「とにかくいままで女の人が絶対に書かなかったような本を書いてください」
と担当の方にいわれた。
だからできるだけ正直にいろんなことを書こうと思ったのだが、書きすすむうちにあまりのエゲツなさにわれながら悲しくなってしまったことが何度もある。
本当に私って嫌な女ね、と壁に頭をぶっつけて泣きたい日がつづいた。
それなのに担当のM氏は、私のできあがった原稿を見ては、いつもゲラゲラおなかをかかえて笑うのである。原稿ができあがるにつれ、私はしだいに暗い気持ちになっていくのに、M氏の笑い声はだんだん大きくなるのである。
これはそんなにおもしろい本なのだろうか。
それともその笑いは、編集者独得の「ヤラセ」であろうか。
見たことはないけれど、拍手が全くこないストリッパーはかなりミジメなような気がする。だからこの私の裸体[#「裸体」に傍点]を見て、顔をそむける人もいるかもしれないが、なるべくたくさんの人がピーピー口笛を吹いて喜んでくれるといいな、と思うのである。
そうでなかったら私も脱いだかいがないというものだ。
最後にショウの演出家として非常に苦心されたであろう、M氏こと、主婦の友社第二出版部の松川邦生さんに、踊り子林真理子はお礼を申し上げます。私の病的な怠惰さに最初は唖然《あぜん》としたものの、そのあとおだて、怒り、泣き、おどしといろいろなテを使いながら励ましてくださって本当にありがとうございます。
またADCグランプリ受賞直後のお忙しい中にもかかわらず、装丁をひきうけてくださった奥村靱正さん、ホントに、ホントに、ありがとうございました。