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美女入門28

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:着物リサイクル推進月間 ここんとこ私は本当に忙しい。 大きな文学賞をいただいたので(さりげなく自慢する私)、インタビュー
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 着物リサイクル推進月間
 
 
 ここんとこ私は本当に忙しい。
 大きな文学賞をいただいたので(さりげなく自慢する私)、インタビューやお祝い会があるし、もちろん連載の仕事もいっぱい。それ以上に大変なのが趣味の世界で、週に二回の日本舞踊、週に一回の声楽レッスンは欠かせないものになっている。その合い間に、夫のごはんをつくり、二匹のネコと遊んでやらなければならないのだ。時々デイトもする。
 もちろんダイエットにも励む。先日友人がハワイのお土産に錠剤をくれた。泉ピン子さんはこれで十キロ痩《や》せたそうだ。が、英語の説明書が難しく夫に訳してもらったところ、毎日三回、食前三十分前に飲むようにと書いてあった。
 これがどれほど大変なことか、やったことのない人にはわかるまい。食後三十分なら簡単であるが、食前となるとつい忘れてしまう。おまけに三十分というのが難しく、約束の店に着く時間を見計らったりしなくてはならない。タクシーや電車の中で気づいても、大きめのカプセルなので水なしで飲むわけにもいかず、飲めないこともしょっちゅうだ。効果はまだない。もしかすると、意地悪な夫はわざと違ったことを教えたのではなかろうか……。
 さて、私がデブになったのは前からお話ししていると思う。ダイエットは一進二退というところか。青山ナチュラルハウスで買った、一食八十キロカロリーのスープ&ビスケットの夕食を三回とると二キロ痩せる。が、次の日会食でご馳走《ちそう》をいただくと、一晩で一、二キロ増える。三回続くと三キロはすぐにいく。あわてて次の日からダイエット食に切り替える。この繰り返しである。空しい……。
 デブになったために多くの服が着られなくなった。昨年の初夏は、今より十キロは少なかったはずだ。それゆえノータックパンツも、肩を出したワンピースもOKだった。が、このあいだ、パンツの方は無理矢理はこうとしたら、チャックが壊れてしまったではないか……。ああ、ワインが憎い。イタリアンが憎い。「アンアン」推薦の中華の店が憎い……。
 おしゃれはしたいが、昨年の洋服は入らず、今年のもんはサイズがない。あと五キロ痩せなくては、店に行っても恥をかくだけであろう。
 そんなわけで私は家の中のリサイクルに励むことにした。リサイクルといってもお洋服じゃない。これからはうんと着物を着ようと思ったのである。
 私は十年以上前から着物に凝っていて、いろいろなものをとり揃えた。が、普段に着ることはあまりない。ご存知のように、着物というのはわりとフケて見えるし、いかにも女流作家然としていて恥ずかしい。そんなわけで日舞の関係の会、パーティー、結婚式以外ではあまり手を通さなかった私であるが、これからはカジュアルなものに挑戦しようと思いついた。幸いなことに、私は髪をボブにしたばかり。「アンアン」によると、今年一番新しい髪はボブだそうだが、これは着物にもとてもよく似合う。美容院へ行ってアップ、あるいはブロウ、ということをせず、自分でひょいと着物を着てしまえばいいのだ。
 ちょっと友人とご飯を食べる、という時には、紺色の大島にピンクの帯を締めていく。この帯は鹿《か》の子《こ》模様になっていてとっても可愛いの。別の時は薩摩絣《さつまがすり》に、赤のチェックの帯を合わせた。着物というと訪問着や振り袖《そで》を連想する人がいるかもしれないが、織りのクラスのものだとワンピースの感覚である。バッグはプラダのものにしたり、ドルチェ&ガッバーナのエナメルをひょいと持ったりする。
 道行きコートはオバさんっぽいからしない。二年前にパリのエルメス本店で買ったブルーのショールをかける。
 着物を着ていくと、とにかく男の人がやさしい。お店だって特別扱い。コーヒー一杯飲むのにナプキンを持ってきてくれる。
 私はこの頃、羽織もちょっといいかナと思い、わざと昔風の野暮《やぼ》ったい丈のものを作った。市松模様のモダンな着物に、朱色の長い丈の羽織をひっかける。そして家を出て原宿を歩く。表参道は個性と派手の競い合いであるが、着物は決して負けないぞ。
 私はよく歌舞伎座へ行くが、そんな時、若い女の子が小紋なんかを着ているのを見るととても嬉《うれ》しい。最近は私の大っ嫌いなニューキモノっぽいのが次第に流行《はや》らなくなったようで、みんなきちんとしたものを着ている。決して高価なものではないだろうが、若い人が小紋や絣を着ているのはとてもいいモノである。女友だちとしめし合わせたらしく、二人づれの着物姿の女の子が目立つ。
 もうTPO、などという言葉はとっくになくなったが、私はいつ、どんな時にもセーターやジーンズを着て現れる女の子が嫌いだ。髪型やセーターがどんなにきまっていても、ちっともおしゃれじゃないと思う。なぜなら、いつもと違う場所に行く時には自分を変える、着ていくものを工夫する、という楽しさを拒絶しているからだ。気取ったレストランや劇場に行く時には、やっぱりセーターじゃ悲しい。このあいだ歌舞伎座で、コムデのワンピースを見たが素敵だった。頭のいいコは、自分らしさを守ったまま、やることはちゃんとやる。
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