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中国怪奇物語147

时间: 2019-05-28    进入日语论坛
核心提示:  赤い上着 漢のころ、談生(だんせい)という書生がいた。四十になっても、いまだに官途につくことができず、貧乏で妻を娶(
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   赤い上着
 
 
 
 
 漢のころ、談生(だんせい)という書生がいた。四十になっても、いまだに官途につくことができず、貧乏で妻を娶(めと)ることもできない。
 ある夜、悶々としていると、どこからともなく一人の女がやって来て、
「わたし、あなたの妻になりますわ」
 と言った。年のころは十五、六。その容貌(ようぼう)も衣装も、この世の人とは思われぬほどの美しさであった。
「夢をみているのではなかろうか」
 と談生が言うと、女は、
「夢ではありません。ただ、お約束していただきたいことがあります。夫婦になって三年たつまでは、わたしをあかりで照らさないでほしいのです。それさえお守りくださるなら、よろこんであなたの妻になります」
 と言った。
「守るとも」
 と談生が言うと、女はうなずいて彼に身をまかせた。
 こうして二人は夫婦になり、一年たって男の子が生れた。さらに一年たってその子が二つになったとき、談生は三年たつまではという約束を守りとおすことができなくなり、ある夜、妻がよく眠っているのを見すまして、そっとあかりで照らしてみた。
 と、妻は腰から上は美しい肌をしていたが、脚はひからびた白骨だった。あっとおどろくと同時に、妻が眼をさまして、
「どうして約束を守ってくださいませんでしたの。もうすこしでわたしは生き返ることができましたのに。あと一年の我慢ができずに、わたしを照らしておしまいになって! これでもう、お別れしなければならなくなりました」
 と言った。談生は涙を流しながらあやまったが、いまとなってはもうどうすることもできない。
「なんとおっしゃっても、わたしたちの縁はもう切れてしまったのです。わたしにもあなたにも、どうにもなりません。これでお別れしなければなりませんけれど、わたしがいなくなれば、あなたはまた、もとのように貧乏になられましょう。そうなると、わたしの生んだ子のゆくすえが気がかりでなりません。これをお贈りしますから、これで暮しを立てて、わたしの子をちゃんと育ててください」
 女はそう言って、赤い上着を談生に手渡してから、
「あなたの形見に、これをいただいて行きます」
 と、談生の着物の裾(すそ)を裂き、それを持ってどこへとも知れず立ち去って行った。
 その後、談生が暮しに困って、その赤い上着を町へ売りに行くと、〓陽(すいよう)王の家臣がそれを銭一千万貫で買いとった。王はその上着を見ると、おどろいて、
「これは娘の棺に入れてやった上着だ」
 と言った。
「どこで買って来たのだ。娘の墓をあばいたやつがいるにちがいない」
 こうして談生は捕えられて、きびしく調べられた。談生がわけを話しても王は信じることができず、娘の墓へ行ってみた。
 墓はもとのままで、どこにもあばいた跡はなかった。念のために掘りかえして、棺をあけてみると、赤い上着だけがなくなっていて、しかも談生が話したとおり、娘の死骸はその手に彼の着物の裾の切れ端を握っていた。
 王はさらに娘が生んだという子をつれて来させてみたところ、その子の顔は娘にそっくりだった。王ははじめて談生の話したことがほんとうだったことを知り、彼を女婿(じよせい)と認めたうえ、厚く贈り物を与え、さらに上奏して子供に郎中(ろうちゆう)の官を授けた。
六朝『捜神記』 
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