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物理の風景64

时间: 2019-07-26    进入日语论坛
核心提示:水平思考  自然科学者の発想法「発想法」とか、「知的生産の技術」とか、「カンの構造」というような、ものの考え方に関する本
(单词翻译:双击或拖选)
 水平思考
  ——自然科学者の発想法
 
「発想法」とか、「知的生産の技術」とか、「カンの構造」というような、ものの考え方に関する本がもてはやされる世の中である。「水平思考」というのもその種のものらしいがどういうことかな、と思って書店で立ち読みをしてみた。いろいろと書いてあるが、要するに垂直思考、すなわち型にはまったものの考え方からぬけ出し、見る角度をあちこち変えてみて、柔軟に思考せよ、ということらしい。
 そうであるとすれば、何のことはない。自然科学者ならば日常やっているはずのことである。自然科学者の仕事は、新しい事実や、物事の間の今までに気づかれていない関連を見出すことであるから、既知の事実や既存の理論にこだわって型にはまった考え方をしていたのでは商売にならない。多少とも新しい意味のある問題を解こうとすれば、一つのことをあちらから眺めたりこちらから眺めたり、ああでもないこうでもないと四苦八苦しなければならない。つまり水平思考をしなければならないのである。
 しかし反面、自然科学は少数の原理から出発してできるだけ多くの事実を説明するという任務をもっている。特に物理学などはその色彩が強く、物理学者はただ一つまたはせいぜい二つか三つの原理から出発して、恐ろしく広い範囲の種々雑多な現象がうまく説明できるということ、つまり少数の原則で非常に多くのことが割り切られることに慣れている。このため、水平思考に熟達しているはずでありながら、複雑多岐で互いに矛盾する側面をもち、少数の原理で統一的に説明することが極めてむつかしい複雑な現象、たとえば社会現象のようなものに対しても、垂直的な考え方をしがちで、状況に即した柔軟な対応をすることが下手な傾向が、とかくあるようだ。
 自然界においてすら、とても一つや二つの原理で割り切れそうもない複雑な現象も多々あるのだから、いわんや人間界の現象を、少数の原則によって垂直的に分析するのは極めて危険なことであろう。物理屋の一人として自戒したいと思うのである。
 
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