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美女入門01

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:マリコストリート・リターンズ  お久しぶりです。 まず若い読者に、昔のことをちょっとお話ししましょう。「アンアン」にこの
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 マリコストリート・リターンズ
 
  お久しぶりです。
 
 
 まず若い読者に、昔のことをちょっとお話ししましょう。「アンアン」にこのコラムページが出来たのは十四年前、私の連載が初めである。「南青山物語」「マリコ・ストリート」と続いたコラムはとても評判がよく、おかげさまで私は、
「『アンアン』を後ろから開かせる女」
 と異名をとったもんさ。私の相棒といおうか、疑似恋人の役割を果たしてくれた編集者のテツオは、全国的な人気者となりどこへいってもモテモテだったそうだ。あれから歳月は流れ、恋多き女だった(?)私もついに人妻となった。けれどもミーハー精神といおうか、フットワークの軽さはあんまり変わっていないつもり。テツオは相変わらず独身のまま、私が離婚するのをひたすら待っている(ウソ)。ハンサムで有名だった彼は、年をくった分ますますよくなった。派手なイタリアン臭が抜けて、じっくりと渋くおしゃれな男になったじゃないの。しかしもう若い人の中で、テツオの名を知る者は少ない。
 ところで話は突然変わるようであるが、このあいだまで、「アンアン」でこのコラムを書いていた柴門ふみさんが最近めっきりキレイになった。もともと目鼻立ちの整った人だったが、この頃着るものもメイクもぐっとあかぬけてきた。流行のものをさらりと着ている。
「テツオさんのおかげよ」
 と彼女は言う。
「『アンアン』の連載が始まった時思ったの。これからテツオさんにいろいろ教わって、うんとおしゃれになろうって」
 まず美容院を、テツオいきつけのところに変えたそうだ。シャギーを入れたショートに、赤いメッシュをかすかに入れてカッコいいぞ。いいな、いいな、と私は思った。やはり「アンアン」とテツオの威力はすごい。女の人をこんな風に変えることが出来るんだ。頼まれていた連載を私もやることによって、ちょっと変身することが出来るかしらん。
 この年になって私はつくづくわかった。女はキレイじゃなければダメ。キレイじゃなければ生きていたってつまらない。このキレイというのは、何も生まれついての美人というわけじゃないんだ。センスを磨き、腕を磨き、体も磨いている女のことを、私はキレイなコと呼ぶ。思えば私の人生は、キレイになりたい、男の人にモテたいという、この二つのことに集約されているような気がするのだ。結婚する前はずうっと思っていた。夫が出来たら、モテたい、男の人からちやほやされたい、などという考えがすっかり無くなるだろうって。ところがそんなことは全くなかった。結婚していても、ステキな男の人のことは気になるし、その人から好意を持ってもらいたいと思う。その人が別の女の人に声をかけたりすると猛烈に腹が立つ。が、結婚しているというのはいいもので、
「私がヒトヅマだから、デイトに誘ってもらえないんだわ。そうなのね、そうなのね」
 と納得する理由が出来て、少し精神衛生上いいかもしれない……。
 私はこの何年か、洋服の好みや髪型がややコンサバになっていた。ターゲットとなる男性たちの好みに合わせたためである。ニューヨークのアウトレットショップで安く買えたせいもあるが、かの野村沙知代さんご用達のヴェルサーチのスーツを着たこともある。何年かぶりにシャネルも着た。髪をブリーチし、美容院でブロウしてもらっていた髪にヴェルサーチを着ると、どう見てもおミズ系になる。私は結構おミズ系もいいかなーと思ったりしていたのであるが、これがえらく評判が悪かった。
「あんた、とにかくオレの美容院へ行けよ」
 とテツオに強く言われ、彼の行きつけの店で髪を切った。上品なウルフカットといおうか、そう、かの黒木瞳さんと同じスタイルである。
「わっ、ハヤシさん、いっぺんに髪が少なくなった感じ」
 と言ったのは私の秘書である。これはいいとして、まるで「戦争孤児みたいな髪ね」と言った友人がいて、これには激怒した。
「これは最新の髪型なのよ。あんたみたいなダサいおばさんファッションの人なんかにはわからないのよッ」
 と人前で怒鳴り、まぁまぁとまわりの人から止められた。
 私はこの頃、書いた小説〈編集部注:「不機嫌な果実」〉がテレビ化、映画化されることになり、記者会見や取材に忙しい。女優さんと並んでよく写真に撮られる。髪も切ったし、少しはカッコよくなっているかしらと期待を持って眺め、私は愕然《がくぜん》となる。なに、これ、私の顔って彼女たちの一・五倍あるではないか。顔のありようがまるで違う。何がいけないの、何が原因なのと必死で考える私。相手は女優さんじゃないか、張り合うなんて間違ってるなどと決して思わない。ネバー・ギブ・アップ! 私は諦《あきら》めません。日夜考え、日夜悩み、苦しまない程度に努力する。それが私。どうぞよろしく。
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