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美女入門43

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:夏の夜のミステリー 毎日、本当に暑いですねぇ。 毎年夏が来ると、頭がおかしくなりそう。わが家は、狭いうえに散らかっている
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 夏の夜のミステリー
 
 
 毎日、本当に暑いですねぇ……。
 毎年夏が来ると、頭がおかしくなりそう。わが家は、狭いうえに散らかっている、モノが多い。おまけに飼っている二匹の猫は、スコティッシュ・フォールドといって毛がうんと濃い種類である。
 仕事をしていると、この毛がどっさりしたデブ猫が膝《ひざ》にのってくる。昼寝をしていると、枕元でごろごろすり寄ってくる。その暑苦しさといったらない。
 こういうことを言うと惚気《のろけ》ているようであるが、うちの夫がスリムで、まあまあの姿カタチで本当によかった。よそのうちのダンナを見ていると、まだ若いくせにハゲでデブというのがかなりいる。かなり薄くなった頭の地に汗をだらだら流している太った男の人を見ていると、よくあんなのと夏を過ごせるなァと思う私。
 私の友人で、ハゲでデブのうえにすっごく毛深い男がいる。手の甲はもちろん、指のつけ根までびっしり毛が生えている。夏になると汗でこの体毛がくろぐろと濡《ぬ》れ、蒸気を発しているかのよう。キャ〜ッ。
 彼はエリートなので、若く美人の奥さんがいるけど、夏は別居したくならないんだろうか。
 夏は髭《ひげ》の男も苦手だ。テツオは長年、ファッションのために不精髭をずっと生やしている。冬見ればセクシーといえないこともないが、夏見ると本当にむさい。よってこの原稿は最近ファクシミリで送ることが多い。前は必ず週に一回会って、ご飯食べてたのにね。
 さて、夏を涼しく過ごすために、こうして男まで選んでいる私である。その他にもいろいろ工夫していることがあるが、そのひとつが怖〜い話を聞くことであろう。
 たとえば六本木のロアビルの裏に古い洋館がある。そこの下に立って見ていると、真夜中に女の人が窓に立つのが見える。
 青山墓地の近くにあるイタリアンレストランの地下は、お墓に接している。夜地下のトイレへ行き、ふと鏡を見ると白い着物の女が映っているそうだ……。
 などという話を、私は聞くのが大好きである。私と仲のいい女性編集者は、霊感少女として有名でいろんなものが見えてしまう。ある真夜中、残業中の彼女がひとり壁に向かってぺこぺこ頭を下げていたそうだ。また始まったと思ったものの、同僚のひとりが彼女に尋ねた。
「いったい何してるんだよ」
「今そこにお爺《じい》さんが来たんで、どうしたんですかって尋ねたら、○○の父親だけど息子を連れに来たって。○○さんはもうお帰りですよ、って言ったらそのお爺さんも帰られました」
 ○○さんというのは彼女の上司で、私もよく知っていた副編集長である。そして次の日、ゴルフ場でクラブを握ったまま○○さんは心臓マヒで亡くなった。これは実話である……。
 こういう話はもちろん怖ろしいが、別の意味でおっかない話もある。それはやはり男と女に関することである。思いがけない二人が、
「実はつき合ってるんだよ」
 と聞かされた時のぞーっとするような驚きは、誰でも経験することではなかろうか。私は仲のいい某男性に、ある女性の悪口をさんざん吹き込んだ。悪気がない分、いちばんタチの悪いやつだ。
「もうデリカシーも色気もない女でさあー、一緒にいると呆《あき》れて笑っちゃうのよねー」
 ところがその女友だちから、その男性とつき合っていると聞かされた。しかも男の方が熱心だというのだから、全く困ったもんだ。私の立場はどうなるんだ!
 つい最近のこと、前から心ひかれている男性とデイトした。前にも話したと思うけど、彼は何から何まで好みなのであるが、ただひとつの欠点は、私の友人とつき合っていたということだ。その年下の女友だちは、私のことをわりと慕ってくれ、前はよく遊んだもんである。その彼女の前恋人と私との間に何かあったりしたら(何も起こるはずないけど)、やっぱり女の仁義に反することになるであろう。
 お酒がすすむにつれ、彼はこんなことを言ったのでした。
「僕が彼女と別れた原因は、やっぱり彼女のことが怖くなったからだなぁ……」
「ふん、ふん」
「彼女のことをいちばん怖いと思ったのは、僕がハヤシさんのことを誉めたら、次の日、彼女はあなたの本を全部捨てたんだよ。本棚にいっぱいあった本をだよ」
 その時、背筋をすうーっと通る恐怖と共に、私は喜びも感じたのでありました。友人に自慢したら、
「そんなミエミエの手口に喜んで、あんたってなんて単純なの」
「そういうこと言う男なんて、サイテー」
 と冷たいものであった。
 後に聞いたところによると、その男性と私の本をすべて捨てた女友だちとは、またヨリが戻って、とてもうまくいっているそうである。
 じゃ、あの話は何なんだ! 一瞬でも胸をときめかし、彼女に恐怖を感じたアレは、つくり話だったんかい。
 夏の夜のミステリーである。
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