笑府
ある男、竹を切りに鉈(なた)を持って竹林へはいって行ったが、急に大便をしたくなったので、鉈を置いて、しゃがんで用を足した。
用を足しながら上を向いて、つぶやいた。
「いい竹があるな。家でちょうど竹が入用だったんだが、鉈を持ってくればよかった。残念だな」
用を足してから、ふと下を見ると鉈がある。男は大よろこびで、
「願ったりかなったりとはこのことだ。ちょうどうまい具合に鉈があった」
いい竹を選んで、さて鉈をふりおろそうとしたところ、その竹の根元に糞がしてある。男は腹を立ててつぶやいた。
「いったい誰だろう、こんなところへ糞をしやがったのは! もうちょっとで踏んづけるところだったじゃないか!」