笑府
宴会の招待を受けたせっかちな男、早目にくるようにといわれたことが気にかかって、真夜中に起きだしたところ、女房にとめられた。
四更(夜二時)にまた起きようとして、また女房にとめられた。その後うつらうつら眠って、目が覚めたのは明け方。びっくりしてとび起き、身仕度もそこそこに出かけて行くと、昨夜から引きつづいて飲んでいた客たちが帰るところで、門の外で別れの挨拶をかわしている。男はそれを遠くから見て、じだんだを踏んでくやしがった。
「ばかな女房のおかげで、やっぱり遅れてしまった。宴会はもうすんでしまったんだ」