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鬼平犯科帳の人生論44

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:● 好奇心があれば老いぼれない[#ここから5字下げ]「ですがねえ、銕つぁんの旦那、|たま《ヽヽ》にゃあ、奥方さまのお眼を
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 ● 好奇心があれば老いぼれない
 
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「ですがねえ、銕つぁんの旦那、|たま《ヽヽ》にゃあ、奥方さまのお眼をぬすみ、あぶらっ濃いのを抱いて若返って下せえよ。このごろどうも、銕つぁん老けてちまって、いやだよう」
 元気いっぱいに冗談をいいながら去った。密偵になってからの彦十、何かこう、でっぷりと肥えて来て、生甲斐《いきがい》をおぼえているようである。
[#ここで字下げ終わり]
[#地付き]「お雪《ゆき》の乳房《ちぶさ》」
 
 自分がしゃべるのを人が黙って聞いてくれている──そう感じることが多くなったら「老い」を意識したほうがいい。老いたる人とは、相手が静かに聞いてくれていることの畏怖《いふ》を感じることなく気持ちよくしゃべっていられる人のことである。
 さて、人はいったい何をきっかけにして老いに向かうのか。
 化粧品に合わないのは肌ではなく容貌であるように、老いにそぐわないのは実年齢ではなく好奇心である。老密偵・彦十はおそらく、そろそろあちらのほうは年貢の納めどきであろうが、意気軒高《いきけんこう》なのは劣情一般に対する旺盛なる好奇心があるからである。
 では、好奇心のあるなしは、いったいどこで判断できるのか。
 自分より年少で、しかも自分とは考えが異なる意見の持ち主のいうことに耳を傾けられるかどうかを観察してみるとよい。片っ端から冷笑し腐《くさ》すようであれば、その人は好奇心を失った正真正銘の「老いぼれ」である。
 対して、歳を重ねてもなお、人事の観察を怠らず、人から学ぶことが好きで、感奮を忘れず、知的欲求をつねに新しいものにふり向けようとする瑞々《みずみず》しい精神をもった好奇心のかたまりのような人がいる。その人は「皺《しわ》のある青年」といってよいであろう。こういう人は「もうちょっとだけやってみるか」という粘りと、「もっと他にやりようがあるのでは」という知的渇きをかならずもっている。
 とはいえ、生物としての老いは否応なしにやってくる。皺は深くなるし、筋肉の預金残高もどんどん減ってゆく。
 だが、である。六十五歳以上であることと老人であることはかならずしも一致しない。好奇心が旺盛で若々しい七十歳もいれば、二十歳かそこらで新しいことに挑戦する意欲を失い、感情を老化させてしまっている�早老�気味の若者もいる。耄碌《もうろく》しているか否かは好奇心が決め手である。老いてもなお老いぼれぬ人は例外なく未来を見据えて好奇心を握りしめている。あなたはどうか。
 
† 世に好奇心を失った覇気《はき》のない若者ほど虚しい存在はない。
「なあ、豊ちゃんのカツ丼、それともキッチン南海のひらめ&しょうが焼、どっちにする?」
「べつにどっちでも……」
「どっちだ。昼飯に何を食うかは、一日のうちでもっとも重要な決断だぞ」
「わざわざ行くんですか?」
「あたりまえだろ」
「じゃ、やめときます」
 弾《はず》まないとはこのことである。
 乾いた雑巾《ぞうきん》を絞るような虚しさとはこれである。
 
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