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美女入門44

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:セパレーツ女の顰蹙《ひんしゆく》 ここのところ忙しくてご無沙汰《ぶさた》していたネイルサロンへ行ってきた。やっぱり女は、
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 セパレーツ女の顰蹙《ひんしゆく》
 
 
 ここのところ忙しくてご無沙汰《ぶさた》していたネイルサロンへ行ってきた。やっぱり女は、先っぽほどピカピカにしなくちゃいけないものね。
 ペディキュアとマニキュアに二時間ばかりかかり、最後は気持ちよくうとうととしてしまった。ところで、
「エステは女のソープランド」
 という名言を残したのは、かの柴門ふみさんである。つまり、お金をかけ他人によって快楽を得るところが、男の人が行くソープと全く同じということらしい。しかし私はネイルサロンはともかく、その他のもの、脱毛とかエステというのは拷問に近いと思っている。私の通っているエステは、電気が通っている手袋で顔を上げ、さらにイオン棒をきりきり刺しながら、フェイスラインを整えていく。この痛いことといったらない。涙さえ出てくる。しかし、エステの先生に言わせると、
「パックしたりマッサージだけの、気持ちよくてうとうとしちゃうエステなんて、リラックス以外の何も役立っていないのよ」
 ということである。おかげで、この何年来、私のフェイスラインはかなり変わってきた。昔と比べれば、という話であるが、歯を治したということもあり、ずっとシャープになってきたのである。ここにくるまで、どれほど努力し、どれほどつらい思いをしたであろうか。
 私ごときが言うのもナンであるが、女がキレイになりたい、少しでも向上したいと思ったら、それこそ血が滲《にじ》むような努力が必要なのである。
 つい最近、ファッションリーダーとして有名なタレントさんにお会いしたところ、信じられないような細い高いヒールの、グッチのサンダルを履いていた。
「ねぇ、いったいこんなサンダルでどうやって歩くの」
 驚いて尋ねたところ、
「おしゃれは、努力ですよ」
 という返事が即座に返ってきた。どんなにつらくとも、このサンダルで胸を張ってカッコよく歩くのだそうだ。
 さて話は突然変わるようであるが、夏になった途端《とたん》、街を行く女のコのレベルが突然落ちてきた。春のシーズンには可愛らしい個性的なおしゃれを競っていた女のコたちが、突然ワンパターン、キャミソールドレスになってしまったのである。素足にサンダルという格好もみんなおんなじ。暑さのためか、ひと工夫見られないのである。
 あのキャミソールドレスは、戸外の太陽さんさんと降り注ぐ下で見るならまだよい。オープンテラスとかにも似合う。ところが電車の中に突然現れると、それこそギョッとしてしまうのである。上にシャツやカーディガンを羽織るのは、ビンボーOLルックみたいで好きではないが、そうかといってむき出しの肩や胸を地下鉄の蛍光灯の下で見るのは、あまりにも寒々とした光景だ。
 おとといはもっとすごいもんを見たぞい。下はパンツ、上はセパレートの上だけという女のコが地下鉄に乗っていたのだ。胸の下からおへそのあたりまでのウエストのくびれが、それこそ丸見えであった。いろんなことに慣れている東京の乗客たちも、思わず口をあんぐりとして見ていたっけ。
 そのサングラスをかけた女のコは、年寄りをかき分けるようにしてどんどん進み、空いている席にどかっと座った。スタイルのいいコであったが、その途端、お腹の肉がぶるると震え、折重なっていくのを私は見た。
 こういうカッコするんだったら、やっぱりそれなりの努力は必要である、と私はつくづく思った。ダイエットの努力は認めよう。お肌の手入れもよし。さぞかしいろんなものを塗り込んでいるであろう。
 が、ここまでやるなら、やっぱり男と車は確保しなきゃ。どこへ行くのか知らないけれど、オープンカーか何かで乗りつけるぐらいの準備をしてから、こういうセパレーツのブラジャーを着ようね。人を押しのけて、電車で座っちゃダメ。
 もし彼女が車で表参道か青山へ行き、この格好で車から降りてきたらそれこそカッコよかったであろう。
「大胆だけど素敵《すてき》」
 と多くの女のコも思ったであろう。しかし、昼下がりの地下鉄の中は、おじさんおばさんでいっぱいだ。先鋭的なファッションを着る楽しみのひとつに、
「人々の眉《まゆ》をひそめさせる」
 というのがあるだろう。が、けれどもいかにも眉をひそめそうなおじさんたちが、いっぱいいるところに行っても仕方ないじゃないか。
 こういう勝負に出る服を着る時は、やっぱり勝負の場所へ行く。そしてその交通手段も考えるというのは、おしゃれな女の人にとってとても必要な知恵である。
 全然話が変わるのであるが、昨年私は香港で、それはそれは素敵なイブニングドレスを買った。生成りの麻にとても細かい刺繍《ししゆう》がほどこされているのだ。上はビスチエになっていて、その上に同色のオーガンジーショールを羽織るのだ。私はこのドレスを買った時、同行する男性、パーティーの内容までぱっと頭に浮かべた。が、まだ一度も着ていない。このドレスを着るための努力を怠ったため、私の二の腕はまだたっぷんたっぷんしている。こんな服を私はいっぱい持っている。情けない……。
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