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ずばり東京21

时间: 2019-07-26    进入日语论坛
核心提示:    練馬鑑別所と多摩少年院 非行少年のことを知りたいと思って練馬の東京少年鑑別所へいったところ、所長には会えたけれど
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     練馬鑑別所と多摩少年院
 
 
 非行少年のことを知りたいと思って練馬の東京少年鑑別所へいったところ、所長には会えたけれど、少年たちと話しあうことは禁じられた。作文、感想文、日記などは見せてもらえないかとたのんでみたが、やっぱり禁じられた。内部の写真をとることも禁じられた。所長はざっくばらんで率直で、二時間近く会って話をしてくれたが、公開は法務省からの指令で禁じられているのでどうにもならないのだといって嘆いた。
 それでは家庭裁判所で少年たちが調べられているところを傍聴してみようと思ったが、これもダメだった。しかたなくて八王子まで走り、多摩少年院へいってみたが、ここでもやっぱり少年と面接することは禁じられた。法務省に泣きついて、やっと少年たちの作文集を借りだすことだけできた。
 私は見たまま、感じたままを書く努力をするだけで、故意に煽情《せんじよう》的な文章は書かない。かすかなかすかな自分の名にかけてもそういう文章を書けないのでありますが、と説明してみたが、やっぱりダメだった。書かないでほしいとことわってから見せても作家なら書かずにはいられないだろうし、またそれでこそ作家というものであろうから、やっぱり見せるわけにはいきませんと家裁の判事がいった。アタっているところがある。ホメているような、ケナしているような、たいへん上手な弁解である。
 あちらからもこちらからも閉《し》めだされて私はなにか�不可触賎民�におちたような不満と憂鬱を味わった。動物園のお猿からもらったらしい、しぶとくて冷笑的な、いくら薬でおさえても這《は》いだしてくる風邪がこの徒労で鼻から頭へのぼったようだった。家の勉強部屋のすみっこの寝床にもぐりこんで、うつらうつらしていると、なにやら自分がドブネズミになったような気持がしてきた。
 赤い、小さなひよわな鼻さきを土管からちょっぴりだしてあたりをうかがいつつ恐れと驚きに|なよなよ《ヽヽヽヽ》身ぶるいしてたちすくんでいるにすぎないドブネズミが、都会の汚濁の必然的産物であるこの小心な動物が、なぜ人びとに拒まれなければならないのであるか。
 いつ見ても頭から汚水を浴びてぶるぶるしているこの小動物が、じつは心の底でひたすら美しきもの、善きものを求めてあがいていないと、どうしてお役人たちはいいきれるのであろうか。
 法務省は、マスコミと、少年たちのガラスのような心を恐れている。私は拒まれたけれど、その気持には賛成する。一日に一度自殺を考えないやつはバカであるという、イギリス人の諺《ことわざ》があるが、これは�マスコミ�なるものが地上にあらわれてからの諺ではないかと私は思う。いまの日本の�マスコミ�とはハイエナとカラスとオオカミを乱交させてつくりあげた、つかまえようのない、悪臭みなぎる下等動物である。おためごかしの感傷的ヒューマニズムと、個性のない紙芝居じみた美意識と、火事場泥棒の醜聞あさり、ナマケモノぐらいの大脳とミミズの貪慾をかきまぜてでっちあげた、わけのわからないなにものか儲《もう》かるものである。正体はつかめないとしても、接したらたちまち顔をぬれ雑巾で逆撫でされたような気持になり、自殺を考えたくなる、なにものかである。
 マスコミに刺激されて少年が非行をはたらくのだというマスコミ自身の恥知らずな御託宣にほとんど私は賛成しない。それは彼らの行動の暗示や触媒となったかも知れないけれど、その本質ではない。ただ彼らは経験や知力や財力や忍耐に欠け、非行成人たちのようにずるくたちまわったり、かくしたりすることができなかったまでではないのか。彼らの砕けた心が砕けなかった心より下等であるなどと、誰がいえようか。砕けなかったのはたまたま鈍感、無知、偽善の糖衣に包まれていたからだとはいえないか。すくなくとも私は少年たちが非行の動機の説明を求められて、�映画や週刊誌にそそのかされました�と答えているのを見聞すると、これは言葉の選択に慣れていないか、焦慮のあげくか、過大な�自己�を持てあましたあげく精力を使わないで他者に責任をすりかえようとする短い工夫のせいかだと想像する癖を持っている。
 現在の所長の責任ではないけれど練馬鑑別所の建物はどうにも頂けないしろものである。
