笑府
ある秀才、死んで閻魔大王に会い、自分の文才を自慢した。そのときたまたま大王が放屁したので、さっそく頌屁(しようひ)の詞(し)を作って献上したところ、大王は大いによろこび、牛頭(ごず)の獄卒を呼んで、
「この秀才を別殿へ案内せよ。晩餐をともにするゆえ、御宴(ぎよえん)の用意をするように」
と命じた。牛頭に案内されて別殿へ行く道で、秀才は牛頭にいった。
「あなたの二本の角(つの)が丸く曲っているありさまは、まるで天上の月のようであり、二つの眼がぎらぎらと光っているありさまは、まるで海のかなたに輝いている星のようです」
すると牛頭は大いによろこび、秀才の袖を引っぱっていった。
「大王さまの御宴までにはまだ間があるから、ひとまずわたしの家に寄って一杯やってくださいよ」