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中国怪奇物語154

时间: 2019-05-28    进入日语论坛
核心提示:  汝陽(じよよう)の宿 汝南(じよなん)郡汝陽(じよよう)県の西門の近くに、公設の旅舎があった。この宿の二階は、昼間は
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   汝陽(じよよう)の宿
 
 
 
 
 汝南(じよなん)郡汝陽(じよよう)県の西門の近くに、公設の旅舎があった。この宿の二階は、昼間はなにごともないが、夜、泊る者があると怪異があらわれて人の精気をぬいてしまうと言い伝えられていて、誰も二階に泊る者はなかった。
 ある日の夕暮れ、汝南郡の属官の鄭奇(ていき)という人が、汝陽の宿まであと一里たらずのところへさしかかったとき、道に一人の女が立っていて、
「もし、お役人様」
 と呼びかけた。鄭奇があやしんで足をとめると、女は、
「日が暮れてきて、女一人では心細うございます。道づれになってくださいませんか」
 と言った。見れば別段あやしいところもなさそうなので、承知して、
「どこまで行くのです」
 ときくと、女は追いすがるようにして肩を並べながら、
「急用で南頓(なんとん)まで行かなければならないのですが、汝陽へ着いたらもう日が暮れてしまいますから……」
 と言う。なかなか美しい女だ、これはものにできるかもしれない、と鄭奇が心を動かしながら、
「わたしは汝陽の公設の旅舎に泊るつもりだが」
 と言うと、女はその心を見すかしたように、
「ずうずうしい女とお思いかもしれませんが、お役人様といっしょならわたしも安心して泊れます。わたしを妻ということにして、西門の旅舎にお連れくださいませんでしょうか」
「それはどういうことです」
「女一人ですと、あやしんで泊めてくれないかもしれませんし、心細うもございますし、それに公設の旅舎なら路銀の方もたすかりますし……」
「よろしい。あなたさえよければそうしましょう」
 やがて旅舎に着くと、鄭奇は係りの者に官姓名を告げて、
「二階があいているようだな」
 と言った。
「あいておりますが、二階は……」
 と係りの者がわけを話すと、
「なにをばかなことを言う。たとえ怪異があらわれたとしても、わたしはそんなものはこわくない」
 と言い、女を連れて二階へあがって行った。
 その夜、鄭奇は女と歓(かん)を尽くし、翌朝、
「怪異などあらわれなかったぞ」
 と言って、一人で宿をたった。
「奥様は?」
 と係りの者がきくと、
「まだ眠っている。目がさめるまで寝させておいてやってくれ」
 と言い残してたって行った。
 係りの者はその後、日が高くなっても女が起きてこないので、そっと二階へあがって、部屋をのぞいてみた。と、女は寝台の上で死んでいたのである。
 あわてて旅舎の係長に知らせると、係長もびっくりし、太鼓を鳴らして各旅舎にいる役人たちを呼び集めた。
 まもなく、その女は汝陽県の西北一里あまりの村の呉家の嫁であることがわかった。呉家から奇妙な届けが役所に出ていたので、もしやというわけで呉家の者を呼んで死体を見せたところ、嫁にまちがいないと言ったので、わかったのだった。
 届けというのは、呉家の嫁は家で病死したのだが、昨夜、棺に納めようとしたところ、急にあかりが消えたので、あかりを持って行ったところ、死体がなくなっていた、というのである。女はまだ二十五、六歳だったが、数年前に夫に死別し、以来よく舅姑に仕えながら女手一つで一家をささえていて、近所でも評判の貞女だったという。
 鄭奇は汝陽の宿を出てからしばらくすると急に気分がわるくなってきて、からだじゅうの精気がぬけていくような気がしたが、ようやくの思いで南頓県までたどりついたときにはもう一歩も動けなくなり、そのまま死んでしまった。
六朝『捜神記』
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