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中国怪奇物語179

时间: 2019-05-29    进入日语论坛
核心提示:  冥土(めいど)の縁 漢の献帝(けんてい)の建安年間のことである。河南の南陽に、姓は賈(か)、名は偶(ぐう)、字(あざ
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   冥土(めいど)の縁
 
 
 
 
 漢の献帝(けんてい)の建安年間のことである。河南の南陽に、姓は賈(か)、名は偶(ぐう)、字(あざな)は文合(ぶんごう)という者がいたが、にわかに病気になって死んだ。
 そのとき一人の役人がやってきて、文合を泰山(たいざん)へ連れて行った。すると泰山の司命(しめい)が帳簿を調べて、
「この者はちがうぞ」
 と役人に言った。
「これは南陽の文合で、まだまだ寿命がある。わたしは某郡の文合をつれてまいれといったのに、まちがえるとは! 早くこの者を帰してやれ」
 文合は司命に礼を言って帰ったが、もう日が暮れていたので、城壁の外の木の下で野宿をすることにした。しばらくすると、若い娘が近づいてきて、
「ごめんくださいませ」
 と言った。見れば良家の娘のようなので、文合はあやしんでたずねた。
「ご身分のある方のようですが、どうして夜中に、たった一人でこんなところへ? お名前はなんとおっしゃるのです?」
 すると娘は、しとやかに、しかしはっきりした口調で答えた。
「私は三河(さんが)の者で、父は現在、南の弋陽(よくよう)県の知事をしております。さきほど泰山へ召されてきたのでございますが、人ちがいとわかって、いま帰していただくことができました。瓜田(かでん)に履(くつ)を納(い)れず李下(りか)に冠(かんむり)を正さずという教えは心得ておりますが、あなた様のご様子を拝見しましたところ、よこしまなことをなさるおかたとは思われませんので、一人で野宿するよりもあなた様のお傍(そば)の方が無事と考え、その木の下でいっしょに休ませていただきたいと思ってまいった次第でございます」
「そうでしたか。わたしもついさきほど、人ちがいとわかって帰してもらってきたところです。一人よりも、二人の方が気が晴れます。どうせこのようなところでは眠れないでしょうから、一晩、語りあかしましょう」
 からだをくっつけあって寒さをふせぎながら、なにかと話しあっているうちに、文合はたまらなくその娘が好きになってきて、
「こんなところで、こうしてお会いできたのは、深い縁があってのことでしょう。どうかここで、契りを結ばせてください」
 と言った。すると娘は、
「あなたがそのようなことをおっしゃるとは思いませんでした。女の徳は貞節であり、女の名誉は潔白ということだと心得ております。どうして身をけがすようなことができましょう」
「あなたはわたしをおきらいなのですか」
「きらいとか好きとかいうことではありません。あなたはわたしを、結婚もしないのにそのようなことをする女とお思いなのですか」
「おゆるしくだされば結婚をしたいと思っております」
「こんなところでそんなことをおっしゃっても、どうすることもできません。父のことはさきほどお話しいたしました。帰ってから父にお申し出になってください」
「そうすれば結婚してくださいますか」
「父がゆるしてくれさえすれば」
「ありがとうございます」
 こうしてその夜はなにごともなく、朝になると二人は名残りを惜しみながら別れて、それぞれの家へ向った。
 ところで、文合の家では、文合の死体を棺に納めて二日間安置したのち、三日目になっていよいよ埋葬することになった。そのとき文合の顔を見ると、死んだときよりも血色がよくなっているので不思議に思い、胸のあたりをさぐってみると、いくらか温(あたた)かく、かすかながら動悸(どうき)をうっている。家の者はよろこぶやらあわてるやら。急いで医者を呼びにいっているまに、文合はまもなく生き返ったのである。
 文合は家の者に死後のことを話したが、誰も信じなかった。
「おまえは死んだのではなく、息をとめて眠っていたのだよ。二日間おまえはここで棺にはいっていたんだよ。亡霊じゃあるまいし、おまえがちゃんとここにいながら、泰山へ行ったり女に会ったりできるわけはないじゃないか」
 文合は誰も信じてくれないので、弋陽県へ出かけて行って知事に面会を申しいれた。だが門番は、文合がいくらわけを話しても真に受けず、どうしても通してくれない。ちょうどそこを通りかかった一人の役人が、文合があまりに真剣に話しているのを見て、あるいはほんとうかもしれぬと思い、知事に、
「南陽の者で、お嬢様が生き返られたことを知っている者が、閣下にお目にかかりたいと言っております」
 とつたえた。そこで知事は文合を通すように言った。
 知事は文合の言うことを不審に思ったが、奥へはいって娘にきいてみると、文合のいったこととすべてが同じだった。
「その人はわたしをもらいにきたのですか。もしそうなら、父上さえおゆるしくだされば、わたしはその人のところへ行きます」
 と娘は言った。知事は不思議なこともあるものだとおどろき、さっそく使いを出して文合の両親を招いて話しあい、両家の縁組をその場できめた。
六朝『捜神記』 
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