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ルンルンを買っておうちに帰ろう23

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:三畳から豪華マンション。あたしのサクセス・ストーリー 今日もまた依頼の電話が一本入った。「またお願いしたいんですけどねー
(单词翻译:双击或拖选)
 三畳から豪華マンション。あたしのサクセス・ストーリー
 
 今日もまた依頼の電話が一本入った。
「またお願いしたいんですけどねー」
「いいすよ」
「もー、林さんとこみたいなのはちょっとないから。ほんとにステキですよ、最高ですよ。このあいだもお願いしたら評判よくって」
「そうすかー、じゃ片づけときますから」
 別に私への仕事依頼ではない。私の住んでいるマンションを撮影に使いたいという、雑誌社からの電話だった。
 十二畳のリビングとそれにつづく六畳の寝室がすべて板張り。新築だから壁も真っ白でシミひとつない。外側はコンクリートの打ちっぱなしと、まるで絵に描いたようなナウいこのマンションを見つけたのは、つい最近だった。管理費込みで十二万円という値段は、他に南青山に仕事場をもつ私にはかなりの出費だったが、私は即決で借りることにした。その理由として、
 ㈰いかにもいま風のマンションで、皆に自慢できる。
 ㈪私はスタイリストの友人が多いので、撮影に貸したら撮影料が入る。
 ㈫こんなところに住んでいたら、いかにももうかってそうだと思われて気分がいい。
 とまあ、ほとんどが外的要因で借りたところがいかにも私らしい。
 けれども、この業界、住むところでその人のセンスや暮らしぶりを判断するところがあって、みんな涙ぐましいぐらいいろんなことをやっているのね。私は考えてみたら、いままで食べることだけに本当に必死だった。この二、三年は洋服を買いまくっていた。ふと気がつくと「住」の分野だけが異常に低く、それで今回大いに反省して、この真っ白いマンションを借りたわけである。十二万円とかいって騒いでいるが、狸穴《まみあな》からこの東麻布へぬけるあたりは、都内でも有名な億ション地帯。私のマンションなどはホントにこぢんまりとしたものだけれども、この年の女がひとり暮らすのには、やはりかなり破格の贅沢《ぜいたく》さといっていいだろう。
 私が上京して最初に住んだところは、トイレも共同の、三畳の学生アパート。いま思えば十人の学生のうち、女子大生はたったふたりという恵まれた環境であった。東京の小金持ちが、自宅の裏に定年後を考えて建てたこぢんまりしたものである。
「うちはちゃんとしたいいとこの方しかお貸ししないんですよ」
 とかいって、そのうちのオバサンは、上京したばかりの私ら父娘をジロジロ見ていたが、いいとこのお坊ちゃん、お嬢ちゃんが三畳に住むか、エバルナ!
 それはともかくとして、十人学生がいて、トイレがふたつ、ガスコンロもふたつ、水道はたったひとつしかないのは確かにつらい。
 トイレはその頃《ころ》の東京でも珍しい汲《く》み取り式で、しかもそのトイレの横には、私がこのアパート�1とひそかに名づけていた、中央大法学部の高橋さんが住んでいたのである。
 遅きめざめながらも、私もやっと色気づきはじめてきていた。
 そして毎朝、遅きめざめながらも、その欲求は確実に私をおそってくる。
 当時四年生だった(詳しいもんである)高橋さんは時間が自由にあるのか、日がな一日ギターをひいたりしていて外出しない。
 九時ぐらいになると、みんな学校へ出はらってアパートは静寂が支配しはじめる。
 高橋さんのギターの、ビートルズナンバーが聞こえはじめる。
 そのギターの伴奏に、私のぶしつけな音が入っていいものだろうか。
 私の病的ともいえる便秘がはじまったのは、この頃からではないかと思う。
 次に私が引っ越したのは、池袋の四畳半のアパートだ。ここにはなんと四年間も住むことになって、あまりの老朽化にとりこわされるまでしぶとく居すわっていた。
 上池袋という土地柄に加え、外から簡単に出入りできること、女の子だけが住んでいたことなどが、痴漢にすばらしい条件を提供していた。
