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物理の風景71

时间: 2019-07-26    进入日语论坛
核心提示:目標型とプロセス型  旅の流儀・学問の流儀 近頃は旅行するとたいてい若い男女のグループといっしょになり、大勢の人たちが気
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 目標型とプロセス型
  ——旅の流儀・学問の流儀
 
 近頃は旅行するとたいてい若い男女のグループといっしょになり、大勢の人たちが気軽に旅を楽しむことができるようになったのだなあ、と今昔の感を新たにする。列車の中でおしゃべりや勝負ごとに興じていて、せっかくの車窓のながめに眼もくれないグループをみると、一言何とかいいたくもなるが、それには眼をつぶって、若い人たちの話をだまってきいたり、時には話に加わらせてもらったりするのは、なかなか楽しいものである。
 旅の楽しみ方には大体二いろあるようである。ひたすらに行く先をめざして、それまでの行程はどちらかといえば目的地に到達する単なる手段としか考えない目標型と、そこへ行きつくまでに出会う思いがけない風景や出来ごとなど、途中のプロセスをむしろ楽しむプロセス型と。山でいえば、特定の高峰を征服することに集中する型と、頂上に登るのはもちろん大きなよろこびだが、途中の沼や森や湿原もゆっくり味わいながら行く型、ということになろう。
 学問の世界でも、ある問題を解決するという目標に向かってわきめもふらずに進んでゆく目標型の人と、解決する道程で眼に見えてくる、予期しなかった物事の間の関連や、思いがけない副産物などもゆっくり味わってゆくプロセス型の人とがあるようである。プロセス型はみたところよけいな暇つぶしをしているように見える。しかし、目標型の人が先を急ぐあまり見落としたり、捨ててかえりみないひろいものをすることがあり、このひろいものの方が意外に貴重である場合が、しばしばあるのである。
 しかし目標型とプロセス型とはどちらがすぐれているというものではなくて、相補うものであろう。旅の楽しみ方もどちらでなければならないというきまりがあろうはずはない。ひたすら目的地を指向する旅の仕方も、それはそれでよいのかもしれない。ただ、どのみち同じ時間をついやすのなら、プロセスをもたのしんだ方が、はるかに充実した旅ができ、思わぬ収穫があるかもしれないのに、という老婆心がつい湧いてくるのである。
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