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物理の風景99

时间: 2019-07-26    进入日语论坛
核心提示:「わかれ」と「ジャンクション」  「分かれ」の哀愁 下北半島のむつ市から尻屋崎へバスで行くと、途中に「尻労《しつかり》分
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 「わかれ」と「ジャンクション」
  ——「分かれ」の哀愁
 
 下北半島のむつ市から尻屋崎へバスで行くと、途中に「尻労《しつかり》分れ」、「野牛分れ」という停留所がある。下北半島の美しいがうらさびしい風景と相まって、何とはなく心ひかれる地名である。
 京都大原の惟喬《これたか》親王の墓をたずねるときに降りるバス停留所の名前「野村分れ」も、似たような味わいをもっている。同じ意味でも「分岐点」というのはいかにも機械的で味気ないし、「追分」は歴史の手あかがつきすぎている感じだが、「分かれ」という呼び方は、哀愁を帯びながらも、さわやかでこころよいひびきをもっている。
 鉄道の分岐点を「分岐点」といわずに「接合点」(ジャンクション)と呼ぶのが、英国を汽車で旅していて印象的なことの一つであった。日本でも、川が合流するところは、モーゼル川がライン川にそそぐ地点にあるドイツの町をコブレンツ(英語のコンフルエンスと同じで合流を意味する)と呼ぶのと同様に、川合とか出合とか呼ぶことが多い。ところが道路や鉄道のように流れが一方向きでない場合には、その合流点に必ず分岐を意味する名前がつけられていて、英国と対称的である。
 素人考えだから間違っているかもしれないが、この相違は、ヨーロッパ人が、もともと一人々々ちがう独立した個人が互いに共通点を見出し合って集まるのが集団である、と考える傾向が強いのに対して、日本人は、理想として一心同体であるべき集団がまず先にあって、その理想からのはずれが個人間の差である、と考える傾向が強いことと関係がありそうである。もともと別のものが共通点を見出して作った集団は、一見ゆるいようだが、共通点で真に結びついているから意外に強い。これに対して元来一枚岩であるべき集団は、一見強そうだが、実はささいなちがいが分裂の原因となるから、案外もろい。「分かれ」という言葉のもつ哀愁はこのもろさに対する無意識的ななげきであると考えるのは少々こじつけにすぎるであろうか。
 
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