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テーブルの雲40

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:春の心変り その日は良い春|日和《びより》で、日吉のキャンパスは新入生とその父兄でごった返していた。私はその日から慶應義
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 春の心変り
 
 
 その日は良い春|日和《びより》で、日吉のキャンパスは新入生とその父兄でごった返していた。私はその日から慶應義塾大学の学生となり、人波にもまれながら、ひとり入学式の会場へ向かってだらだらと歩いていた。
 たいていの新入生は晴れ晴れと輝くような表情で、嬉《うれ》しそうに銀杏《いちよう》並木の下を進んでいたが、私はそれほど嬉しいとも思わず、むしろ鬱々《うつうつ》として楽しまない表情であったかもしれない。
 高校時代、私はそれほど成績優秀だったというわけではなく、一生懸命勉強している割には、東大の合格圏すれすれという程度のところをうろうろしていた。
 どこを受けようかなぁ、という時になって、私は一応第一志望は東大の文㈽、第二志望は慶應の文学部、と決めたのだった。一つ違いの兄は高校から慶應に行っていて、毎日楽しそうに遊び暮らしていたし、ま、慶應も悪くないかな、と思ったからである。実際に東大を受けてみると、一次試験は何とか通ったものの、二次試験となると、だいいち数学なんかは問題を見たとたんに、「お、これは解けない」ということが分かった程度で、事実そのうちの一題を試みてみた結果では、蜒々《えんえん》と割り切れない計算が続き、まるで宇宙船の軌道計算を筆算しているような気がした。だからあれは間違いなく○点だったろう。従って不合格だったのは、是非もない当然の道理だったのである。
 いっぽう、慶應の文学部はばかに簡単で、国語はほとんど満点に近い点数だったろうし、数学は無いし、英語は前の年に出たのとほとんど同じ問題がまた出ていたりして、別段な苦労もなく合格してしまった。
 それでも私は「よし、では来年もう一度東大にチャレンジしてみよう」と思い、とりあえず滑り止めの慶應に入学して、捲土《けんど》重来を期することにした。
 だから、入学式の時点では慶應に骨を埋めるつもりはなかったのである。そこで学生服も高校の時のまま、それに慶應のバッジだけつけて、うろうろと入学式に出て行ったわけである。
 すると、銀杏並木のあたりで、上級生らしい慶應ボーイ風が私を呼び止め、「キミキミ、慶應では、そういう風に衿《えり》に徽章《きしよう》なんか付けないのが伝統だよ。すぐ外したまえ」とキザな口調で教訓した。私は、慶應というところは嫌味《いやみ》な奴《やつ》がいるところだ、と内心不愉快になった。そうして、こういうところはさっさと見切りを付けて東大に行くに限る、などと横風なことを考えていた。
 ところが、いよいよ新学期がはじまってみると、文学部のこととて、華やかな女子学生で教室はまるで花が咲いたようだった。地味な都立高校から来た私は、たちまち花の色に迷って、三日ほど経《た》ったころには、もはや東大のことなどすっかり忘れてしまった。
 それから私は慶應で充分に遊び、充分に勉強させてもらった。その日々は今にして悔ゆるところがない。つまりそれが、私には最も良い選択だったのである。
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