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中国怪奇物語187

时间: 2019-05-29    进入日语论坛
核心提示:  張鬼子 江西の洪(こう)州に張(ちよう)という州学正(しゆうがくせい)(州学の先生)がいた。元来、刻薄(こくはく)な
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   張鬼子
 
 
 
 
 江西の洪(こう)州に張(ちよう)という州学正(しゆうがくせい)(州学の先生)がいた。元来、刻薄(こくはく)な性格だったが、年を取るにつれてますます激しくなり、学生が休暇を願い出ても容易に許さない。学官が五日の休暇を与えると張はそれを三日に減らし、三日の休暇を与えると一日に減らす。万事がみなそんなふうだったので、学生たちの恨みの的(まと)になっていた。
 この張学正と同姓の張という学生がいた。顔色がわるく、風貌(ふうぼう)がどことなく亡霊のようだというので学生たちから張鬼子(きし)と渾名(あだな)されていた。
 ある日、数人の学生たちが、張鬼子を亡霊に仕立てて、意地のわるい張学正をおどしてやろうではないかと相談しあった。
「だが、彼はまじめな男だから、そんないたずらには賛成しないだろう」
 と言う者もいたが、話してみると張鬼子は、意外にも、
「よろしい。引き受けた」
 と言ったばかりか、新しい提案をさえした。
「あの先生のことだ。亡霊のまねをして見せたぐらいではおどろくまい。だから、ただの亡霊ではなく、冥府(めいふ)の役人のふりをして、あの世への拘引状(こういんじよう)を突きつけたらどうだろう」
「それは妙案だ。だが、冥府の拘引状をだれが書く? 一目見てにせものとわかるようなものでは、かえってまずいだろうし……」
「いや、おれは一度ほんものを見たことがある。思いだして書こう」
 張鬼子はそう言い、明礬(みようばん)を溶かした水を筆にふくませて、紙に何やら細かい字を書きつけると、
「これでよいはずだ」
 と言った。
 その日、日が暮れてから、張学正が学生たちの夜学の監督をしていると、それまでどこにひそんでいたのか、不意に張学正のうしろに張鬼子があらわれた。
「さすがに鬼子と渾名されるだけのことはある。うまく扮装(ふんそう)してきたな。亡霊にそっくりだ」
 学生たちはみなそう思った。だが、ふりかえって張鬼子を見た張学正は、すこしもおどろかず、張鬼子にどなりつけた。
「なんだ、そのざまは! 学生たちにたのまれてわしをおどすつもりだろうが、そんなまねごとでこのわしをおどせると思うのか」
 すると張鬼子はにやりと笑って、
「いや、おどしでもなければ、まねごとでもない」
 と言った。
「おれは冥府の使者だ。おまえを迎えにきたのだよ。うそだと思うなら、この冥府の拘引状を見るがよい」
 学生たちとの打ちあわせどおり、張鬼子は例の拘引状を張学正に突きつけた。張学正はそれを手に取って読みはじめたが、まだ読みおわらぬうちに、その場に倒れてしまった。
 すると張鬼子は学生たちにむかって言った。
「みなさん、みなさんはわたしを冗談に張鬼子と呼んでおられたが、実はわたしはほんとうの亡霊なのです。二十年前に冥府の命を受けて張学正を捕えにきたのですが、途中、川を渡るときに拘引状をおとしてしまったので役目をはたすことができず、むなしく帰ればどんな厳罰を受けるかもわからないので、なんとかして使命をはたそうと二十年間ここにふみとどまっていたのですが、こんどみなさんのおかげで、うそをまことにして、無事に使命をはたすことができました。ありがとうございました」
 張鬼子は一礼すると、そのまま姿を消してしまった。学生たちはおどろいて、みなしばらくのあいだ茫然(ぼうぜん)としていた。張学正は倒れたまま、ついに息をふきかえさなかった。
宋『異聞総録』 
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