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物理の風景07

时间: 2019-07-26    进入日语论坛
核心提示:エントロピー  でたらめなほど可能性が多い 机の上をしばらく整理せずにいると、いろんなものが雑多に積み重なって、どこに何
(单词翻译:双击或拖选)
 エントロピー
  ——でたらめなほど可能性が多い
 
 机の上をしばらく整理せずにいると、いろんなものが雑多に積み重なって、どこに何があるのかわからなくなる。物理学者はこれを、「机の上のエントロピーが大きくなった」、と表現する。
「エントロピー」は熱力学を学ぶとすぐに出てくる初学者を悩ませるので有名な概念であるが、統計的には、物質を構成している原子や分子の配列状態の「でたらめさ」あるいは「無秩序さ」を表す量にすぎない。たとえば、絶対零度では結晶を造っている原子は規則正しく並んで静止しているが、この状態のエントロピーは零である。温度を上げると原子がてんでに熱運動を始め、その配列が乱れてくるので、エントロピーは次第に大きくなる。まったく同じように、机の上の物の配置や、その他どんなものの配置の無秩序さも、エントロピーで測ることができるのである。
 秩序正しい配列はただ一通りしかないが、互いに同じ程度に無秩序な配列は沢山ある。無秩序な状態ほど多くの可能性を秘めているのである。少数の可能性の中から一つを選び出すよりも、多数の可能性の中から一つを選びだす方が、選び出し甲斐がある。選び出すものが何かの情報であれば、情報源が多数の可能性を含んでいるほど、すなわち情報源のエントロピーが大きいほど、その中から選ばれた一つの情報は大きな価値をもつ。したがって、エントロピーは情報源から引き出される大きさを測る量ともなり得るのである。
 同じエントロピーという量が、でたらめさの程度をはかると同時に情報量をもはかるというのは面白いことである。しかし、エントロピーが情報量の尺度にもなることにシャノンが気がつき、これにもとづいて情報の数学的理論を建設したのはようやく一九五〇年のことである。クラウジウスが熱力学にエントロピーを導入して熱機関の理論、すなわち熱的なエネルギーの利用の理論を確立した一八五〇年から、一〇〇年ものちのことであった。
 エネルギー時代の始まりから情報時代の幕あきまでがちょうど一世紀だったというのも、ちょっと面白いことのような気がする。
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