」
 といい、そのままさっさと一人で、山門の方へ歩いていった。
 嬾残の姿が山門の外に消えると、寺僧たちは一塊りになって、おそるおそる山門のところまでいってみた。と、一匹の虎が嬾残をくわえ、ほかの虎や豹はみなその虎のあとについて、谷の方へ馳けていくのが見えた。
 嬾残がどうなったか、誰も知らない。
 李泌はその後、宰相になり、十年間その職をつとめた。
唐『甘沢謡』 
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