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中国怪奇物語169

时间: 2019-05-29    进入日语论坛
核心提示:  鏡を買う娘 天宝年間のことである。韋栗(いりつ)という人が江西の新淦(しんかん)県の県丞(けんじよう)に任命された。
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   鏡を買う娘
 
 
 
 
 天宝年間のことである。韋栗(いりつ)という人が江西の新淦(しんかん)県の県丞(けんじよう)に任命された。韋栗には十歳あまりになる娘があった。
 都から赴任して行く途中、揚州を通ったとき、娘が鏡を買ってほしいと言いだした。漆塗りに金泥(きんでい)で花の模様を描いた裏のついている鏡がよいと言う。
「いまは鏡など買いに行く暇はない。任地へ着いて落着いたら買ってやろう」
 韋栗はそう言ったが、任地へ着くと何かといそがしく、鏡のことはすっかり忘れていた。一年あまりたって、娘は病気で死んでしまった。
 やがて任期が満ち、韋栗は娘の棺を船にのせて都へ帰ることになったが、その途中、揚州に着いて船を運河の岸につないだ。
 そのときのことである。揚州の市場へ、下女を一人連れて鏡を買いにきた娘があった。市場の商人たちは、娘がきれいな身なりをしていて、容貌も美しいのに目をつけ、競って鏡を売ろうとした。その中に二十歳あまりの、色の白い美男子の商人がいた。娘はその若者に五貫の銭を渡した。若者は、漆塗りに金泥で花の模様を描いた裏のついた、さしわたし一尺あまりの鏡をさし出した。すると別の商人が横から、
「お嬢さん、それよりもよい鏡がありますよ。値段は三貫にしておきます」
 と言った。若者はそれをきくと、受け取った銭の中から二貫だけ返して、
「わたしも三貫におまけします」
 と言った。娘はしばらく迷っていたが、若者に心をひかれた様子で、彼のほうの鏡を受け取って帰って行った。
 その若者は娘をものにしたいと思った。そこで下男に、娘のあとをつけて行って住居を見とどけてくるように言いつけた。まもなく下男がもどってきて、
「娘は運河の岸につないである船の中へはいって行きました」
 と言った。若者はそのとき、娘から受け取った銭が三貫の紙銭(しせん)に変っていることに気づいた。
 若者はその紙銭を持って韋栗の船へ行き、
「さきほどお嬢様に鏡をお買い上げいただいたのですが、あとで見ますと、いただいた銭が紙銭に変っていました」
 と言った。すると韋栗は、
「わしには娘はおらん。一人いたが数年前に亡くしたよ。そなた、船をまちがえたのではないか」
「いいえ、確かにこの船へおはいりになりました」
「鏡を買ったと言ったな……」
 韋栗はふと思いあたって、
「その娘というのはどんな姿をしていた?」
 若者が娘の着ていた衣装や顔かたちをくわしく話すと、韋栗もその妻も眼に涙をうかべながら、
「確かにわたしたちの娘だ」
 と言い、若者を連れて船の中を隈(くま)なくさがした。だが、娘の姿はどこにも見えなかった。ところが娘の棺の置いてある船室へはいって見ると、韋栗の妻が九貫の紙銭を作って娘の棺の前の机に供えておいたのが、六貫しかなかった。韋栗の妻は何度も数えてみて、若者に、
「鏡はいくらでお売りになりましたか」
 ときいた。
「三貫です」
「そうでしたか。不思議なことに、紙銭も三貫だけ減っております」
 棺をあけて見ると、鏡はその中にはいっていた。
「その鏡です」
 と若者は言った。そして、
「じつはわたしはお嬢さんのお美しさに心をひかれて、あとをつけてきたのですが、あのお嬢さんが亡霊だったとは……」
 と言い、娘の供養(くよう)にといって十貫の銭を贈って帰って行った。
唐『広異記』 
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