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美女入門181

时间: 2019-08-22    进入日语论坛
核心提示:同じサイズ、違うボディサイモンさんが私に言った。「ねえ、ハヤシさん、最近ジル・サンダーを着てるんでしょ。私もあそこへ行き
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同じサイズ、違うボディ

サイモンさんが私に言った。
「ねえ、ハヤシさん、最近ジル・サンダーを着てるんでしょ。私もあそこへ行きたいんだけど、ひとりじゃ入りづらいのよ。今度行く時、一緒に連れていってくれないかしら」
私にも経験があるが、知らない高級ブティックに入るというのは、そりゃあ緊張するんである。特に私はサイズのこともあるしさあ、見知らぬところへ行くのはそりゃあ勇気がいる。
「あら、私だってそうよ」
とサイモンさん。
「このあいだジル・サンダーのお店、ちらっと入ったらサイズが38までしかないのよ。たいていが36なんだもの、イヤになっちゃう」
これはサイモンさんが間違っている。ドイツサイズというのは、イタリアンやフレンチのサイズよりも小さく表示されているのだ。サイズ38は、40か42と思ってもいい。
「サイモンさんはサイズ、幾つなの」
「○よ」
驚いたことに、ほっそりと小柄なサイモンさんと私とは、ワンサイズしか違っていなかったのである(もちろんボトムは別)。
「だって私、胸が大きいから」
あー、ねー、そう、実はサイモンさんはすっごいナイスバディなのである。胸はバーンとあって、ウエストはほっそりという実に羨《うらや》ましい体型なのだ。こういう人は何でも似合うと思うんだけど、
「でもさー、ジル・サンダーって本当に入りづらいじゃない。値段も高いしさ。このあいだもちらっと入って、私、すぐに出てきちゃったのよ」
そんなわけで土曜日の昼下がり、二人で青山で待ち合わせをし、ジル・サンダーのお店に向かった。
「ジルって、必ずっていっていいくらい芸能人に会うんだよ」
と、歩きながら私は説明した。
「このあいだは鈴木京香、間近で見ちゃったよ。本当にキレイだったよ」
お店に着くと、アポイントメントを入れておいたので、担当の人が待っていてくれていた。口に出しては言わないけれど、私のサイズを探すために、この人はどんなに苦労しているかと思うと本当に申しわけないような気がするの。
その日、私のために用意してくれたのは黒のパンツスーツに、パンツ、ジャケットなんかである。サイモンさんは紺色のスーツを試着してたけど、とてもよく似合っている。ちょっとブリーチした髪がカッコいいぞ。
実は私たちって美容院も同じなのである。テツオの強いお勧めで、私とサイモンさんは美容院を変えた。そこの美容院はマガジンハウス御用達《ごようたし》といってもいいところで、最新の髪を上手にアレンジしてくれる。
今、「ビューティフルライフ」が絶好調の北川悦吏子さんもここの常連だ。髪もバッチリ、洋服もジル・サンダー着て、私って都会の最高にカッコいい女……のはずなんだけど鏡に映っている私は何か違うわねえ。
実はおととい、ジル・サンダーの白いダウンを着ていたら、テツオがニヤニヤしながら言った。
「今どき白いヤッケなんか着てる。ハイキングにでも行くのかよー」
「失礼ね、これジルよ、ジル・サンダー。おジルよ!」
「へー、失礼しました。もうこうなったら、ジル・サンダーって表に書いといたらどうなんだよ」
と、さんざんバカにされたばかりなのである。でも私は買いました。このあいだ出した本の印税のことを計算しながらも、とにかく買うわ。欲しいものは欲しいのよッ。
すると目の前に人の気配。サングラスをかけた背の高い男の人と、赤いコートの女性。な、なんと石橋貴明、鈴木保奈美夫妻じゃないの。私が喜びにうち震えたのは言うまでもない。石橋さんには十年前、二回ぐらい会ったことがあるので、図々《ずうずう》しく話しかけた。保奈美さんは初めてだが構うことはないわ。こんなスターに会えるのはめったにないことである。
「私、サイモンさんと一緒なんですよ」
そお、強い味方のサイモンさん。彼女は保奈美人気がブレイクした「東京ラブストーリー」の原作者なのである。保奈美ちゃんとサイモンさんも、会うのが十年ぶりだそうで、懐かしそうに話していた。
それにしても保奈美ちゃんって、やっぱりキレイ。美人といってもそこらの美人とはレベルが違う。オーラが漂っているような美しさである。こんな人を近くで見られて、やっぱり青山に来てよかったわ。
次の日、サイモンさんからお礼のファクシミリが届いた。
「ハヤシさんと一緒にいると、いつも大物芸能人と会えるのはなぜでしょうか」
だって。これって誉められてるのかなあ。
私は次の用事があったので先に帰ったのであるが、サイモンさんはあれこれ買い、○○万円(特に秘す)もお支払いになったそうだ。
「中村うさぎは無理でも、今年は中村ハムスターか中村モルモットぐらいになりたい」
という決意が書かれていた。実はこの私、サイモンさんよりもずっと多く買い物をしていたのである。
家のローンはあるし、風呂場《ふろば》は直さなきゃいけないし、車検もあるし、税金ももうじき払わなくてはならない苦しい生活が続いているが、やっぱり洋服は買うわ、と私も心を決めた。美女という尊称は永遠に無理だとしても、頑張って「おしゃれでセンスのいい女」といつか言われたいの。私はなるぞ、大うさぎ。
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