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中国怪奇物語184

时间: 2019-05-29    进入日语论坛
核心提示:  亡霊たちの饗宴 開元年間のことである。洛陽県令の楊〓(ようちよう)が公用で外出したところ、その帰り道に、道端の槐(え
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   亡霊たちの饗宴
 
 
 
 
 開元年間のことである。洛陽県令の楊〓(ようちよう)が公用で外出したところ、その帰り道に、道端の槐(えんじゆ)の木陰に易者風の男が平然と腰をかけているのを見かけた。
 県令のお通りだというのに、道をよけようともしない。警護の兵士がどなりつけてよけさせようとしたが、腰をかけたまま動かないのである。
 楊〓は下役人に命じて役所へ連行させ、じきじき訊問した。
「そなたはただものではあるまい。名を言え」
「ただの易者です。名はありますが、名乗るほどの者ではありません」
「なぜ、道をよけなかったのか」
「あなたはあと二日間の県令なのに、そう威張ることはないでしょう」
「あと二日間の県令とはどういう意味じゃ。何かのとがめを受けて左遷でもされると言うのか」
「いいえ、二日後にはあなたの寿命が尽きるということです」
「なぜ、そなたにそれがわかる?」
 楊〓があわててたずねると、易者は自分の見立てをくわしく語ったが、易に明るくない楊〓にはその意味がわからなかった。だが、易者の口ぶりはいかにも確信にみちているように見えた。楊〓の部下の中に易にくわしい者がいた。楊〓が不安なまなざしでその部下をふりかえると、部下は身を乗り出して易者に言った。
「それほどの見立てのできるおかたなら、あなたはきっと、厄(やく)払いの法も知っておいででしょう。どうすればこのわざわいからのがれることができるか、それをお教えください」
 楊〓もひざまずいて再拝し、
「どうかお教えください」
 と懇願した。すると易者は、
「それでは、あなた自身の行動によって、あなたを守る法をやってみましょう。だが、助かるかどうかはわかりませんよ」
 と言い、楊〓を東の中庭の亭(あずまや)へ連れて行き、髪をふり乱させ、はだしのままで、土塀に向って立たせておいて、自分は机に向って護符を書きつづけた。
 やがて真夜中をすぎたころになると、易者は筆を置いて楊〓に呼びかけた。
「冥府の使者はすぐ近くまで来ていたのですが、どうやら帰って行ったようです。今夜はひとまず助かりました。もうよろしいから、さあ、こちらへ来てお休みなさい」
 楊〓がほっとして、立ち疲れたからだを椅子におろして休むと、易者は、
「まだ、どうなるかわかりませんよ」
 と言い、
「明日は三十枚の紙で紙銭(しせん)を作り、餅(もち)をたくさんこしらえ、酒を一壺用意して、西南の定鼎(ていてい)門外の桑林の中でお待ちなさい。通りかかる者があったら、引きとめて酒を飲ませるのです。黒い皮衣(かわごろも)を着て、右肩を肌ぬぎにしているのが、あなたを迎えにきた冥府の使者です。もしその亡霊が足をとめて、餅を食い酒を飲めば、あなたの命は助かります。だが、足をとめなかったら、どうしようもないわけです。そのときは、近くに小屋がありますから、身なりを変えて、その小屋へ行ってお待ちなさい。そして亡霊が通りかかったらまた引きとめて、何がほしいかをたずねるのです。わたしの法はそこまでで、そのときも亡霊が足をとめなかったら、もうあきらめるよりほかありません」
 翌日、楊〓は易者に言われたように紙銭と餅と酒を用意し、数人の部下を連れて定鼎門外の桑林の中で待っていたが、日が西に傾くころになっても黒い皮衣の男は通らなかった。楊〓は気が気でなく、いらいらしていたが、やがて日がすっかり暮れてしまったとき、目ざす相手がやってくるのが見えた。楊〓がすぐ部下をやって招待させると、黒い皮衣の男はよろこんで立ち寄り、出されるものをつぎつぎに飲み食いした。そこで楊〓が進み出て挨拶をし、
「どうかわたしの命をお助けください」
 とたのむと、その男は、
「楊〓どのですな」
 と言った。
「昨夜はどこにかくれておいでなさった。何度もお宅へうかがったのですが、とうとうお目にかかれませんでしたよ。おそらく東の中庭にかくれて、善神に守護されているのだろうと思いましたので、遠慮して近寄らなかったのです。だが、あなたに対する冥府の召喚はまだつづいております。どうにも仕方のないことですから、おあきらめください」
 楊〓は再拝して助けを乞い、何千回もそれをくりかえした。そのうえ、紙銭を路用にと言って差し出すと、その冥府の使者は、
「たいそうな贈り物をちょうだいして、ありがとうございます」
 と言い、しばらく何やら思案している様子だったが、
「それでは、明日もう一度、役所の同僚たちといっしょに来て相談してみることにしましょう。向こうの小屋にごちそうを用意して待っていてください」
 と言うなり、姿を消してしまった。
 翌日、楊〓はその桑林の小屋に宴席の用意をし、山海の珍味をそろえて待っていた。と、日が暮れてから、昨夜の亡霊が数十人の仲間を連れて姿をあらわし、ことのほか楽しそうに飲み食いをしだした。
「こんなにもてなしを受けたのだ。楊県令の一件については、できるだけのことをしてやろうじゃないか」
 亡霊たちが飲み食いしながらそう言っているのがきこえた。しばらくすると、昨夜の亡霊が楊〓に向って言った。
「お宅の筋向いに楊錫(ようしやく)という人が住んでおりますな。あの人もなかなか才能のある人物のようなので、あなたの身代りに、あの人を連れて行くことにしました。玉扁(へん)を消して、金扁に書きかえてつれて行けば、役所でも気がつかないでしょう。あなたはこれからお宅へ帰って、明け方の時を知らせる太鼓が鳴りだしたら、楊錫どのの家の門前へ行って中の様子をうかがいなさい。そのときもし泣き声がきこえてきたら、あなたの命は助かったのです」
 亡霊たちは飲み食いをしたあげく、上機嫌になってつぎつぎに姿を消して行った。
 楊〓は家に帰ると、いわれた時刻に楊錫の家の門前へ行ってみた。と、黒い皮衣の使者が木にのぼって楊錫の家へはいり込もうとしているところだった。ところが、犬に吠えられて、はいり込めずにうろうろしている。楊?が、いったいこれはどうなることだろうと、はらはらしながら見ていると、やがて使者は土塀のくずれ目を見つけて、そこからもぐり込んで行った。
 しばらくすると、楊錫の家の中から家族たちの泣き声がきこえてきた。こうして楊〓は命が助かったのであった。
唐『広異記』 
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