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中国怪奇物語119

时间: 2019-05-28    进入日语论坛
核心提示:  廬山の神 呉郡の太守に、張(ちよう)璞(はく)という人がいた。 召還を受けて都へ帰る途中、廬(ろ)山(ざん)を通りか
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   廬山の神
 
 
 
 
 呉郡の太守に、張(ちよう)璞(はく)という人がいた。
 召還を受けて都へ帰る途中、廬(ろ)山(ざん)を通りかかった。そのとき張璞の娘は女中といっしょに山の中の廟(びよう)を見にいったが、女中が神像を見て、
「お嬢さん、ごらんなさい。立派な神さまですわ。お嬢さんのお婿(むこ)さんになさいませ」
 というのをきいて、
「そうねえ」
 とうなずいた。
 その夜、張璞の妻の夢枕に廬山の神があらわれ、
「ふつつかな息子ですが、お嬢さんが婿にお選びくださって、ありがたく思っております。これはほんの心ばかりの品ですが、どうかお納めくださいますよう」
 といって、結(ゆい)納(のう)の品をさし出した。
 張璞の妻は眼をさましてから、不思議に思って、家族の者に何か心あたりはないかとたずねた。すると昨日娘といっしょに廟へいった女中が、神像のことを話した。妻はおそろしくなり、夫をせきたててすぐに船を出させた。
 ところが、川の中ほどまで進むと、船はまるで浅瀬に乗り上げてしまったように、全く動かなくなってしまった。いっしょに船に乗っていた人々は廬山の神のたたりだといっておそれ、それぞれ自分の持物を川へ投げいれて無事を祈ったが、やはり船は全く動かない。そのうちに乗客の一人が、
「太守さまのお嬢さんを川へ投げこむより仕様があるまい」
 といったところ、急に船は動きだした。すると人々は口々に張璞にいった。
「神さまの思し召しはこれではっきりしました。お嬢さん一人の命を救おうとして、太守さまは、ご自分の一門はおろか、なんのかかわりもないわたしたちの命までが失われてしまうのを、よくも坐視しておられますね」
 張璞はそれをきくと、
「わしは、娘が川へ投げこまれるのを見てはおれん」
 といい、船室へ引きこもってしまった。
 張璞の妻はそのとき、張璞の兄の忘れ形見の娘を身代りに立て、水面にむしろを敷いてその上に娘をのせた。すると船は進みだした。
 張璞はそのあとでそのことを知ると、
「わしは世間の人たちにあわせる顔がない」
 といい、自分の娘をさらに川へ投げこませた。やがて船が向う岸へ着くと、川へ沈んでしまったはずの二人の娘の姿が対岸に見え、そのそばには一人の役人の身なりをした者が立っていて、こういうのがきこえてきた。
「わたしは廬山の神の秘書です。張璞どの、廬山の神はあなたの義理にあついお心に敬服なさって、二人の娘御をそっくりお返しすることになさいました。ここへおつれしましたから、あとでお引きとりにおいでください」
 そういうと、その姿はかき消えてしまった。船はまた引き返して二人の娘を乗せたが、そのとき娘たちの語ったところによると、川の底に美しい宮殿が見え、大勢の役人たちがいるのが見えたが、水の中にいるという感じはすこしもしなかったという。
六朝『捜神記』 
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