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物理の風景04

时间: 2019-07-26    进入日语论坛
核心提示:酔歩の問題  酔っぱらいはどこへ行く 酔っぱらいが、ゴバンの目のように道路が造られている町の、とある町角から歩き出したと
(单词翻译:双击或拖选)
 酔歩の問題
  ——酔っぱらいはどこへ行く
 
 酔っぱらいが、ゴバンの目のように道路が造られている町の、とある町角から歩き出したとしよう。どちら向きに歩き出すかはまったく偶然にきまるとする。歩き出して次の四つ角についたら、どちらに曲がるか、あるいは逆もどりするかは、再びまったく偶然にきまるとする。一つの四つ角から次の四つ角までの距離を一○○メートルとすると、こうして酔っぱらいが一キロメートル歩いたら、平均して出発点からどれ位遠くまで行っているだろうか。また彼が一キロ歩いたときふたたびもとの場所にもどってきている確率はどれくらいだろうか。この種の問題を数学や物理では酔歩の問題とよんでいる。
 鉄やニッケルやコバルトのような強磁性体は、常温で磁石の性質を示すが、温度をある温度(臨界温度とよばれ、物質によってちがう)以上にあげると、磁石の性質は消えてしまうことが知られている。また水銀や窒化ニオブなどの、超伝導体とよばれる物質では、絶対零度に近い極低温まで温度を下げていくと、その電気抵抗があるところで突然消失してゼロになってしまう。
 このように、ある温度を境にして物質の性質が突然変化する現象を相転移現象とよんでいる。相転移現象は強磁性体に限らず、自然界に非常に広範囲に見られる現象であって、強誘電体でも同様なことが起こるし、また温度を低くすると液体が固体になるいわゆる凝縮現象もその一つである。
 酔歩の問題は、一見ずいぶんふざけていて、数学者のオモチャにすぎないように見えるが、実はこの相転移現象と密接に関係があるのである。相転移現象は、統計力学とよばれる物理学の理論でとり扱われるが、その中に酔歩の問題が登場し、しかも本質的に重要な役割を演じるのであって、酔歩の問題だけをとり扱った統計力学の専門書もあるくらいである。
 相転移の問題のほか、高分子物質の統計理論などでも酔歩の問題は中心的な役割を演じる。見た眼にふざけて見えるからといって、決して軽んじることはできないのである。
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