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中国怪奇物語135

时间: 2019-05-28    进入日语论坛
核心提示:  鬼神の荒縄 長安に劉(りゆう)根(こん)という人がいた。 若いころから嵩(すう)山(ざん)に入って修行していたが、や
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   鬼神の荒縄
 
 
 
 
 長安に劉(りゆう)根(こん)という人がいた。
 若いころから嵩(すう)山(ざん)に入って修行していたが、やがて神人にめぐりあって仙術を学び、ついにその秘訣を会(え)得(とく)して、思いのままに鬼神をつかうことができるようになった。
 劉根は嵩山をくだって長安へもどり、市井に韜(とう)晦(かい)しながらひそかに世人の厄災を救っていたが、その後、穎(えい)川(せん)へいったところ、はしなくも捕吏に捕えられて獄につながれた。
 穎川の太守は史(し)祈(き)といって、劉根を、妖法をおこなって衆をまどわす者とみなし、捕えて殺そうとしたのである。
 史祈は劉根を獄から引きださせて、おごそかにいいわたした。
「その方は鬼神をつかうなどと大言して良民をまどわしているが、まことに不(ふ)埒(らち)。よって、死罪を申しわたす。不服ならば、いまここで鬼神をつかって見せるがよい」
 すると劉根は平然としていった。
「鬼神をつかうことなど、いともたやすいことです。お望みとあらば、眼前でごらんにいれましょう。つきましては、筆を一本お貸しください」
「この期(ご)におよんで、まだたぶらかしをしようとするのか」
「たぶらかしかどうかは、ごらんになればわかりましょう。まず筆をお貸しください」
 史祈がにがい顔をして小役人に筆をわたさせると、劉根は紙になにやら御(ご)符(ふ)のようなものを書いた。と、さっと一陣の風がふきおこり、同時に役所の門前に人々のざわめく声がきこえてきたかと思うと、数人の鬼神が二人の囚人を縛ってあらわれた。鬼神は眼を怒らして史祈をにらみつけていった。
「おろかな役人め! この二人の囚人が誰か、よく見るがよい。おまえの両親がこのような縄目のはずかしめを受けているのも、おまえのせいだぞ。神仙の道を疑うばかりか、かしこくも真(しん)人(じん)さまを捕えて死罪にしようなどとは、なんということだ」
 史祈が見ると、荒縄で縛られているのは、まごうことなく、先年死んだ自分の父と母であった。両親は劉根にむかって叩(こう)頭(とう)して、
「真人さま、息子が無(ぶ)礼(れい)をはたらきまして、なんとも申しわけございません」
 といい、さらに息子を叱っていった。
「おまえは、なんという恥知らずだ。先祖に対して光栄をあたえることができないばかりか、かえって神仙に対して無礼をかさね、生みの親にまでこのような難儀をかけるとは。改心して早くおゆるしを請うがよい」
「改心いたします」
 と史祈はぶるぶるふるえながらいった。
「改心いたしますゆえ、鬼神さま、なにとぞおゆるしくださいませ」
 すると鬼神がまた眼を怒らしてどなりつけた。
「ばかものめが! わたしたちにゆるしを請うてなにになる。そちらの真人さまに謝罪をするのだ」
 史祈はあわてふためき、劉根にむかって叩頭していった。
「真人さま、まことにご無礼をいたしました。その罪は万(ばん)死(し)にあたります」
「そうだ。おまえのいうとおりだ。その罪万死にあたると思うなら、いますぐわたしたちがおまえをつれて帰ろう」
 鬼神がそういっておどかすと、史祈はいよいよあわて、ますますふるえて、
「鬼神さま、真人さま、どうかおゆるしくださいませ。今後はかならず身をつつしみ、心をいれかえて、決してこのようなことのないようにいたしますから、今回のことはなにとぞおゆるしくださいませ」
「いや、つれて帰る!」
 と鬼神がなおもおどかすのを、劉根が手で制して、
「もうよい。そなたたちは控えていなさい」
 といい、史祈にむかって笑いながら、
「太守どの。これで眼がさめたかな。これからは、権力をかさに着て無(む)辜(こ)の良民を苦しめたり罰したりするようなことのないようにな」
 といった。
「ははっ!」
 といって史祈は平伏したが、おそるおそる顔をあげてみたときには、すでに、劉根の姿も鬼神たちの姿も両親の姿も、なにもなく、ただ、両親が縛られていた荒縄が落ちているだけであった。
 その後、劉根の姿を見かけた者は誰もなかった。また嵩山へもどっていったという噂であった。
六朝『捜神記』 
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