日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

中国怪奇物語087

时间: 2019-05-28    进入日语论坛
核心提示:  鯉 蜀(しよく)州の青城県に、薛(せつ)偉(い)という主簿がいた。県(けん)丞(じよう)の鄒(すう)滂(ぼう)、県(
(单词翻译:双击或拖选)
   鯉
 
 
 
 
 蜀(しよく)州の青城県に、薛(せつ)偉(い)という主簿がいた。県(けん)丞(じよう)の鄒(すう)滂(ぼう)、県(けん)尉(い)の雷(らい)済(せい)・裴(はい)寮(りよう)といっしょに任命されたのであった。
 薛偉は主簿に任命された年の秋、病気になった。病気は重く、七日目には息もたえだえになって、死んでしまったように見えた。いくら呼んでも答えなかったが、胸のあたりにかすかにぬくもりが残っていたので、家族の者は棺へ納めるには忍びず、薛偉のまわりをとりかこんで容態を見まもっていた。
 十日すぎ、十五日すぎても、容態はかわらなかったが、二十日すぎたとき、薛偉は突然、長いうなり声をあげて起きあがった。そして家族の者に、
「わたしはいったい、何日間気を失っていたのだね」
 とたずねた。
「二十日間です」
 というと、薛偉は、
「ほかの役人たちの様子を見てきてくれ。いま、なますを食べているかどうか——。もしなますを食べていたら、こう言ってくれ。わしはもう生き返った、大変めずらしい話があるから、みんな箸(はし)を置いて聞きにきてくれとな」
 という。
 下男が走っていって役人たちの様子を見ると、はたしてなますを食べようとしているところであった。そこで主人の言葉を伝えると、みんなは食べるのをやめて下男についてきた。薛偉は一同を見て、
「みなさんは、戸籍係の小使の張(ちよう)弼(ひつ)にいいつけて魚を買いにいかせたでしょう」
 という。
「そのとおりだが、どうしてそれを……」
 と、一同がいぶかると、薛偉はまた下男に張弼を呼んでこさせて、張弼にいった。
「漁師の趙(ちよう)幹(かん)は大きい鯉をかくしておいて、小さいのをお前に売ろうとしたな。お前はそれに気づいて、趙幹が葦のあいだへかくしておいた鯉を見つけ出し、それを持って帰ったな。お前が役所へもどったとき、戸籍係の下役人と治安係の下役人が碁を打っていたな。奥へはいっていくと、鄒県丞と雷県尉が博奕(ばくち)をしていて、裴県尉は桃を食べていたな。趙幹が大きい鯉をかくしていたとお前が話すと、裴県尉は怒って趙幹を鞭で打てといいつけたな。お前が鯉を料理人の王士良にわたすと、やつはよろこんで鯉を殺したな。そうだろう」
 張弼はいちいちうなずいた。一同が、
「どうしてそれを知っているのか」
 とたずねると、
「さっき王士良が殺した鯉は、このわたしなのだ」
 といった。一同はびっくりして、口々に、
「いったいそれはどういうことなのだ。くわしく話してくれ」
 といった。薛偉は話しだした。
 
