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ルンルンを買っておうちに帰ろう21

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:ぐっと年上の女友だちというのはいいもんだ 私には三十代から四十代にかけての友人が多い。友だちといってさしつかえなければ、
(单词翻译:双击或拖选)
 ぐっと年上の女友だちというのはいいもんだ
 
 私には三十代から四十代にかけての友人が多い。友だちといってさしつかえなければ、私の雀友《ジヤンゆう》でもあり、栄養補給者でもある六十代のおばさまもいる。
 もちろん奥さんたちも多いが、やはりよく会うのは、一生をかける仕事あれども、夫なし、というジャンルに属する女性たちであろう。
 私が彼女たちを好きなのは、私を「若い女の子」扱いしてくれるからであり(ゴメンナサイ)、結婚しなくてもいかに素敵に生きられるかを教えてくれるので、すごく私は安心するのである(ゴメンナサイ)。
 彼女たちに共通しているのは、ものすごく意地悪だということだ。意地が悪いというのとはちょっと違う。非常にシニカルで、普通の女の子たちに対する評価などは全く情け容赦ない。その辛らつさは、聞いている私が胸がはりさけそうになるぐらいものすごい。
 私にはここまでいう勇気と批評能力がないから、もっぱら聞き役にまわって楽しんでおります。いつ矛先がこっちに来るかわからないスリルもある。
 世間の区分けからすると、私などはもう完全な年増の部類に入れられ、パーティーなどでも人気が集中するのは、もっぱらうちの二十一歳のアシスタント。この業界につきものの悪い虫を追っぱらおうとすると、
「ひがむんじゃないの。キミの時代はもう終ったの」
 と冷たくいわれる私にとって、ここはもうノンエイジの楽しい花園。「ヤダー」とかいって体をくねらせても、とがめる人もなくすごく嬉しい。
「どうお、最近バンバン男と寝てる?」
 CMフイルムの会社に勤めるTさんは、四十はとうにすぎてると思うんだけど、私の百倍ぐらい�現役�である。
「あたしさ、このあいだちょっとおもしろい男にあってさ」
 というのはフリーライターのSさん。この人もそんなに若い層じゃないと思うんだけれど、男の話が決して過去形ではなく、現在進行形だからすごい。
 若い女の子たちのように、打ち明け話やグチの体裁をとって男の話をするのでなく、非常に実際的でかつロジカルである。かといっても決してなまなましくないのだ。途中で仕事や人の噂が挿入されても、ちゃんとつながるような軽さをもっている。
「だから、あんたもいっぱい男と寝なきゃダメよ」
 突然Tさんがいった。
「エッ」不意をつかれて私は赤くなる。
「だめなのー、だって私、からだに自信ないからー」
「バカだねー、この子は」
 SさんとTさんが同時にどなった。
「そんなもんは電気消しゃーすむことじゃない!」
 こんなふうに、年上の女性の話はすごくタメになる。
 それにしても彼女たちのすごいところは、決して「仲よしごっこ」をしないところである。
 いろんな世代の、いろんな職業の女性たちとコミュニケーションをもつことによって、手をとり合いましょう、といったような「クロワッサン」的発想は彼女たちにはない。
 男とかその他のことでは私を小娘扱いをするけれど、仕事のことでははっきりと私をライバル視し、ものすごい宣戦布告を申し入れてくることさえある。
「あんた程度のコを、ただ若いからといってまわりの人たちがチヤホヤするのは間違っているわね。あの仕事は、やっぱり私ぐらいの人間がすべきよ」
 とぴしゃんと釘《くぎ》をさされる。
 そして機嫌が悪い時などは、私の性格をめちゃくちゃに解剖し、ここまでいわなくてもいいのにと思うぐらいの、とどめのひと言も忘れない。
「良薬は口に苦し」
 と思うものの、慣れるまではずいぶん腹立たしいことも何度かあった。
「あんなに意地が悪いから結婚できないんだ」
「あーあ、やっぱり仕事ができるからといっても、あんなふうにはなりたくないよなー。私はやっぱりお嫁さんに行って、旦那さんにかわいがってもらう人生を歩むんだもんねー」
 などと思いつつ、離れていると淋しくなって、また自分から電話するのが常である。
 しかし、考えてみると私も大人になったもんです。
 私は幼い時から、自分にやさしい人間、口あたりのいい人間にしか近づかない女だった。
 自分よりちょっと見劣りする人間に近づいて、
「マリちゃんてホントに何でも知っているのね」
 といわれたりするのが好きだった。自分と同じ電波をはなつ人間、つまりものすごく野心家だったり、強気だったりする人間は徹底的に避けて生きてきた。
 はっきりとライバルと見たてて、
「お、いっちょやったろじゃないか」
 とリングの上に立つ女同士のつきあいというものを、いままで私はしたことがない。
 いまでも「ライバルが自分を向上させる」という論理は男性だけにつうじるものだと思っている。
 女性の場合、相手に勝つ前に、まず自分に負けてしまうのだ。嫉妬心というものをもちこたえられなくなってしまう。自分というものの収拾がつかなくなって、息が切れてしまうのだ。
 けれども彼女たちを見ていると、いろいろな感情がとても上手に覆いがされているのだ。嫉妬だとか、野心だとか、好色さとかが、私のようにむき出しでなく、巧みにコントロールされていることに舌をまく。それを彼女たちは、
「マイペースでいけるようになった」
 という表現を使うけれど、その感覚というのはまだ私にはわからない。
 いまだにいろいろなものをもてあまして、自分でもこわくて触れることができないぐらいまでに膠着《こうちやく》させてしまう。
 そのたびごとに彼女たちの誰かに、真夜中に電話し、その苦しさを訴えるわけではあるが、彼女たちの返事はいつもきまっている。
「もうちいっと年とってくりゃ直るわよ」
 電話の向こうの声はちょっと笑っている。
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