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ミッドウェー戦記25

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:二十四 ヨークタウンの速力は、十九ノットにまで回復していた。このためには、罐室の必死の努力と、バックマスター艦長と、機関
(单词翻译:双击或拖选)
 二十四
 
 ヨークタウンの速力は、十九ノットにまで回復していた。このためには、罐室の必死の努力と、バックマスター艦長と、機関長の間に、殴り合いよりもひどい罵声の応酬があった。まったく、バックマスターは、無事にパールハーバーに帰れたら、機関科全員にのされても仕方がない、というほどのひどい激励を与えたのである。
 午前十一時三十五分、バックマスターは、日本の雷撃機が、右舷と左舷と二手に分れて、低空で突進して来るのを認めた。
 ——よくある手だ——。
 珊瑚海海戦で、十数本の日本の魚雷を、転舵によってかわし切ったバックマスターは、鼻唄をうたおうと思ったが、鼻孔からスーと息が洩れただけで、歌にはならなかった。
 バックマスターは、まず、——おれは、魚雷回避に関してはプロフェショナルなんだ——と自分に言って聞かせた後、両方の雷撃隊を見くらべた。
 左舷から来る隊(友永隊)の方が進入が早そうだった。——まず、こいつを回避しなければなるまい、右からの敵はそのあとだ——。
 バックマスターは、日本の雷撃機が、実戦の場合通常の射点よりも肉薄し、五百メートル附近で投下することを知っていた。彼は、まず、友永隊の三機を十分ひきつけておいて、
「ハード・ア・ポート!(面舵一杯)」
 を令した。
 
 
 ヨークタウンは大きく右に頭をふり、左舷から、こちらに向かっていた三機は、たちまち、射点が後落し、あとから追いかける形となった。ヨークタウンの機銃は一機ずつ狙い射ちにした。魚雷は三本投下されたが、艦と並行の形となったのでバックマスターは、うまくかわせると考えた。
 ——次には、右から来ていた五機だ——。
 艦の変針によってこの隊は、左舷前方にかわっていた。——ヘタをすると、絶好の射点を与えることになるぞ——。
 頃合よし、とみて、バックマスターは、一旦、舵を戻し、「スターボード!(取舵)」を令しようと思い、大きく息を吸いこんだ。左舷前方の一番機は、すでに魚雷を発射していた。そのとき、見張員が、
「艦長、左舷後部に雷跡! 本艦と並行しています!」
 と声をはりあげた。
 バックマスターは、急いでその方を見た。
 白い雷跡が、後尾機銃の左正横五十メートルのあたりを、ヨークタウンと並行して、徐々に追いつきつつあった。(この魚雷が、友永大尉の落としたものであるかどうかは、誰も知らない)バックマスターは、進退きわまった。いま、取舵をとれば、追い抜きつつある魚雷をちょうど、中部左舷で受けとめることになる。これはまずいのだ。しかし、このまま直進すれば、残りの五機のパイロットをにっこりさせることになる。
「Goddem! Cat and dog!(畜生! くそくらえ)」
 バックマスターは、窮余の一策として、再び、「面舵」を令した。
 右旋回することによって、左舷から来た隊の射線を後落させようというのだ。しかし、一旦、中央《ミチツプ》に戻した舵はなかなか利かなかった。やっと舵がきいて、艦が右旋回を始めたころ、左舷の一番機(橋本機)が発射した魚雷は、左舷のほぼ中央、艦橋の反対側に命中した。ヨークタウンの艦橋は、右舷にあり、このために、左舷から来る魚雷はよく見えない、というハンディがあった。しかし、魚雷の破壊力にはハンディはなかった。ヨークタウンは、呻く巨人のようにゆっくり震動し、八百キロ魚雷の命中を認めた。