 コンクリートの巨大なかたまりが畑のなかにうずくまっている。傲慢、鈍重、凶暴、一目見ただけで脱走したくなってくる。有刺鉄線の高い垣が囲い、いかつい煙突がそびえ、私の経験では、ポーランドやチェコやドイツで見たナチスの収容所をしばらくぶりで思いださせられたといっていい設計であった。
 水は器にしたがって形をつくるのだと法務省が考えるのであったら、明日にでも爆破して新しい建物をつくりなさい。これでは逆効果しか生れませんよ。
 少年や少女たちの独房には粗末な木の寝台があり、コンクリむきだしの便器と洗面台がつくってある。部屋によって壁を灰青色や乳黄色に塗ってあるが、なんともさむざむしく、ざらざらした感じで、ブリキ缶を舐めさせられたみたいな印象である。重い、いかついドアには鉄棒で防備した覗き窓がついている。鍵がかけられている。検挙されて警察から送られてきたばかりの少年や少女が壁のしたにうずくまったり、窓ぎわによじのぼって戸外を眺めたりしていて、埃でにごった小さな覗き窓から片目でその横顔を覗いて歩いていると、いやな、重い気持になってきた。彼ら、彼女らがなにをしたのかわからないけれど、また、どうしてもこういうものをつくるよりほかないのかも知れないけれど私には、酸っぱくて、いやで重いものだった。廊下から廊下、部屋から部屋へ移るたびに鍵輪がガチャガチャと鳴り、鉄枠つきの重いドアがギィギィときしむので、たじろがされた。
「……寝てる子と起きてる子がいるでしょう。どちらかというと寝てる子のほうがいいのです。気持が挫《くじ》けて、反省に入っている。起きてる子はまだ抵抗してるんです。これは手ごわいですよ。男の子と女の子とくらべると、男の子のほうがはるかにおとなしい。女の子でここへくるというのは相当、豪の者なんです。なかなかほぐれないし、しぶとく抵抗してくるのです。男は派手だけれどもろいところがありますよ。簡単なもんです」
 そういう説明を聞きながら、ふと私は、戦時中にさいごまで抵抗してねばりにねばったのは大本《おおもと》教と共産党の女性党員であったという事実を考えたりしている。非行少女であろうと闘士であろうと、ギリギリのどんづまりに追いつめられた女はすさまじい持続的精力を濫費して悔いることがない。一度これにぶつかったら、男はただアレヨ、アレヨと眺めているよりほかないのである。猥雑浅薄なモード屋のススキの穂のような指のままに右へ左へ走りまわる彼女らの軽さと、こういう命知らずの執拗さとが、どういう地下水でつながっているものなのか、とうてい私には見きわめようがない。不可解である。じつに不可解である。まさに不可解である。
 八王子の多摩少年院へいってみた。ここは広い丘陵地帯に三万坪の敷地を占め、雑木林、畑、谷、丘などが広びろと視界にのびていて、ひっそりと静まりかえり、都の狂騒からは、はるかに遠いかと思われる。悩乱を静めるには持ってこいの場所かと、無責任な訪問者には感じられたりする。小さなさりげない石の門柱に標札がさがっているが、風雨にさらされてほとんど字が消えている。門を入ってゆくと両側にイチョウのあるとろとろ坂の並木道が小さな丘へ這いあがってゆく。少年たちの文集の座談会記事を読むと、この坂は通称、�地獄坂�と呼ばれているのだそうだ。
 バラック建の粗末な棟がいくつも輝かしい四月の陽《ひ》のなかによこたわっている。田舎《いなか》の小学校か木工場みたいな棟である。一つ一つの窓には鉄格子ではないけれど木の格子がはまっていて、部屋の内部が見えない。事務室へ入ってえらい人に会い、少年たちに面会することはやっぱりダメですかと聞いてみたら、やっぱりダメですという答えであった。院長がいないので、肥ってまじめで人のよさそうな次長に会った。ついこの四、五日前に奈良の少年院から転任してきたばかりなのでよく事情がわからないから、課長に紹介しましょうという。
 課長の人が入ってきて、気が弱そうに頭をかきつつ、さしつかえないことだけ話をしましょうといった。善良で、注意深く、子供のことによく心を砕いている人のように見うけられた。上司の指令以外のことはお話できないのです、といって苦笑しながら名刺をとりだした。なにげなく役職名を見ると『分類保護課長』となっている。カブト虫やチョウチョウを管理する博物館みたいだなと思った。暴れん坊にもいろいろのタイプがあるのだからそれを分類し、かつ棟に起居させて保護するのだからこの職名にはなんの不思議もないのだけれど、よくよく眺めかえしてみると、やっぱりどこかおかしいところがあるようだった。