 病気になったとき、はじめは高い熱が出てどうにも我慢ができぬほど苦しかった。そのうちに、ふと気が遠くなったと思うと、病気のことは忘れてしまい、熱をさましに涼しいところへゆきたくなって、杖をついて出かけた。夢の中のことだということには全く気がつかなかった。町を出るととてもうれしくて、籠の中の鳥か檻(おり)の中のけものが逃げ出したときの気持も、この自分のうれしさには及ぶまいと思われるほどだった。
 それから山奥へはいっていったが、山道を登るにつれてだんだん暑くなってきたので、谷へ下りていって谷川のほとりをぶらぶらしていた。川を見ると、深く澄みきっていて、美しい秋の色をたたえ、さざ波ひとつ立たず、鏡のように大空とつながっている。見ているうちにふと泳ぎたくなって、着物を岸にぬぎすてて飛びこんだ。子供のときにはよく泳いだが、大人になってからは水遊びをしたことはない。いま存分に泳ぐことができて、日頃の願いのかなえられた思いで、うれしくてならなかった。そして、
「人間は魚のように早く泳ぐことはできない。魚の姿になってすいすいと泳げたらどんなによかろう」
 とつぶやいていると、一匹の魚が近寄ってきて、
「その気になれば、なれないことはありませんよ。ほんとうの魚になることだって、そうむずかしいことではありません。まして、魚の姿になりたいというくらいのことなら、わけなくかなえられますよ。わたしがとりはからってあげましょう」
 といった。そして、すいとどこかへいってしまった。
 しばらくすると、魚の頭をした、身のたけ数尺もある人が、鯨に乗って先頭に立ち、数十匹の魚をうしろに従えてあらわれた。その人はわたしにむかって、川の神の河(か)伯(はく)の詔書をおごそかに読みあげた。
「俗界に住むことと水中に遊ぶこととは、浮(ふ)沈(ちん)その道を異(こと)にする。水中に遊ぶことを好む者でなければ、水の世界の楽しさはわからぬはずである。薛主簿は、心は深い淵に浮ぶことを好み、身は障害のない境地に遊ぶことを望んでいる。はてしない水のひろがりを楽しみ、清らかな川の流れに憂いを晴らし、絶壁のようにけわしい俗界の情をきらって、幻の世を捨てたいと思っている。よってその願いをかなえることにする。しばらくのあいだ魚の姿にするのであって、ただちに身を魚に化するのではないから、かりに東の淵の赤い鯉の姿をあたえる。ああ、大波をおこす力をたのんで船をくつがえすようなことをすれば、冥(めい)界(かい)よりの罰を受け、釣針に目をくらまされて餌をむさぼるようなことをすれば、人間界よりの害を受けるであろう。身をあやまって同類を恥かしめることのないよう気をつけて、楽しく暮すがよい」
 魚の頭をした大男は河伯の詔書を読みおわると、鯨に乗って引き返していった。わたしは呆然と見送っていたが、ふとわが身をふりかえってみると、わたしの身体はすっかり赤い鯉になりかわっていたのであった。
 それからはわたしは悠々と泳ぎまわることができ、ゆこうと思うところへはどこへでもすぐゆくことができた。波の上であろうと淵の底であろうと、思いのままにならぬところは一つもない。三江五湖の遠いところまで、鰭(ひれ)をうごかして隈(くま)なく泳ぎまわった。ただ、住居は東の淵ときめられていたので、日暮れになればそこへ帰っていった。
 そのうちにだんだん腹がすいてきたので、食べ物をさがしたが見つからない。そこで一艘の舟のあとについていったところ、餌のついた釣針が目の前におりてきた。それは趙幹がおろした釣針だったのである。ひどく腹のすいているわたしには、その餌はうまそうに見えた。釣りあげられてはいかんと気にしながら、ついわたしは口を近づけた。だが、
「おれは人間だ。しばらくのあいだだけ魚の姿になっているだけだ。腹がすいているからといって、釣針を呑むなんてことができるものか」
 と思いなおし、餌を見捨ててそこを離れた。ところが腹はますますすいてくる。そこでわたしはまた考えた。
「おれは役人だ。たわむれに魚の姿になっているだけだ。釣針を呑んだところで、趙幹がおれを殺すはずはない。きっとおれを役所へ送り帰してくれるだろう」
 そして、その釣針に食いついてしまったのである。すると趙幹は糸をたぐって、わたしを水の中から釣りあげた。趙幹がわたしの身体をつかもうとしたとき、わたしは何度も、
「趙幹、おれだよ、おれだよ」
 と呼んだが、やつは耳にもとめずにわたしをつかまえ、わたしの腮(えら)に縄(なわ)をさし通して、葦のあいだへかくしてしまったのである。しばらくすると張弼がやってきて、
「裴県尉さまが鯉をお買い上げになる。大きいやつをくれ」
 といった。趙幹がいつわって、
「大きい鯉はまだ釣れませんので。小さいのなら、あわせて十斤あまりありますが」
 というと、張弼は、
「大きいのを買ってこいというおいいつけだ。小さいのでは役に立たん」
 といい、葦のあいだからわたしをさがし出し、腮に通した縄を持ってわたしをぶら下げた。そこでわたしは張弼にいった。
「おい、わしはお前の役所の主簿だ。魚に姿をかえて川を泳いでいたんだよ。なんでお前はわしに挨拶もせんのか」
 何度いっても張弼は耳もかさず、わたしをぶら下げて歩きだした。わたしはわめきつづけたが、張弼は知らぬ顔をして役所の門へはいっていく。門のところでは下役人が碁を打っていた。わたしはその下役人たちにも呼びかけたが、誰も返事をせずに、
「いやあ、これはでっかい鯉だ。三、四斤はあろうな」
 といって笑っている。奥の部屋へいくと、鄒県丞と雷県尉が博奕(ばくち)をしており、裴県尉は桃を食べているところだった。張弼がわたしを見せると、三人とも大きな鯉だといってよろこび、すぐ料理人にいいつけてなますにさせてくれといった。張弼が趙幹のことをいうと、裴県尉は怒って、趙幹を鞭(むち)で打つようにいいつけた。
 そのときわたしは、あなたがた三人に呼びかけたのだ。
「わたしはあなたがたと同役なのに、あなたがたはわたしを殺そうというのか。ああ、これがいっしょに任命された同役のすることか。なんというなさけないことだ」
 わたしはそういって、声をあげて泣いたが、あなたがたは知らん顔をして、
「早く料理人に殺させろ」
 と張弼をせかせた。
「なんということだ。助けようとしないばかりか、早く殺せとせかせるとは!」
 大声で泣いているわたしをぶら下げて、張弼は台所へゆき、わたしを料理人の王士良に渡した。王士良はちょうど庖丁をといでいるところだったが、わたしを見ると、
「これはよいなますができるぞ」
 と、よろこんでわたしを俎(まな)板(いた)の上に横たえた。そのときわたしはまた叫んだのだ。
「王士良よ。お前はわしがいつも料理をいいつけている料理人じゃないか。なんだって主人のわしを殺すのだ。早くわしを助けて、これは薛主簿だと同役にいってくれ。たのむ!」
 だが王士良は何もきこえないような顔をして、わたしの首を俎板におしつけ、ぐさりと庖丁をあてた。その俎板の上でわたしの首が落ちたと思った瞬間、この部屋でわたしは正気にかえったのだ。
 
 一同はこの話をきいて、不思議なこともあるものだと思った。趙幹が鯉を釣りあげたとき、張弼がそれをぶら下げてきたとき、下役人が門のところで碁を打っていたとき、三人が奥の部屋にいたとき、王士良が俎板の上にそれをのせたとき、誰もが鯉の口がぱくぱくと動くのは見たが、声はきこえなかったのである。
 一同はみな、それ以来、なますを口にしなかったという。
唐『続玄怪録』 
 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%