 罐室の並んでいるあたりに浸水があり、罐の火が消え、蒸気パイプからは、高熱の蒸気が噴射された。こんどの被害は、爆弾とはくらべものにならなかった。二万トンの空母は、大破孔からの浸水によって、早くも左舷に傾斜を始めていた。さらに、すぐ近くの艦腹に、第二の魚雷が射ちこまれた。
 橋本は、魚雷を発射した後、友永隊長の機が、火焔に包まれながら、空母の艦尾に追突するのを認めた。飛行機は二つに折れて艦尾の渦に吸いこまれた。すうーっと白い煙が上がった。香煙のように見えた。——ああ、隊長が、や、ら、れ、た——橋本は全身から力が抜け、がくりと頭を前に落とした。マナーは荒っぽいが、心のやさしい、親しみやすい上官であった。——もう、隊長はいない——黄線の入った尾翼の飛び散る姿のみが、印象的に頭に残った。このとき、すでに、後続の衛藤親志一飛曹の二番機、中村豊弘一飛曹の三番機は、魚雷を投下して、いずれも、ヨークタウンの飛行甲板上をとびぬけるべく、前に向かって避退中であった。
 橋本機は、高く突き出した、∃ークタウンの艦首の下を通りぬけた。艦首はまだ勇ましく波を蹴立てていた。舷側の機銃は射撃を続けていた。艦首の機銃は、射撃をやめていた。機銃員の一人が、橋本の方を見ながら、なにごとかを叫んでいた。彼は突然、手をふってみたいような衝動に駆られた。しかし、両掌は、固く座席の縁を握っているだけで、指が一本も動かなかった。彼は死者のように硬直していたのである。
 母艦をかわし切った後、彼はうしろを向いて、じっと母艦をみつめていた。列機は、母艦の上をとびこえ、あるいは、艦尾をかわして、橋本の方によって来た。
 ——第二中隊は、一機も喰われなかったな——。
 しかし、友永の隊は、一機もこちら側に姿を現わさなかった。友永隊の犠牲によって、二中隊の攻撃が無事に終わったことを、橋本は考えないわけにはゆかなかった。
 三百メートルぐらい来たころ、空母の中腹に高さ五十メートルの大きな水柱が二つ続いて上がった。続いてその三分の一ぐらいの小さな水柱が一つ上がった。——二発は確実に命中したな——彼は、ほっとしてあたりを見回した。安堵があった。これで、帰路に撃墜されても、任務は果たしたのである。五千万ドルと十八万円との取引は終わっていた。いまのところ、攻撃隊の支払った代価は、艦攻五機である。空母側の代価は、まだ計量が困難であった。
 橋本は、飛竜にあてて、「ワレ敵空母ヲ攻撃ス、魚雷二本命中ヲ確認ス」と打電した。時に、午前十一時四十五分、飛竜を発艦してから、一時間二十分を経過していた。
 
 バックマスターは、打ちのめされていた。
 魚雷は中部に二本命中し、さらにすぐそのうしろに三本目が命中していた。
 罐室の火は消え、熱い蒸気が通路を満たし、発電機はすべて停止し、艦内は真っ暗であった。スクリューは回転を止め、浸水が激しさを増しつつあった。
 こうなると、居住区を豊かにするため、防水区画を大きくとってあるアメリカの空母の弱点が明らかになった。
 一発目の魚雷が命中して五分後にヨークタウンは五度左に傾斜し、さらに三発目の命中後五分で、左に十八度傾斜した。友永隊の攻撃直前、ヨークタウンでは、修理した甲板から、戦闘機の発艦を行っていたが、それは不可能となり、ヨークタウンは、二十五度傾斜するまで、浸水がやまなかった。
 ヨークタウンをはなれてから五百メートルほど来たとき、橋本は左に続行する中根機の腹の下を見て、のけぞらんばかりに驚いた。その腹には、まだ一本の魚雷が、母親にしがみつく子猿のように、ぴったりくっついていたのである。——おかしな奴だな、何のために、あれだけのアイスキャンデーを喰いながらここまでやって来たのかな? 魚雷を発射するためではなかったのか——橋本は、機からのり出して、中根の腹下を指さしてみせた。中根機の偵察員が「了解」というふうに手をあげた。すると、ぽとんとその魚雷が海面に落ちた。