 このアパートの住民で痴漢の被害にあわなかったものはいない。特に隣の秋田出身の色白美少女は、あとをつけられたり、さまざまな事件にあったりしていた。こういう事態においても、例によって、なぜか私だけがとり残された。
「本当になんとかしないと」
 そのアパートの女ボスである私の部屋に毎晩集って討議していても、私はなにひとつとして具体的なことがいえなかった。つらかった。
 そんな私が、やっとある夜彼に会えました。夏の夜、あまりの寝苦しさに窓を開けて寝ていた私の部屋に、黒い影が侵入しようとしたのだ。いまでもはっきりとおぼえている。
「どなたですか!」
 という私のひと声は、生まれ育った礼儀正しさもさることながら、なにか�ようこそ�というかすかな歓迎の意がくみとれないだろうか。もちろんなにごともなくすんだが、ともかくこれで私はやっと被害者同盟のトップとしての、地位と体面を保つことができたわけである。
 このアパートでは少なくとも、三人の女の子が�処女喪失�を体験している。人がいる気配なのに、いくらノックしても応答がない。今日彼が来るからいっしょに遊ぼうといっていたのに、と私はブツブツいいながら部屋にもどるのだが、やがて事態がわかり、
「ふうん」
 という感じになる。
「いいんじゃない、なんでもやれば」
 さらに思う。
 この「ふうん」という感じは、のちのちまで私の性格に暗く影を残し、うまくやっている同棲《どうせい》カップルなどを見聞きするたびに、この言葉を発することが多い。
 さて、その後私の住居に関するデーターは、参宮橋《さんぐうばし》の六畳ひと間トイレつき、成城学園の風呂つき1LDKとゆるやかなカーブを描き、ここ麻布マンションで急激な上昇を見せるわけである。
 さて、現在私は人が羨《うらや》むような、豪華マンションの住民となったわけだが、あれほど期待していた素敵な暮らしは私に訪れただろうか。
 私は引っ越してきたときにいろいろ心にきめていたことがある。そのひとつは、
「若い頃の桐島洋子さんのように、毎晩ここでパーティーを開きましょう」
「モア」のグラビアページのように、手の込んだおつまみで皆をもてなし、サロンのようにいたしましょう。もちろん若い男性なんかいっぱい、しょっちゅう来ちゃうのだ。彼らは私のまごころこめたもてなしに感激し、つぎからつぎへ友人を誘うようになる。たくさんいる中には、サロンの女主人である私に憧《あこが》れる青年もでてくることになっている。
 ある晩私は仕事で遅くなり深夜、車で帰ってくる(この夜は絶対に雨が降っていなければ困る)。すると例の青年が私の部屋の前で、雨に髪を濡《ぬ》らしたまま待っているのだ。
「あら、どうなさったの、こんな時間に。今日はおひとり?」
「今日は僕、どうしても話したいことがあるんです」
 こんなシーンを何度頭に思いうかべたことであろう。ところが現実は、あまりの忙しさに、部屋には寝に帰るだけ。広々としていたリビングも読みっぱなしの新聞に、ガードルとストッキングの二段重ね脱ぎっぱなし。出前の寿司桶《すしおけ》には小バエがルンルンルン。
「まるで絵のようではないか」
 と私はつぶやいた。
 よくテレビなんかにでてくる、だらしないホステスの部屋。まさに一分のスキもなくそのとおりになったことに、私は感動してしまった。
 私が感動したからといって、ひとがそのとおりとはかぎらない。この感動は、他人には不快感しかあたえないものだというぐらい私にもわかる。
 本当のことをいえばこの私とて、夜中に突然チャイムを押してくれる男性がいないわけでもないのである。夜だから当然水割ぐらい出す。男と女が真夜中にふたりきりで酒を飲む。三メートルと離れていないところにはベッドルームがある。まさに恋人への直線最短コースである。
 ところが私ときたら、
「待、待ってください。困ります。あの、ちょっと待って、あ、あの、角まがったところに深夜までやってる焼き鳥屋があります。そ、そこで待っててください」
 とドアのこちらがわで叫ぶのが常である。
「私のだらしなさが、実は私の貞操を救っているのである」
 こういっても意味がわかる人は、あまりいないだろう。
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