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美女入門24

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:正しい京都の歩き方 久しぶりに京都へ遊びに行った。 京都と聞くと、今も胸がキュンとする私である。ずっと昔、京都に好きな人
(单词翻译:双击或拖选)
 正しい京都の歩き方
 
 
 久しぶりに京都へ遊びに行った。
 京都と聞くと、今も胸がキュンとする私である。ずっと昔、京都に好きな人がいて、新幹線の回数券をちぎっては会いに行った思い出があるのだ。
 京都というのは男と女の物語としては最高の舞台である。二人で歩いた鴨川《かもがわ》のほとり、先斗町《ぽんとちよう》、そしてあの小さなバーは今はどうなっているのかしら……。
 京都ではもちろん男友だちが待っていてくれる。京都在住の建築家A氏は、俳優も顔負けのハンサムで、しかも京大で教えている。二人でとっても楽しいひとときを過ごした……と言いたいところであるが、私は女友だち二人と一緒だ。合計四人で修学旅行のような夜になってしまった。
 が、やさしいA氏は時々立ちどまっては、建物のいろんな説明をしてくれる。お菓子屋さんでおいしい和菓子を買い、
「夜、ホテルで食べなよ」
 なんて言ってくれる。
 私はいつもの念力で、他の女二人を私の視界から消すことにした。妄想の世界が始まる。そーよ、私はいけない人妻、こうやって京都の恋人のところへ会いに来ているのさ。二人きりで歩く石塀小路《いしべいこうじ》の石畳の静けさ、京都の底冷えもなんか切なく甘いわ……。
 ところで私は時々「チェッ」と思うことがある。私が独身だったら、彼とこういうところへ来るのになあという場所が、この頃やたら出てきたのである。
 誰にでも経験があると思うが、都会にはエアポケットといおうか、ちょっとした物陰というところがある。たとえば、西麻布の地下のバーで、上まで長い階段が続いているところがある。その階段の下なんかキスをするのにぴったりだと思う。
 私は思うのであるが、人前でキスをしたがるのはまだまだ子どもである。ちょっとした大人であったら、人の目を気にしたり、あるいは自分たちの行為をわざと誇示したりする行為はめんどうくさいと思う。それよりもちょっとしたブラインドのもとでした方が、ずっとずっとカッコいい。
 桜の季節にはちょっと早い青山墓地、その近くの人気《ひとけ》のない歩道橋、代官山の裏道の長い坂、気がつくと街中には素敵なところがいっぱいだ。
 地方にだっていいところはいっぱいあるぞ。京都は恋人たちにとっては最高の場所だが、ややお金がかかるのが難点だ。そこへいくと横浜や湘南《しようなん》で一泊というのは、やはりお薦めかもしれない。九州福岡のホテルには、各フロアに一部屋だけのセミスイートがある。そこのジャクジーがあるお風呂は海につき出ているのだ。朝焼けの中で、好きな人とジャクジーに入ったら、もう外国映画の気分であろう。
 くっ、くっ。私がヒトヅマになって残念だと思うのは、こうしたしゃれた場所を見つけた時である。独身の人たちが本当に羨《うらや》ましいと思う。
「だけどいいじゃん。ハヤシさんは独身が長かったんだから、さんざん楽しいことをしてきたでしょう」
 と言う人がいるが、ちょっと違うと思う。若い頃から顔と名前が知られていた私は、すべてのことにびくびくしていて、とても大胆に振るまえなかったのである。男の人と旅行へ行くなんてとんでもない。海外で待ち合わせたことはあるけれど、二人でどっか国内へ出かけたことはない。
 今は私も年増になり、ちっとやそっとのことではびくつかない心臓を持っている。何を書かれようと、噂されようとこわいことはない。しかしヒトヅマという立場がある。
 さて京都では、毎日おいしいおいしい京料理を食べた。A氏が連れていってくれた小料理屋さんではかぶら蒸しが絶品といっていい味であった。
 次の日、A氏は仕事ということで、女友だちだけで別の店へ行った。そこは今、京都でいちばんおいしいと評判の店である。行ってみて驚いた。カウンターの客のほとんどが、オジさんと若い女の子とのカップルだったのである。バブル崩壊以後、東京では消えたはずの光景が京都ではまだ続いていたことに私は感心してしまった。
 女の子はミズっぽくもなく、ごく普通の女の子たちである。が、いかにも金持ちのおじさんに連れてこられたという感じ。が、そんなことをしてまで、おいしいものが食べたいかナーと私は思ってしまう。京都に来てまでオヤジと一緒にいなければならないなんて、なんて不幸な人生なんだろう。
 イノダのサンドイッチでいいし、オムライスもおいしい。何だったらマックのハンバーガーでもいいではないか。京都というのは本当に好きな男と来て、二人でいくらでも歩く街なんだ。寒い時だったら、自分の手を彼のコートのポケットに入れてどこまでも歩く。食べ物はどうでもいいから、泊まるホテルはちょっと贅沢して、それがお約束。
 恋する時間はそんなに長くない。今のうちに彼といろんな場所に行かなきゃ。オヤジと京都へ来てフグなんか食べてちゃダメ、と私は叱りたくなったのである。
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