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美女入門214

时间: 2019-08-23    进入日语论坛
核心提示:テレビ出演プロジェクト仲良しのセーノさんがうちに遊びにやってきた。彼は唯一の、私と親しいテレビ局の人間である。フジTVの
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テレビ出演プロジェクト

仲良しのセーノさんがうちに遊びにやってきた。彼は唯一の、私と親しいテレビ局の人間である。フジTVのプロデューサーという派手な肩書きがちっとも似合わない。もっさりした福島出身のおじさんだ。だからこそ信頼出来て、こんな風に十五年以上仲よくしていられるのかもしれない。彼は私を見て大層驚いた。
「おっ、ハヤシさん、痩せたねぇ。なんかテレビの番組に出たらどう? みんなびっくりするよ」
「そお、私が出たいのはね、『SMAP×SMAP』と『おしゃれカンケイ』かしらね」
「SMAP×SMAP」はともかく、「おしゃれカンケイ」は日本テレビなのだが、いつも見ているにもかかわらず、どっちもフジTVと思っていたドジな私である。セーノの方もセーノの方で、
「わかったよ。プロデューサーに話しとくよ」
と気安く請け負った。テレビ界というのは不思議なもので、どこでどういう繋《つな》がりがあるかわからないけれども、日本テレビの「おしゃれカンケイ」から出演依頼をいただいたのである。
こんな風に人気番組にゲストで出るのは久しぶりだ。最近若い読者は、テレビでの私を知らない。
「ハヤシさんって、どんな声をしてるの? どんな喋《しやべ》り方をするのか、ぜひ知りたいです」
などという手紙をよくいただく。
出演依頼があった後、私はすぐにテツオに電話をかけた。
「よーし、やったじゃん」
とテツオは低くうなった。
「『美女入門PART2』は、ここんとこ売れゆきが止まってるんだよ。ここでテレビに出てワーッと盛り上がる。そのためにうんと痩せてキレイになってもらわないとな」
「うん、頑張るよ。収録までにあと二キロは痩せてみせるよ」
「もちろんヘアメイクはつけるんだろうな。それからスタイリングはマサエに頼んでやるからな」
それで私のプロジェクトが組まれた。ヘアメイクはよく「アンアン」の撮影などでお願いする「エスパー」のアカマツちゃん。ざんぎり頭のすごく可愛い女のコだ。『美女入門PART2』のカバー写真も彼女が担当してくれている。そしてスタイリングは、これまた気心の知れたマサエちゃんだ。マサエちゃんは私の手持ちの服を見て、このあいだニューヨークで買ったジル・サンダーの革ジャケットを誉めてくれた。
「すっごく可愛い。これにシンプルな黒のニットとスカートを組み合わせましょうよ」
靴もいっぱい借りてきてくれたのであるが、私には実は秘密兵器がある。そお、ニューヨークで買ったマノロブラニクである。私には一生縁がないと思っていた、細い細いきゃしゃな靴であるが、さすがアメリカ、ちゃんと大きいサイズがあったんですね。マサエちゃんはマノロにタイツを組み合わせようと提案。こうして私のプロジェクトは、徐々に出来上がっていったのである。
さて当日、私はエステからテレビ局へ直行する。が、テレビ局というところは本当にわかりづらい。廊下を歩いている人に、行くべき控え室を聞きたいのであるが、それではあまりにも「お上りさん」のようで恥ずかしい。知っているふりをして歩いていたら、ついに迷路にはまり込んだ。仕方なく受付まで行って尋ね、ようやく部屋を見つけることが出来た。
やがてアカマツちゃんやマサエちゃんも到着する。私がこの日のために買っておいた栗きんとんを皆でおやつに食べる。
「日テレなら柴田倫世アナを見られるかも」
と盛り上がった。
「ハヤシさん、テツオさんも後から様子を見に来るって言ってましたよ」
とマサエちゃん。
「心配でたまらないみたいですね。まるでテツオさんとハヤシさんって夫婦みたいですね」
「ホント。どうして愛情っていうもんが生まれなかったのかしらね」
などと冗談をとばしながら、私はつい最近届いたファンレターのことを思い出した。
「ハヤシさん、こんにちは。私は福岡に住んでいて、このあいだサイン会に行ってきました。そうしたら都会的センスの、ものすごくカッコいい男の人がずっと腕組みをしてこちらを睨《にら》んでいました。あの人がテツオさんではないですか。まるで『ボディガード』のケビン・コスナーのようでした。テツオさんがケビン・コスナーだとすると、ハヤシさんはホイットニー・ヒューストンですね」
そうか、私はテツオ・コスナーに守られるマリコ・ヒューストンだったのね。
テツオばかりではない。スタジオには私のことを案じてセーノさんも来てくれた。そして秋元康事務所のチバさんと、マガジンハウスのハラダさんも。それにテツオ、マサエちゃん、アカマツちゃんも加わるから、私の見学者はすごい人数となった。みんなが私の久々のテレビ出演を見守ってくれたのだ。最後に読むサイモンさんからの手紙はとても感動的で私は泣いた。
私のことを心配してくれるこんなにいい友人に囲まれ、私はなんて幸せなんでしょう。いい女になったことより(?)そのことの方がずっと価値あると思うの。嬉《うれ》しくて視聴者プレゼントにバーキンのバッグをまたまた差し出した私。このお調子者……。
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