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中国怪奇物語166

时间: 2019-05-29    进入日语论坛
核心提示:  形見の絹二疋(ひき) 山東の青州に、崔基(さいき)という人が住んでいた。同じ町の朱という家に美貌の娘がいたが、崔基は
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   形見の絹二疋(ひき)
 
 
 
 
 山東の青州に、崔基(さいき)という人が住んでいた。同じ町の朱という家に美貌の娘がいたが、崔基はこの娘に惚(ほ)れこみ、いずれ妾(めかけ)にすると約束してひそかに家に呼びいれ、情交を重ねていた。
 ある夜、崔基は門をたたく音に目をさました。いそいで出て行って見ると、娘が頬を涙でぬらして立っていた。
「この真夜中に、どうしたのだ」
 ときくと、娘は泣きながら、
「わたし、いま、急病で死んでしまいました。あなたにかわいがっていただきましたのに、もう永久にお会いすることができなくなるのかと思うと、かなしくてなりません」
 と言い、懐(ふところ)から二疋(ひき)の絹を取り出して、
「この絹は、あなたに着物を縫ってあげようと思って織っておいたのですが、もう縫えなくなってしまいました。形見にこれをさし上げます」
 と言った。
 崔基はその絹をもらい、かわりに八尺の錦を贈った。娘はそれを受け取ると、また泣きながら、
「これで永のお別れです」
 と言い、ぱっと姿を消してしまった。
 翌日、崔基は娘の家へ行って、
「昨夜、お嬢さんに何か変ったことはありませんでしたか」
 とたずねた。すると娘の父親はおどろいて、
「どうしてご存じなのですか」
 と言い、涙を流しながら、
「昨夜急病になって、医者を呼びに行くひまもないうちに死んでしまいました」
 と言った。崔基が、
「妙なことをおたずねしますが、お宅では絹がなくなってはいませんか」
 とたずねると、父親はまたおどろいて、
「どうして、そんなことまでご存じなのですか」
 と言い、涙をぬぐいながら、
「昨夜娘が亡くなったあと、家内が経帷子(きようかたびら)を縫ってやろうとして、以前娘が自分で織った絹の残りが二疋ありましたので、箱の中から出したのですが、ちょっと脇見をしているうちに、なくなってしまいました」
 と言った。崔が、
「その箱の中に、もしかしたら、錦が八尺はいっているかもしれません。調べてみてください」
 と言うと、父親は箱をあけてみて、
「ある! いったい、これはどうしたことだ? 夢をみているのではあるまいか」
 とつぶやいた。
 崔基がそこで、昨夜のことをくわしく話すと、母親も出てきて、
「そんなにあなたを慕っていたとは知りませんでした。かわいそうに……」
 と言って泣いた。
 崔基はその後、娘の両親に嫁の親として仕えた。
六朝『述異記』(祖冲之)
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