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遠野物語拾遺187

时间: 2019-08-26    进入日语论坛
核心提示:一八七 上郷村字板沢の曹源寺の後の山に、貉《むじな》堂《どう》という御堂があった。昔この寺が荒れて住持もなかった頃、一人
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 一八七 上郷村字板沢の曹源寺の後の山に、貉《むじな》堂《どう》という御堂があった。昔この寺が荒れて住持もなかった頃、一人の旅僧が村に来て、この近くの清水市助という家に泊った。そこへ村の人が話を聞きに集まって、いろいろの物語をするついでに、村の空寺に化物が出るので、住持も居ついてくれず困っているという話をすると、それなら拙僧が行ってみようと、次の日の晩に寺に行くと、誰もおらぬといったのに寺男のような身なりの者が一人寝ていた。変に思ってその夜は引き返し、翌晩また行ってみたがやはり同じ男が寝ている。こやつこそ化物と、かっと大きな眼を開いて睨《ね》めつけると、寺男も起き直って見破られたから致し方がない。何を隠そう私はこの寺に久しく住み、七代の住僧を食い殺した貉だと言った。それから釈迦如来の檀特山の説法の有様を現じて見せたとか、寺のまわりを一面の湖水にして見せたとかいう話もあり、結局本堂の屋根の上から、九つに切れて落ちて来て、それ以来寺には何事もなく、今日まで続いて栄えているという話になっている。山号を滴水山というのも、その貉の変《へん》化《げ》と関係があるとのように語り伝えている。
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