私は最近、日一日と�男好き�になっていくようである。エッセイも、小説も、男の作者のものばかり読んでいる。そしてつまんないもの書いたり、つまんないことしてるのに、どういうわけか、マスコミにおどり出たひと握りのおんな有名人をいじいじと意識して嫉妬《しつと》している……。
そう、つまりあなたと全くおんなじことばっかりしてるの。
ところで、今回私がこういった本を書くことになったのは、ひがむ一方だった女からの反撃なのである。だいたいね、女が書くエッセイ(特に若いの)とか、評論っぽい作文に本音が書かれていたことがあるだろうか。
「朝、真っ白いシーツにくるまれたベッドで目さまして、ミルクを飲んで、男に会いにカフェ・テラスに行く」式のああいうもんに、はたして真実はあっただろうか。男にふられて泣いてどうした、とかいろいろ書かれているけれど、なにをどうやってもやたらファッショナブルなのよね。
彼女たちはその本の中ではやたらパンツ脱いで男と寝ちゃうけれど、文章を書くということにおいては、毛糸のズロースを三枚重ねてはいている感じ。
なにをこわがっているんだろう。
なにをおそれているんだろう。
若い女がもっているものなんてタカがしれているじゃないか、と私はいいたい。
ヒガミ、ネタミ、ソネミ、この三つを彼女たちは絶対に描こうとしないけれど、それがそんなにカッコ悪いもんかよ、エ!
とにかく私は言葉の女子プロレスラーになって、いままでのキレイキレイエッセイをぶっこわしちゃおうと決心をかためちゃったのである。
ものすごい悪役になりそうだけど、ま、いいや。どうせはかない女の命、大輪の花、いやネズミ花火となって果てましょう。