笑得好
村の百姓が城内へ行き、儒学殿(じゆがくでん)の前で大便を一山たれた。儒学殿の先生がそれを見て百姓をふんじばり、役所へ突き出した。
「おまえはなんで聖人をけがしたのだ」
知事が訊問してそういうと、百姓は、
「わたしは大便がしたくなったのでしただけでございます。聖人をけがしたりなんかしません」
という。
「話が通じぬな。まあよい。おまえは打たれるのがよいか、罰金をとられるのがよいか」
「罰金の方がましです」
「それじゃ、罰金として銀一両五分を納めよ」
「三両くらいの銀塊を持っておりますが、それを二つに切ってもよろしいですか」
「どれ、見せてみろ」
知事は百姓から銀塊を受け取ると、うれしそうに袖の中へしまい、百姓に向っていった。
「銀塊は切らない方がよい。わしがあずかっておくから、わしのゆるしを得たといって明日また儒学殿の前へ行って大便をするがよい」