 機はぴょいととび上がった。
 橋本はがっかりしてしまった。——なんだ、つまらないことをする奴だな、せめて巡洋艦か駆逐艦にでも発射すればよいのに、もったいないことをする奴だ。魚雷ももったいないが、命ももったいない。ここまで来た労力が水の泡だ、まったく屁のようなことをする奴だ——橋本は、その偵察員をにらみつけた。偵察員は、すまん、すまん、というふうに自分の頭を叩きながら、座席のなかにもぐってしまった。その偵察員は、魚雷が落ちていないのに気づいたので、何げなく、「おかしいな」と呟きながら投下索をいじってみた。そうしたら、ぽとん、と魚雷が落ちてしまったのであった。本当は彼が一番がっかりしたのである。彼は先刻アイスキャンデーの火箭の束に囲まれながら、「投下!」と勇ましく投下索を引っ張り上げていた自分の姿を思い浮かべると、無性に肚が立って来た。——なんだ、魚雷がなんだ、投下がなんだ、あまり人を馬鹿にするな——彼は本気に怒って、投下索を踏みつけた。何も知らない中根は、グラマンを避けるため、必死に急旋回を続けていた。魚雷はぶくぶくと気泡を立てながら、その後を追いかけていたが、その前方には、巡洋艦も駆逐艦もいなかった。
 橋本は憮然《ぶぜん》としてその小さなドラマをみつめていたが、彼はまだ気づいていなかった。五機が魚雷攻撃を終わったとき、彼は三発が命中したので、命中率は五分の三、すなわち六十パーセントで、これは自慢出来る、と考えていた。しかし、実際の命中率は四分の三、つまり、七十五パーセントという高率だったのである。
 橋本の機は、ぽかりとアイスクリームのように浮いている断雲を見つけると、すぐそのなかにとびこんだ。彼の機は飛石を伝わるように、その断雲から断雲へと縫って飛んだ。飛び移るときが危険であった。虻のようなグラマンは、その断雲の切れ目に数機待っていて、鈍重な艦攻が姿を現わすと、逆落《さかお》としに落ちて来るのであった。橋本はもう友永のことも、中根の魚雷のことも考えているひまはなかった。彼は高橋への伝声管を唾で温めながら、懸命に、右旋回、左旋回を繰り返した。彼の列機もそれにならった。
 断雲戦法は功を奏して、彼の中隊は無事に輪型陣を脱した。ふりかえってみると、空母は、もくもくと白煙をふき上げていた。左に傾斜し、停止しているように見えた。グラマンはもうついては来なかった。空母の西方二十マイルで左旋回しながら、集まって来た三機の戦闘機をつれて、彼は飛竜のいる方向に西進した。
「敵空母火災、傾斜ス、艦攻五、戦闘機三、今ヨリ帰投ス、一二〇五」
 彼の機からそう無電が打たれた。
 帰投した三機の零戦のなかには、あの変わりものの峯岸義次郎飛曹長がふくまれていた。はげしい空戦であったが、彼は運強く生き残ったのである。赤城から来た中根も変わった運命のなかに身をおいていた。このとき中根は橋本の隊に属して攻撃に参加したのであるが、もし予定通り後藤が索敵に出てその帰途、飛竜に着艦していたら、同期生である橋本の列機にはならず、友永の中隊に入ったであろう。後藤は友永と共に消える運命を副次的に持っていたのである。しかし、彼の機は、中根のように魚雷発射に失敗するようなことはなかったかも知れない。ヨークタウンに一発を命中させて、戦史に名を止めることが出来たかも知れないのである。
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