 少年を非行の度合いでかりにA、B、Cの三級にわけてみるとC級の少年たちは検挙されて鑑別所に送られてふるいにかけられ、自宅へひきとられるか、民間の篤志家の経営する保護施設などに送られる。B級の少年はいささか手荒いので少年院へ送られ、一年半ぐらいをすごす。A級となると�施設�や�院�ではおさまりのつかない強豪であるから、少年刑務所にいって頂くことになっているのだそうだ。
 この多摩少年院にきているのは二百名から三百名、だいたいB級の少年ばかりで大半が東京都内在住者である。出身地は東北や北陸、各県さまざまであるが、非行をはたらいた当時は東京都の未成年であった。十六歳から二十歳未満、圧倒的に十七歳、十八歳が多い。なにをやったのかと統計帳を繰ってみると、半分が盗み、あとの半分は強姦、脅迫、殺人、傷害などであった。どういうものかこの種の�粗暴犯�が年を追ってじりじりふえ、ただの盗みは減ってゆく傾向にある。そして、スリなどはほとんど皆無といってよい。盗みなら盗み、脅迫なら脅迫にしても計画的に時間をかけてやるよりはむしろ突発的、衝動的にやる例が多く、スリのように修練や技術や思考の計算を必要とする非行はほとんどないのだそうだ。
「……どういうわけでしょうか、よくわかりませんが、やっぱりインスタント時代なのでしょうかね。世の中があわただしくて、子供もおちおちしていられないのかも知れませんね。せっぱつまってセチがらいことをやってしまうからすぐバレてしまうんですよ」
 出身地区を聞いてみると、住宅地では世田谷区、工業地では大田区、下町では江東方面、だいたいこの三つが多いという。
 蒲田や江東方面の非行少年は貧しさや職場の不満などからゆがんでしまったというのが多く、世田谷方面の場合は家庭が物質的に豊かであっても両親が不和であるとか、両親の素行が乱れているとかエスカレーター式に高校から大学へすべりこむはずであったところが成績不良ではみだしてしまったとかいったことでグレるのが多いとのことであった。これは練馬の鑑別所で聞いたのとおなじで、以前は世界各国どこでも少年犯罪は貧困の生みだすメタンガスであったのだが、次第に、圧倒的に、そうでなくなりつつあって、新しい定義と分析に苦しむという。
「……道楽や趣味で非行をやるというのはいませんか?」
「そういうのはいませんね。いたとしてもここへはこないで、少年刑務所のほうへいきますよ」
「なんらかの意味で不満だから爆発するのですね?」
「そうです」
「その動力になる感情はなんですか。孤独、絶望、怒りなんですか?」
「よくわかりませんが、ここへくる子はどれも人を恋しがっているということはいえますよ。とりわけお母さんですね。作文を書かせてみると、みんなお母さんのことを書きますよ」
 階級があって、二級下、二級上、一級下、一級上の四級あり、毎月素行によって点をつける。平均各月二十点で、八十点になると一級昇進する。四つの階級をこえるには一年四カ月かかる。人をなぐったら十点減、怠けたりひどい悪口をいったりしたら五点減となる。課長さんに聞くのを忘れたけれど点数制にしたらどの社会でも起る�密告�ということがこの少年のあいだにも起っているのではないかと想像する。
 少年をタイプにわけて同類者同士を一つの棟に入れる。自己顕示的攻撃型、気分易変的攻撃型、爆発的攻撃型、惰性欠如的攻撃型、無力逃避型の五種ほどに�分類�した。しかし、一つの型ばかりを一つの棟に集めるとバランスがとれなくなるから、元気のよすぎるところへしょぼんとしたのを入れて水をさしたり、気まぐれのはしゃぎ屋のところへしんねりむっつりを入れてみたり、いろいろと調合に苦心するのだそうだ。分類保護課長さんは用心深く話をすすめていたのであったけれど、花畑をわたってくる春風に一撫でされたはずみに、ひょいと口をすべらして、
「私たちは�カクテル�と呼んでるんですが……」
 苦笑してあわてて口を閉じたが罪深い私の耳めは聞きとってしまったあとだった。
 少年たちの棟は�学寮�と呼ばれ、木工、鈑金《ばんきん》、印刷など、いろいろな種類の工場で自分の好きな技術を勉強することができ、�技能士�の資格をとることができるようになっている。たしかにそうした点では、ここは少年院というよりは工業学校のような雰囲気がある。しかし、コンクリ建、鉄格子窓の独房もあれば、各棟の部屋の窓には格子がしっかりはまっているのである。そしておどろいたことには、少年たちは一日にわずか二十九エン五十セン(三食でだよ!)のおかずしか食べさせられていないのである。予算がそれだけしかないという。育ちざかりの子供が一日に三十エンのおかずしか食べていないのである。罪を憎んで人を憎まずの処置がこれか!?……
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