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物理の風景26

时间: 2019-07-26    进入日语论坛
核心提示:虚と実  職業生活と家庭生活 虚数とは自乗すると負になる奇妙な数で、その名は実在しないまぼろしの数を意味するが、実はまぼ
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 虚と実
  ——職業生活と家庭生活
 
 虚数とは自乗すると負になる奇妙な数で、その名は実在しないまぼろしの数を意味するが、実はまぼろしどころか、実数に劣らず役に立つ便利な数である。実数と虚数とを加え合わせて複素(コンプレックス——複雑な)数を作り、この複素数の関数で、それ自身また複素数であるいわゆる複素関数を使って理論を立てたり計算したりすると、実数関数の世界でそれをやるよりもはるかに簡単かつエレガントにできるということがしばしばあるのである。このため、実関数の理論というのは物理学でもめったに使われず、もっぱら複素関数の理論が非常に便利な道具として活用されている。
 単に簡単かつ便利なばかりでなく、複素関数の実数部分も虚数部分も、そして複素関数自身もまた、物理的な実在を見事に表現することが多い。
 その最も端的な一例をあげてみよう。一つの複素数は複素平面上の一点に対応する。平面の上の一点はまた、座標原点からその点までひいた矢印、つまり大きさと向きとをもったベクトルとよばれる量と対応する。つまり一つの複素数は平面上の一点を表すと同時に一つのベクトルを表す。複素関数は、一つの複素数を他の複素数に対応させるものであるから、はじめの複素数は平面上の点を表し、あとの複素数はベクトルを表すと考えると、それは平面上の一つのベクトル分布、たとえば川の表面における水の流速分布や、二次元的な電場などを表すことになる。一方この複素関数の実数部分と虚数部分は、それが表している流速分布または電場のポテンシャルおよび流線という、はっきりした物理的な意味をもつ量を表すことが知られている。複素関数がベクトル分布全体を、その実数部分と虚数部分が、その分布の重要な二つの側面を表しているというわけである。
 人生でいえば、一人の人物全体は一つの複素関数、彼の公的な職業生活はその実数部分、私的な家庭生活または趣味生活はその虚数部分(それともその逆?)のようなものであろうか。
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