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鬼平犯科帳の人生論68

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:● 聞き上手は知恵を授かる[#ここから5字下げ]「佐嶋。明日からは、また鬼の平蔵とやらにもどる」「安心をいたしました。そ
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 ● 聞き上手は知恵を授かる
 
[#ここから5字下げ]
「佐嶋。明日からは、また鬼の平蔵とやらにもどる」
「安心をいたしました。それにいたしましても、このところのご繁多ぶりは……?」
「なに、人足寄場《にんそくよせば》の引きつぎやら何やら、いろいろと、な」
 それだけではない、と佐嶋|与力《よりき》は看てとったが、長官がいい出さぬことを訊《き》き出そうとするような男ではない。
[#ここで字下げ終わり]
[#地付き]「蛇《へび》の眼《め》」
 
 良寛和尚が「口舌」に対して戒めたもの──ものいいのくどき。さしで口。おれがこうした。人の物のいいきらぬにものをいう。酒に酔いて理《ことわり》をいう。あやまちを飾る。ひきごと(引用)の多き。たやすく約束をする。推し量りのことを真事になしていう。己が氏素性の高きを人に語る。ものの講釈したがる。憎きこころをもちて人を叱る。
 どれもひやりとさせられるものばかりだが、なかでも癇《かん》に障《さわ》るのは「人の物のいいきらぬにものをいう」人ではなかろうか。相手の最初の二言三言を�枕�にして、自分の話へとつなげてしまう人がいる(おまえだよ、と自分に詰め寄りたい気分である)。
 世の中には何でも急《せ》いてやらなければ気が済まぬという人がいて、のろまな人を見るとイライラがつのり、相手がしゃべり終えるのさえ待てず、話の腰を折ったり、話題を横取りしてしまったりする。
 こういう人は長い目で見るとずいぶん損をしているわけだが、当人はなかなか気づかないようだ(小生も以前はこのタイプに属していた。自分が無口であることを説明するのに一時間もかけてしまうようなおしゃべり人間だったのだ。恥ずかしい。死んだら「饒舌院しゃべると止まらない居士」という戒名をくれるという友人がいたものだ。いまでも、ふと何かのはずみで、骨身にしみ込んだ饒舌癖が顔をだすことがある。要注意。これもしゃべりすぎか)。
 だが、おかげさまで、世の中は捨てたものではない。ごくわずかだが、「聞き上手」なるひと握りの賢者が存在する。観察してみるとよい。彼らには他人の知識を自分の人生に活かそうとする謙虚な姿勢があるため、そのもとへは水が低きに流れるがごとく、あるいは砂鉄が磁石に吸い寄せられるように知恵や情報があつまってくる。
「聞き下手」はそうではない。おれがああしたこうした、と自分のことしか頭にないので、他人の経験や見識をみずからの知性に取り込むということがない。他者から学ぼうとする姿勢をほとんどもっていないのだ。小賢《こざか》しい口をきく「賢《けん》に走るバカ」もたいていこの部類に属している。
 対策を講じておこう。まずは口をつぐみ、要所要所で話の腰をやさしく撫で、びっくり上手になる。そして、相手が興にのってきたら真剣な黙考をもって聞き耳をたてる。これを積み重ねてゆけば、少なからず「|!《ピン》」とくる情報に出会うであろう。そればかりではない。それまでの自分がいかにお節介で、でしゃばりで、詮索好きであったかもわかるだろう。酸素の無駄づかいをして申し訳なかったとさえ思うかもしれない。小人の交わりは蜜の如し。君子の交わりは水の如し。こうした戒めが身に沁みるはずだ。とくに自分より上位の者が多くあつまったざっくばらんな席では、口は小さく耳は大きくしているのがよい。こう自戒はするのだが……。
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