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鬼平犯科帳の人生論56

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:● 将たる者は喧嘩が強くなくてはならない[#ここから5字下げ]「鬼の平蔵さまにお会いなされたか?」 と、佐野倉の主人が、
(单词翻译:双击或拖选)
 ● 将たる者は喧嘩が強くなくてはならない
 
[#ここから5字下げ]
「鬼の平蔵さまにお会いなされたか?」
 と、佐野倉の主人が、
「どんなお人でしたかね。私も、ぜひ一度、お顔を見たいとおもっているのだが……」
〈中略〉
「なんともいえぬお人だ。怖くて、やさしくて、おもいやりがあって、あたたかくて……そして、やはり、怖いお人だよ」
[#ここで字下げ終わり]
[#地付き]「用心棒《ようじんぼう》」
 
 指導者の条件というと、きまって「統率力」「決断力」「先見力」「バランス感覚」などが挙げられるが、それらの能力を根っこで支えているのは「喧嘩の強さ」に他ならない。
 こんなことをいうと、喧嘩っ早い暴れん坊がリーダーに適しているかのように勘違いされるかもしれないが、そんな単純きわまりない話ではない。
 名将たるもの、事の大小が判断でき、まわりの人間を自分の肌身のように愛する気持ちをもち、火のような情熱と水のような冷静な頭を保持していなくてはならないのはいうまでもない。が、これらの能力や資質が光彩を放つのも、根っこの部分に「喧嘩の強さ」があればこそなのだ。
 喰うか喰われるかの有事のときに、大将が恐怖で青ざめたり、茎から折れた花のようにうなだれてしまったら、周囲の者はどのような反応を示すだろうか。間違いなく多くの人は失望の表情を浮かべて去っていくだろう。
 危機が到来しても、あいつだけは勇を奮って知恵をふり絞ってくれる、ワニと格闘する破目になっても、紅蓮《ぐれん》の炎となってきっと勝利をもぎとってくる、そう周囲に思わせることのできる人物こそが大将にふさわしい(たとえばここに、能力の似かよった二人の優秀な社長候補がいたとしよう。あなたは何を判断基準にして社長を選ぶだろうか。小生なら、ぜったいに喧嘩の強そうなほうを推す)。
 喧嘩はできればしたくない。賢《さか》しい者ならば、誰もがそう考えるだろう。
 だが、横槍を入れられたり理不尽を突きつけられたら、将たる者はこれを拱手《きようしゆ》傍観してはならない。いらいらしたり、気を揉《も》んだり、うろたえたり、おびえたりする表情さえも見せてはならない。
 なぜか。
 将たる者は、自分についてくる者たちの生命と財産を守らなくてはならないと同時に、安らぎも与えなくてはならないからだ。
 ゆえに、有事のときの大将は、裂帛《れつぱく》の気合いに満ちた面構えと、ぜったいに負けないのだという強固な意志をもたなくてはならないのだ。
 鬼平は、平素はのんびりしたところがあり、まわりからは「ねむり猫」のようだと噂される一面があった。
 が、一朝ことあれば、あのお方は真っ先に出ていってくれる、逃げも隠れもしない、そして自分たちにはとうていできない気迫のこもった芸当で戦いに勝ってくれる、と周囲の人間に思わせており、じっさい修羅場となったら動物的な精気をみなぎらせ、文字どおり�鬼�と化して勇猛果敢にやり遂げている。これぞ将たる者の範である。
 引用の言葉は、「鬼の平蔵」をもっともうまく形容した表現であろう。
 
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