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物理の風景62

时间: 2019-07-26    进入日语论坛
核心提示:大学人・物理人・趣味人  火星人のイメージ このごろは見かけないようだが、私が子供のころは、一般向きの科学雑誌によく、火
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 大学人・物理人・趣味人
  ——火星人のイメージ
 
 このごろは見かけないようだが、私が子供のころは、一般向きの科学雑誌によく、火星には人間のような高等な生物がいるかもしれないということを書いた記事といっしょに、「火星人」の想像画が出ていた。火星では重力が小さいから、身体を支えるのに硬い背骨などいらないだろうというわけで、四本だったか六本だったかのひょろ長い脚の上に、むやみと大きな頭がジカに乗っているタコをもっとグロテスクにしたような奇態な生物が描かれていたものである。
 もう大分昔のことになってしまったが、大学紛争が吹き荒れた当時、教室の中で「物理人集会」と称する集まりがたびたび開かれた。しかし、それがどういう性質の集会であるかを云々する以前に、私は「物理人」という名前にすでにおぞましさを感じて、一度も出席しなかった。ブツリジンというひびきが、かの薄気味悪い火星人の画を、脳裡にまざまざと呼びおこしたのである。
「大学人集会」というものも、当時やはり盛んに催されたが、私は「大学人」という言葉にも抵抗を感じて、ついぞ出る気になれなかった。大学につとめる人間が、何か一般の人々とちがった、特別な識見をもつ人種であるといいたげな特権意識のにおいがふんぷんとするような気がしたから。
「物理人」という言葉には、さらに加えて、いかにも物理にこり固まった特殊集団を思わせるイジイジしたいやらしさがつきまとう。そのため、その裏返しとしての特権意識がいっそう鼻の先にぶら下がっているように感じられ、地球上の人間よりも知能が高いといわれた火星人を、いやが上にも連想させたのである。
「趣味人」といういい方も私はどうも好きになれない。何か世間に背を向けたすね者というイメージがあり、その裏に優越意識のようなニュアンスが、やはり感じられるからである。私は大学人でも物理人でも趣味人でもありたくない。たまたま大学に職を奉じ、たまたま物理を専攻し、たまたま邂逅《かいこう》したなにがしかの趣味を楽しんでいるというだけの、普通の人間でありたい。
 
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